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僕が不動産屋さんを始めたキッカケ

皆さんこんにちは。
土地売りボーちゃんです。
今日は、僕が不動産屋さんを始めた(起業した)キッカケのお話をします。
理由はいくつかございますが、その中でも特に大きなキッカケだったお話です。


それは、とあるお客様との出会いでした。


当時社会人2年目。
それなりに大きな不動産業者で、ボーちゃんは勤務していました。


僕はサラリーマン経験が2年しかありませんので、
いち営業マンとして、最後の年のお話です。



当時2年目にして社内トップの営業成績だった僕は、
とにかく働いてました。
朝は誰よりも早く出社し、夜はテッペン超えるのが当たり前。
休みのない中でひたすらに数字を上げていました。


とある約束を果たす為、全社員1位を取らなければならない状況だった僕は、体を壊しながらも働き続けました。

社内では僕に案件を振れば、大体契約を取って来るという雰囲気が流れている様な日々でした。


そんなただただ無心で成果を出し続けていたある日。
僕の母親と同じ年代の女性が来店されました。
仮にAさんとします。


Aさんは、1,000万円くらいで程度の良い中古マンションをお探しでした。

お探しのエリア・予算に該当する物件が3つあり、
後日案内をする事となりました。
その日は、特に深いお話をすることも無く、ただ物件の提案と説明のみで終わりました。

後日2つのマンションの内覧を行いました。
そこで営業マンとしたヒアリングできたのは、

①僕と年が変わらない息子と2人暮らし
②息子は小さい頃にイジメにあい、引きこもり
③10年以上賃貸に住んでいるが、ペット不可の物件で猫を飼っている

との内容でした。


ペット不可の物件で猫を飼い続けている事に良心が痛んでいる。
という理由がキッカケでマンションの購入に踏み切ったという事でした。


その月は、他のメンバーが数字を上げられずに店舗としても苦しい月でした。

1円でも多く数字を作ってこい。
今ある案件は絶対きめてこい。
ピリピリした状況がMAXな時でした。


2つのマンションの内覧を行いましたが、どちらも価格は1,000万程でしたが、クロス・床がボロボロでとてもすぐに住める状態ではない物件でした。

「買えるけど、リフォームしたら予算オーバーになる、、、、このまま住むしかないのかなぁ、、」
そんな反応が2件続きました。


そこでAさんに質問をしました。

「予算1000万円は住宅ローンでお支払い予定でしょうか?」
「ローンでしたら100万円上げても月々約3,000円上がるだけです!」
「1,000万円で購入して200〜300万円リフォームしてピカピカな状態にしても月々1万円変わるかどうかですよ!」

お気前の営業トークをぶら下げてAさんに問いかけると、
「私、クレジットでやらかしてて、、、」
「キャッシュで1000万ちょっとあるから、現金一括で購入予定です」
との返答がきました。


いやはや、すごいな。
僕の母親も片親で育ててくれましたが、
学校通わせるのがやっとで、
家には毎日賞味期限が切れたスーパーの半額のお惣菜が散らばってました。
もちろん貯金などない事は明白で、毎月カツカツでやりくりしてました。

