大手企業部長の難易度=東大、という説
恒例の難易度判定シリーズである。今回は大手企業の部長になる難易度は学歴で考えるとどの程度か考えてみたい。
まず大手企業の部長になるには大手企業の難易度を考えなければならない。筆者は以前このような考察をしている。
大手企業の難易度を査定するのはかなり難しい。というか、ほとんど不可能だと思う。学歴のようにヒエラルキー化されて輪切りになっているわけではないからだ。
筆者がこのように比較が難しい二者を比較するために開発した手法が「併願対決法」である。AのメンバーのうちBになれる割合と、BのメンバーのうちAになれる割合が同一の場合に、両者の難易度が合一とみなせるという考え方だ。
例えば東大文一の合格者の慶応法学部の併願合格率が40%、慶応法学部の合格者のうち東大文一に合格できる者の割合が10%だとすれば、難易度が高いのは東大文一ということになる。この手法はかなり強力で、本来なら比較できない者同士を比較することが可能になるのである。
さて、大手企業への入社難易度はどれくらいだろうか。就職人気400社に内定できる割合は慶応で40%、地方旧帝大であれば30%を切る程度のようだ。ただし、弁護士などになる人もいるだろう。概ね早慶旧帝クラスの人間のうち、大手企業に進むことができるのは上位40%程度というのが相場ではないか。
一方、大手企業のうち、早慶旧帝以上の学歴の者の割合はどれくらいか。詳しく調べるときりがないが、大手企業の場合、平均を取ると40%くらいなのではないかと思う。大手企業に入れる人間のうち、早慶旧帝クラスの大学に入れたものは40%ということだ。
大手企業に入る難易度と早慶旧帝に進む難易度は同じくらいということだ。感覚論になるが、社会的威厳という観点でもいい具合なのではないかと思う。この2つの相関は中学受験と大学受験の相関よりやや高いくらいだ。このことは学歴フィルターの影響を想起させる。
さて、この中で部長になれる割合はどれくらいだろうか。会社によっても違うだろうから算出は困難だが、ネット記事によるとだいたい10%らしい。
以前の考察でレベル3の上位10%はレベル5に等しいことを考察した。早慶旧帝の上位10%は東大と等しい学力を持つことになる。
勉強と出世に必要なファクターは違う。「要求科目」が違うとも言いかえることができる。ただし、横断的に難易度を考えることは可能だ。早慶旧帝で学力上位10%に入る難易度と、早慶旧帝で仕事能力上位10%に入る難易度は同じと考えることができるだろう。これを応用して、大手企業で部長になる難易度は、東大に入る難易度と同様ということが言えるのではないだろうか?
東大=大手企業部長と考えると、妙にしっくり来るところがある。どちらもただ漫然と頑張っているだけではダメで、人生の大部分を競争に捧げる必要があるし、持って生まれた才能も必須だ。大手企業の社員が部長まで出世できる確率は、公立トップ校の生徒が東大合格圏に入れる確率と同じくらいである。
東大卒の悩みとして絶妙に「何者か」になれないという点がある。東大に行っても人工知能の研究者や世界を股にかける外交官になれるのは優秀層だけで、中間層は大手企業のサラリーマンになる。エリートと言えばエリートだが、普通と言えば普通だ。いわば「凡人のトップ」と言えるだろう。東大=大手企業の部長と考えれば結構いい具合なのではないか。大手企業の部長は会社の中では尊敬される地位にあるし、そこそこの社会的信用はあるが、大学教授とか野球選手に比べればやっぱり凡人感があるだろう。それと同じである。
ちなみに平凡な医者や弁護士はレベル4相当なので、大手企業の次長とか担当部長くらいということになる。うーん本当に両者の社会的地位って同じくらいなのだろうか。
東大卒に相当するのはグループ企業の役員やメガバンクの支店長ということか。東大卒⇒三井住友銀行⇒課長⇒転籍と早稲田卒⇒トヨタ自動車⇒支社長⇒関連会社役員が同じくらいの相場感ということになる。
なお、大手企業役員の難易度は計算上は東大理三と同じくらいである。サラリーマンであっても大手企業役員まで行くと本当に雲の上という感じがある。大学教授や野球選手と比べても遜色ないだろう。退任した官僚は天下りで大手企業の社外取締役になっていることが多いが、官僚になる難易度は流石に東大理三よりは低いので、だいぶ出世することになる。
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