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『地雷系INFP』という魔物について解説する

 INFPはとにかく「生きづらい、生きづらい」と叫んでいる。これは実際にINFPが社会生活上の困難に突き当たることがおおいからでもあり、彼らが自らの生きづらさを見つめるのが好きだからでもある。

 INFPは一般に男性の方が女性よりも予後が悪いとも言われる。F型は全般的に「優しい」、裏を返せば「軟弱」という印象を与えることが多いからだ。ESFPとかENFPであればそれでも大して問題にはならないのだが、INFP男性の場合は結構ハードモードである。「弱い」ことが社会的に良しとされない男性社会ではINFPの上昇志向の乏しさや他者共感への感性の鋭さはことごとくハンデとなってしまう。男性の多くを占めるST型からは変なやつと思われやすい。

 となると、INFP女性は男性よりも生きやすいのだろうか?この結論を出すのは容易ではない。しかし、一つだけ言えることがある。INFP女性は男性にはできない「弱者性を押し出す」という手段が取れる。一般的なジェンダーロースでは強い弾性は弱い女性を守るのが責務とされている。弱い男性は女性を引き上げることができないが、弱い女性は男性に引き上げてもらうことができる。INFP女性は弱者性を抱えていても、ハンデが少ないどころか強みにできたりもするのである。

 それではそんなINFP女性はどのような振る舞いを見せるのだろうか?今回はそんな考察である。最初に断っておくが、これはINFPの見せるほんの一形態に過ぎず、多くのINFPは真っ当に生きていることは間違いない。

地雷系INFPとは

 筆者が今回論じたいINFPは基本的に女性であり、普通は「かわいい」と思われていることが多い。もちろんここでいう「かわいい」とは必ずしも顔が整っているということではない。顔がブサイクでも謎の能力で男をゲットする女性は枚挙にいとまがないし、INFPの優れた想像力や表現力を考えれば多少の顔の造形をひっくり返すことは造作もないことだろう。今回の記事でいうところの「かわいい」とはかなり相対的なものである。

 このようなINFPについて何か名前が必要だ。仮に「地雷系INFP」としよう。理論上は男性でも存在しうるのだが、大半は女性だ。

 INFPは人間の心理に訴えかけるのがうまく、その表現力はかなり卓越している。この能力を闇落ち方向に使うと、相手の同情を買い、自分の思う方向に捻じ曲げようとする困った人が誕生してしまう。特にINFPは自らの生きづらさを考えることが好きなので、自らの弱さを開示し、そこをダシに男性を惹きつけることが多い。気分で相手をコントロールしようとする場合もある。

 この能力はINFPだけではなく、INFJやENFPといった人々も持っているだろう。ただし、これらの人種が表現力を悪用する時はINFPとは異なった様式であることが大半だ。

 地雷系INFPは「かわいい」と男性に思わせることが得意であり、その優れた表現力を使って男性に恋心と同情心を抱かせることが狙いだ。そうした男性に寄生することで自己承認欲求を満たしていることが多い。もちろん社会経済上の利益を得ることも目的の一つなのだが、そこが本当の目的ではない。ここがSF型との違いである。SF型は見かけによらずかなりシビアなところがあり、気立てが良くても心の底では現実的な計算が働いていたりする。一般的な「あざとい女子」や結婚詐欺師はこっちである。

 いわゆる「メンヘラ」に含まれることも多いが、メンヘラの多くは地雷系INFPとは異なる価値観を持っている。単に不安性だったり、浮気を疑うタイプだったりすることが多い。地雷系INFPのようなファムファタール性はこの手のタイプにはない。

 といっても抽象的な説明が続くので、なかなか伝わりにくいと思う。全日本人が知る、地雷系INFPの最も極端な例はこの人である。

頂き女子りりちゃん

「頂き女子りりちゃん」こと渡邉真衣被告は地雷系INFPのもっとも典型的な例である。かなり極端ではあるが、地雷系INFPの特徴がかなり色濃く出ているだろう。

 りりちゃんがINFPであることはほぼ間違いないと思う。一般的なSF型の詐欺師(例えば木嶋佳苗死刑囚)とは明らかに雰囲気も言動も違う。「世話焼きタイプ」でもなければ裏表があるタイプでもなく、シビアで現実主義的な雰囲気もそこまで伝わってこない。延々とポエミーなことを言い続けている。りりちゃんは男性の夢を弄んだかもしれないが、りりちゃん自身も何かをきっと何かを夢見ていたのだ。だから男性にとってはりりちゃんが根っからの嘘つきには見えなかったのだろう。確かに多額の金銭をせしめているのだが、それはもっと大きな何かの一環のように思えるのである。その何かといえば、もちろんNF型の求める究極の目的、「承認」に他ならない。

 頂き女子りりちゃんがなぜここまで世間の注目を浴びることになったかというと、その独特の表現力が人々の心にインパクトを残すからだろう。「頂き女子」とか「おぢ」といった表現は本当に耳に残る。頂き女子りりちゃんのXは30万フォロワーという盛況ぶりだ。りりちゃんの言動や文章を読んで「闇のギフテッド」なんて呼ぶ人もいる。りりちゃんのカリスマ性は一部の女性に刺さったようで、りりちゃんのマニュアルを真似して同様の行為に走った人間が大勢存在するようだ。りりちゃんはどうにも人の心理を見抜くのがうまかったようだ。こうした特徴は全てN型のものである。