僕の母親と近しい境遇のなか、Aさんは何十年もパートでコツコツ貯めて1,000万という貯蓄を作っていました。



ローンが組めないとなると予算を上げるのは厳しいな、、、
では現況のまま買って頂き、余裕ができたらリフォームしましょう😊
という発想に切り替えます。



いや、切り替える他ないのです。
営業マンなら。


ただ、当時心身ともに疲れ果てていた僕は、
自分の母親と重なり
「なんでそこまで努力して貯めた1,000万円を使う気になったんですか?」
と疑問を投げかけました。


するとAさんは重い口を開きました。

「息子のためです。」

もちろんペット不可のマンションで猫を飼っている負目はあったことは事実ですが
本当の理由は、


自分に何かあった時に家賃が払えなくなり、息子の住む場所がなくなる事がないように。

という事でした。

母親の愛ってすごいな。
成人した子供にもここまで思えるんだと、人ごとながら感動しました。

その日は結論を出す事なく、次週最後の1件の内覧のアポイントを取り付けてお見送りをします。


そこからの1週間は、自分がもし引きこもりになっていたらどうなってたんだろう。という事を何度も考えました。


そして最後のマンションの内覧日。
案内前に店長から、かならず決めてこいという無言の圧力をかけられながら、出発をします。

Aさんとエントランスでおちあい、室内へと入りました。

そこは、築30年を超えており1階で日当たりも悪く、ジメジメとした室内でした。


一瞬で、「あ、ここじゃ決まらない」と判断し、
前回内覧した物件を再度見せて、そのどちらかで決めてもらうおう
と頭をよぎりました。


ただ、この1週間そのお客様のことを真剣に考え続けていた私は、
咄嗟に営業マンとしてあるまじき事を口にしました。

「Aさん、マンション買わない方が良いですよ」


「ペット可の賃貸を借りて、一生懸命貯めたお金をもっと自分のために使いましょう。」


キャッシュ一括でマンションを購入したとしても、管理費や修繕費等で毎月3万円弱の支払が発生する。
もし貯金を全て使って、マンションを買ったとしても、どちらにせよ息子さんだけでは住み続けらることはできない。
であれば、貯金を少しでも残しておいて、Aさんに万が一のことがあっても
息子さんがしばらくは暮らすことができる方法が一番ではないのか。

これが、僕が出した結論でした。




Aさんの顔をみると、大量の涙が溢れていました。

「そんなこと言ってくれた不動産屋さんはじめて。ありがとう」


相当苦労されてきたのでしょう。
自分のことはそっちのけで子供の為に働いて。
他の不動産屋さんからの強引な営業もあったのでしょう。

様々な重圧がAさんを押しつぶそうとしている中、
その重圧から解放されるために、人生をかけて貯めたお金を使い果たそうとしていた。そんな様に感じました。


「弊社は、賃貸を扱っていないので、駅前の○○不動産にご相談ください。
 僕がお手伝いできるのはここまでです。」

 泣きながら、ありがとうを連呼されその場から立ち去りました。


店舗に戻ると、いつものように店長への報告タイムとなります。

私「Aさん、決めきれなかったです。」
店長「なんで」
私「Aさん、買わない方がいいお客様でした。」

嘘をつくのが嫌な僕は、正直にそう伝えました。


もちろん、店長は激怒しました。
ただでさえ、数字が苦しい中での決まりそうな案件。
いくらトップの数字をたたき出していたとはいえ、普通にキレられました。


もしAさんにいつも通り営業していたら、正直どこかのマンションで決めれたのは間違いないでしょう。そうすることによって、会社としてはよくやったと言われていたと思います。


しかしそうなっていたら、Aさんはどうなっていたことだろうか。
大して居心地も良くないマンションに全財産をはたいて、あちこち不具合がでてきて、
管理費等の支払いも重なりと、
そこに明るい未来はなかったと思います。


お客様は泣いて喜んでくれましたが、上司には怒られる。
人として正しい行動をした思いでも、
会社員としては間違った行動でもある。
社会人2年目ながら、すごく葛藤しました。


自分の正義を貫くことによって店舗の数字が落ち、
会社には迷惑をかけたことになります。
お給料を貰っている身分としては、あまりよろしくない行動なのは
事実です。



ただ、僕の行動は間違ってなかったと心から思います。
あの時、自分の中の正義を貫かなかったら、今も後悔していたと思います。


もしかしたら、目の前の数字のためだけに
人の人生を崩してしまう営業を今もしていたかもしれません。


僕は
自分の中の正義を貫きたくて
思ったことを、偽りなくお客様に伝えたくて
何よりも自分自身に嘘をつきたくなくて

起業という道を進みました。


お客様に正直にお伝えした結果、案件が決まらなく苦しい日々が続いても
自分に嘘をつきながら、生きていく道を選ぶことはありません。



人の為に一生懸命に仕事をしていれば、必ずお天道様が微笑んでくれる。
その一心のみで24歳ながら起業しました。



時がたち、今では仲間にも恵まれ、日々多くの方からご相談を頂けております。
起業当初は、本当に大変でした。
今もまあまあ大変です。
ただ、Aさんとの出会いがあったからこそ、今の僕がいます。



自分に正直に生きる。
こんな当たり前のことが、歳を重ねるにつれてできなくなってきている方が多いのではないでしょうか。
社会・組織の中では、それが不正解になってしまう事も多々あります。
みんながみんな、自分だけの正義を貫いて生きていたら社会や組織が成り立たないのも事実です。

ただ、自分自身の人生という視点で見たときに
本当にそれでよいのでしょうか。
自分に嘘をついて生きていると、人としての芯がなくなっていきます。
特に営業職は、そのような状況になりやすいです。

腹を括って、闘う覚悟がある方は
是非、自分自身に正直にまっすぐに生きてください。


土地売りボーちゃん率いる弊社では
自分に正直に生きていける環境を提供していく所存でございます。

正々堂々と正直に生きていきたいという思いが強い方
同じ想いを持った社長のもとで、ともに一花咲かせませんか?

僕は、「このお客様は、買わない方が良いと思ったのでそう伝えました!」と報告を受けても怒りませんよ。
ボ。



土地売りボーちゃんの起業秘話






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