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<MBTI>サイコパスの特徴と原理を16タイプで分析するとどうなる?

 サイコパス、この言葉はすっかり一般に浸透した。表面上は普通の人間と同じ行動を取りながら、その内面は人間離れした恐ろしいものとされる。中にはサイコパスの多い16タイプランキングなんてものが作られているようだ。世間で恐れられるサイコパス、その正体は謎に包まれている。

 それにしても、サイコパスに関しては誤解がされていることが多い。サイコパスと呼ばれている人間は実際はソシオパスだったり単に性格の悪い一般人だったりもする。今回はこうしたサイコパスの正体を16タイプ診断のプリズムを通し、考えていきたいと思う。

サイコパス・ソシオパス・アスペルガーの本質的な違い

 サイコパスに関しては様々な定義がなされているが、一般に言われるのは生得的に共感性が乏しい人間のことである。と言われてもしっくり来ない人間が大半だろう。職場で無神経なあの人や、出世至上主義のあの人サイコパスなのだろうかと思うかもしれない。しかし、こうした人物の大半はサイコパスではない。

 理解が難しいのは、サイコパスの特徴は共感性の低さという特徴が生来の性格からくるものだということだ。ここで重要なのは「性格」「能力」「価値観」の3つが別物であるということである。ここを認識している人間はかなり少なく、サイコパスに関する誤解の原因となっている。F型の「能力」が欠如しているのはアスペルガー、F型の「性格」が欠落しているのがサイコパス、F型の「価値観」が欠落しているのがソシオパスである。この三者はいつも混同されるし、理解している人間の方が少ないかもしれない。
(なお、アスペルガーは正式な医学用語から外されたので、サイコパスと同様の俗語となっている。ASDの診断を受けたい人間はネットの情報を鵜呑みにせず、専門家に頼ってください)

「能力」というのは文字通り「できる・できない」の問題である。F型の要素が能力的に難しいのがアスペルガーだ。彼らにとって、空気を読んだり人の気持ちを読むことは外国語のようなものだ。別に好きでそうしているわけではないのである。したがってアスペルガーの多くは対人関係に強い不安を抱えており、自身の無さが垣間見えることが多い。

 これに対し、性格は意図の問題がほとんどだ。性格を定義するのは難しいが、「ある行為を行った時にストレスを感じるか、快感を感じるか」といった説明が的確だろうか。サイコパスにとって他人に配慮するということは能力的にできないことはない。サイコパスの多くは場の空気を普通程度を読むことができるので、いじめに遭うことはあまりない。サイコパスにとって、他人の気持ちに配慮するということは、教師の命令でくだらない読書感想文を書いているようなものだ。「〇〇が素晴らしいと思って感動を〜」などと心にもないことを表現しているが、内心は面倒だと思っている。普通の人間は他人を蹂躙すると共感性からストレスを感じるのに対し、サイコパスは何も感じないだろう。

 能力も性格も普通だが、価値観の問題で他人への共感をしないという人間もいる。これはいわゆるソシオパスだ。ソシオパスの場合はサイコパスと違って基本的に後付けである。「他人に同情していたら生き残れない」等の理由でソシオパスは他人に薄情だ。例を挙げるなら、苦労を続けた結果他人に厳しくなったようなタイプである。悪徳商法などもソシオパス的かもしれない。サイコパスとソシオパスの最大の違いはその冷酷さがTPOに依存するかである。ソシオパスは前述の通り何らかの明確な理由で冷酷になっているため、例えば家族の前では普通の優しいお父さんだったりする。サイコパスは元からそうした機能がないので、どこに言っても平常運転である。

 また、よくある誤解なのだが、サイコパスと暴力性には全く関係がない。サイコパスの中にも内向的で大人しかったり、暴力は嫌と考えている人間なは大勢存在する。単に暴力的なサイコパスの一部が目立ちやすいということに過ぎない。サイコパスは共感性の無さを隠していることが多いが、一方で暴力性に関しては最初から人並みであることがほとんどだ。モラハラ等も同様で、苛立っているソシオパスの方が実は攻撃性は高い。

T型とサイコパス

 筆者の思うところのサイコパスは、T型の性質が異常に強い人間のことだ。これ以外の要素は実はあまり存在しない。サイコパスの特徴としてしばしば衝動性や好奇心が挙げられることがあり、これらはTP型と関係しているように思える。しかし、筆者の見解によれば、サイコパスの行動原理とP型の性質に強い繋がりはない。目立った問題行動を起こさないだけで、TJ型のサイコパスも存在しているはずだ。単に遵法意識が高いため、そこまで目立たないだけだろう。

