おおたとしまさ著『ルポ無料塾~「教育格差」議論の死角』(2023年12月 集英社新書)
最近よく耳にする「無料塾」の事が知りたくて手に取ってみたが、とても有意義な読書体験になった。 前半は具体的な無料塾のルポ、後半は無料塾を取り巻く状況を識者とともに考える。
前半の「実話編」「実例編」で、それぞれの無料塾の様子がよくわかったし、「無料塾」のジレンマ、みたいなこともよくわかった。
そして、後半の「考察編」と呼ばれる部分が、昨今の子どもを取り巻く状況を深掘りして、無料塾の意義や問題点を描き出す。 「かわいそうな子供達をボランティアで支援している」みたいな安っぽいヒロイズムではなく、学力というたった一つの尺度だけで子どもを計る事の理不尽さやそれへの「支援者」の気づきや迷いなど、きれい事だけではない洞察がなされていて非常にためになったし共感できた。
「無料塾」に関心を持つ人たちはもちろんのこと、子どもを持つ保護者の方々や学校の先生方にも読んでいただきたい。
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