 サイコパスの興味の持ち方は独特であり、それがTP型の特徴と合わさって異様な状態に見えるのかもしれない。筆者の観測範囲内であっても、サイコパスの奇妙な生態は際立つ。筆者の観測範囲内でも、例えば転んで流血している人間を面白がって写真撮影している、といった光景を見たことがある。普通の人間であれば、直感的にやばいということは理解できるはずだ。世間体や同調圧力の問題ではなく、通常の共感性を持っている人間は人が痛がっている様子を面白いと思わないのである。

 TJ型のサイコパスはめったに本性を表さない。日本人の半分程度はなぜかサイコパスの存在に気がつく能力がないため、TJ型のサイコパスは「良い人」と認識してしまうだろう。TJ型のサイコパスは規範意識が強いため、TP型のような反社会的な行動に出ることはない。TJ型のサイコパスは気味が悪いほど合理的な行動を取るので、組織社会においても優秀と扱われることがある。ある意味で組織に忠実であり、従順な歯車になる素質は高いのかもしれない。

 サイコパスの特徴はT型の性質とかなり強い関係を持っている。対人関係のあり方は独特だ。なんというか、異様にさっぱりしているのである。感情的な連帯感はなく、単に利益になるとか、面白いといった感情だけで繋がっている。危害を加えた相手とは普通は気まずいので付き合いたくないはずだが、サイコパスはこうした感情がないので、問題が解決すれば普通に話しかけたりする。まるで廃車に出そうとした車をまだ乗れそうだからと気づき、もう一度乗っているような感覚である。これは「論理的」な行動ではあるだろう。

 例えばしばしばサイコパスと言われる毛沢東を考えてみよう。毛沢東は文化大革命で何人もの盟友を粛清した。これは独裁者にとって当たり前のことだ。毛沢東の異様なところは、粛清したはずの鄧小平を状況が変わったからとあっさり呼び戻し、ケロっと盟友に戻そうとしたことだ。普通の神経であれば、粛清した人間を自分の都合で呼び戻して仲間として使おうとは思わないだろう。気まずいからだ。毛沢東は万事がこの調子である。スターリンが恨まれている恐怖で震えていたり、ヒトラーがレームの粛清で最後まで悩んでいたりという話が伝わっているのに対し、毛沢東は恨まれたくないとか、可哀想といったエピソードが全くない。金日成がファミリー独裁に乗り出したのに対し、毛沢東は自分の子供ですら面倒だからといって捨てているのだ。こうした身内に対する関心のなさはサイコパスの大きな特徴である。敵に冷酷なのは人間として当たり前のことだ。むしろサイコパスの異様さは味方に対する冷酷さで現れる。

 T型は個人主義的な傾向が強いが、サイコパスはそれが極端だ。彼らに他人という存在は本質的に存在しない。長年付き合った相手であっても、そこに特別な親近感が湧くわけではない。単に「慣れた」相手というだけだ。サイコパスは動物的な存在であり、自己の生存と欲望のために徹底して合理的に行動するのみである。サイコパスは悪人というよりも、むしろ昆虫に近い。

 筆者の知る限り、サイコパスは人文系の分野に深く没入することはない。学術的知識として面白がるという人間は沢山存在しているが、人生のあり方を投影したり、心の支えにするという人間は見たことがない。あくまで学術的・知識的な興味に留まる。ここもT型の性質が強く現れている。

 先程の述べたが、サイコパスと暴力性に関係はないし、人間関係もさっぱりしている。そのため、実はソシオパスの方が攻撃性は高い。ソシオパスに逆らった結果、機嫌を損ねてターゲットになるということは良くある。しかし、サイコパスにそのようなことはない。サイコパスは逆恨みをするということはないし、自分より強そうな相手や反撃してきそうな相手はスパっと諦めてしまう。そこに関しては論理のみが存在し、モヤモヤ感は存在しない。

16タイプとサイコパス

 16タイプ別にサイコパスの表出の仕方を考えてみよう。

ENTP
 一番描かれやすいタイプだが、ENTPが他のタイプに比べてサイコパスが多いとはあまり思わない。おそらく、ENTPのサイコパスは目立ちやすいのではないかと思う、ENTPは元々攻撃性の高いタイプであり、通常の悪さではなく、特有の手法を開発することが好きだ。ENTPのサイコパスは独特の興味の持ち方がサイコパスの異様さと相乗効果を生みやすいと考えている。

ESTP
 これもわかりやすいタイプである。おそらく反社会勢力などの多数存在しているはずだ。ESTPサイコパスは直接的な暴力や性行動などに訴える可能性が高いが、ESTPのアウトローは元からそうした物事を好むため、サイコパスの生態は意外に目立たない。

INTP
 サイコパスの総数としては、ENTPよりも多いだろう。ENTPと比べると攻撃性が低く、残忍さは目立たない傾向がある。ただそれでもN型特有の発想力により、人間性の欠落を表すことが多い。

ISTP 
 総数としては一番多いだろう。まんべんなく存在しているイメージである。INTPよりもヤバさに気づかれにくい。

ENTJ・ESTJ
 このタイプのサイコパスを観測したこともある。出世のために部下を潰す異常人物といった雰囲気もあるが、それ以上に歯車感の方が強い。性格が悪そうな人間はほとんどいない。むしろ気味が悪いほどの淡白さが特徴だ。相手が喜ぼうが苦しもうが、一貫して淡白なのである。伝統的な日本企業にはあまり向かないが、共感性をあまり重んじられない業界では結構活躍している。

INTJ・ISTJ
 観測したことはあるが、普通に暮らしていれば見分けるのは難しい。社会生活上の問題を起こすことはほとんど無いのではないかと思われる。同僚にいたら気味が悪いかもしれないが、気をつけていれば被害を被ることはない。このタイプのサイコパスは結婚しなければ問題はない。社会的成功を収めているサイコパスはこのタイプではないかと思う。

F型
 おそらく存在しない。

サイコパスの対処法

 サイコパスは過大に恐れられているが、攻撃性の強い一部の人間を除き、じつは深刻な問題になることは少ない。サイコパスは対処法が簡単であり、やり方さえ身につければ脅威になることはない。

 サイコパスははっきりと断ったり、反撃をほのめかしたり、厄介な相手と思えばすぐに手を引く。関わっても得しないと思うからだ。ここの諦めは異様にさっぱりしている。「生意気だ」と思ったり、沽券に関わると感じることはない。嫉妬心すらほとんどなさそうだ。サイコパスが一番問題になるのは上司になる時だろう。ここは関係が非対称になるため、サイコパスに権力行使を思いとどまらせる反撃方法が封じられてしまうのだ。ただ、それでもはっきり物を言う相手には強く攻撃はしない。サイコパスは動物的なので、明確な弱みを見せなければそこまで問題にならない。

 むしろ厄介なのはソシオパスである。一般に言うモンスター上司やいじめ常習犯などはソシオパスであることが多い。ソシオパスは普通の人間なので、プライドが高いし、気性も荒かったりする。自分の不安を解消をしようと他人を攻撃したり、自分の優位性を誇示しようとする。こういう人物に絡まれると厄介である。

 サイコパスは動物的、というより動物と思って接すればあまり違和感はないだろう。本質は動物で、知能と興味と社会性が異様に発達している状態だ。たぶんドラえもんのひみつ道具で(単独生活の)動物に会話させるとこんな状態になるのろう。しかし、ソシオパスは歪んだ人間なので、遥かに厄介だ。人間の敵は結局人間なのである。

サイコパス論の是非

 サイコパスには他にも興味深い特徴が沢山存在するが、それらを語っていくと長くなるので別の機会にしたいと思う。

 サイコパスは人口の1%と言われる。筆者の経験からしても、だいたいそれくらいだと思う。人間の知人は1000人と言われるので、今まで10人のサイコパスと知り合ってきたことになる。ただ、非常に重要なことはサイコパスが極めてレアな存在であり、人間関係のトラブルの大半はサイコパスとは無関係なところで発生するということだ。日常生活で問題となる人物の大半はサイコパスではないだろう。むしろそうした人物に対するレッテル張りとしてサイコパスという用語は使われている。

 サイコパスに対する偏見は多いが、どうにも筆者はサイコパスの幸福のために彼らを擁護してあげようという気にはなれない。筆者はサイコパスではないので、きちんと返報性の原理が存在しているし、共感性を持たない相手に共感性を働かせる気にはならないのである。アスペルガーは同情したくなるが、ソシオパスはただただ腹の立つ存在であり、サイコパスは薄気味悪い。これが普通の人間の感想だろう。

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