 INFJも似たような闇落ち形態になるかもしれないが、INFJの場合はうちに秘めたダークな世界観を持ち、一貫した行動を取ることがほとんどだ。それがいかに世間からみて異様だったとしても、一種の倫理観とも言えるだろう。一方、りりちゃんは薄っすらと思想めいたものも発信しているが、今ひとつ一貫性がなく、正直言って怠惰で自堕落な印象を受ける。りりちゃんの行動原理はどこまで行っても気分によって揺れ動く承認欲求であり、倫理観めいたものは期待できない。これがINFJとの違いである。

 ENFPはどうかというと、結論から言うとENFPでもこのような方向に行くことはあると思う。ただし、ENFPの多くは呆れるほど楽観的で、能天気なことが多い。りりちゃんのような「傷ついた心」を開示してくるようなことはまず無い。ENFPは男性に褒めそやされることは多くても、INFPの絡め取るような承認欲求はなく、どこまで行っても天然さんである。男性を振り回すとしても、単に行動が自由奔放なだけだ。ENFPは承認欲求を満たす時は必ず目立ちたがる方向に向かうので、特定の男性に依存することはあまり無い。

 りりちゃんは確かに詐欺師ではあるのだが、本当の意味で金に執着していたわけではないと思う。それはより大きな心の穴を埋めるための手段だったのだ。そして重要なことは、「かわいいINFP」にとって男に依存することは社会経済上の達成で問題を解決するよりも遥かに容易であるということである。もしこれが「ブス」だったり、男性だった場合は、こうした手段を取れないので、自分の生きづらさと向き合いながら真っ当な方法で解決を目指していくことになる。一方、地雷系INFPの場合は思春期に男性にチヤホヤされることを覚えるので、真っ当な手段で折り合いを付けることができず、不適切な方向へ突き進んでいくのである。

地雷系INFPの生態

 地雷系INFPの概略を説明したところで、もっと具体的な地雷系INFPの生態について考えていきたい。わかりやすいので頂き女子を例に上げたが、別に地雷系INFP=詐欺師というわけではない。それは本当に一部に過ぎない。実態はもっとマイルドで日常的である。

 地雷系INFPは初対面は普通であることが多いが、どうにも愛嬌があり、印象に残ることが多い。そしてちょっと仲良くなるとすぐさま自身の生い立ちについて話してくる。ここに嘘偽りはあまりない。生い立ちに関する疎外感は彼女らにとってはアイデンティティの中核を占めるものだ。正直、N型の多くは幼少期のどこかしらに疎外を感じていることが多いので、アイデンティティの確立としてはそこまで不自然ではないと思う。しかし、地雷系INFPの多くはそのアイデンティティの弱い部分を他人に開示し、同情と恋愛感情を喚起しようとする。これが特徴である。地雷系INFPは「かわいそうな自分」を表現することにかけては天下一品だ。心はただただ純朴でキラキラしているように見えるのだ。だから相手の問題点に気が付いたとしても、男性はそこも含めて救ってあげたくなってしまうのである。

 地雷系INFPは基本的に社会経済上の達成度は高くないことが多い。例えば学歴的に早慶旧帝以上の人間は稀だ。地雷系INFPは地頭は悪くないと言われることもあるのだが、早慶旧帝以上の大学に入学するには地頭だけでは厳しく、相応の努力が必要である。地雷系INFPにこうした努力と達成を期待するのはほぼ不可能だ。早慶旧帝以上のINFPで不健全な人間は大勢存在するが、地雷系INFPとは性質が違う。高学歴INFPは人生のどこかしらで自力での達成経験があるため、「人のふんどしで相撲を取る」という振る舞いに馴染みがないのである。

 同様に、地雷系INFPで一流企業に進んだという人間はほとんど見たことがない。就職やキャリアに対する意識が低いというのが大きな要因だろう。資格試験で一発逆転という人間は見たことがあるが、実際に合格したという話は聞いたことがない。社会的な達成に不可欠なのはTeなのだが、地雷系INFPはそうした頑張りを放棄して久しいので、社会的な達成を自分で成し遂げることはない。社会的な達成を成し遂げた人間に近づくのみである。

 言うまでもなく、地雷系INFPで体育会系の人間はまず存在しない。運動系の部活に所属していた話はあまり聞かないし、あったとしても体育会系のレベルではないと思う。中学はまだ良いが、高校くらいから練習強度の関係で部活にはついていけなくなるだろう。一方、文化系の部活はそこそこいるようだ。単純に緩いという理由がほとんどだが、文化系の活動と相性が良いという要因もある。やはり根はINFPなので、かなりの文化的素養があることも多い。岩波文庫のような難易度の高い書物も読み込んでいることがある。

 地雷系INFPは基本的に女社会でのカーストは低い。良くて2軍であり、3軍やそれ以下であることも多いだろう。中高のクラスのような環境で地雷系INFPが評価される可能性は皆無といって良い。なぜなら地雷系INFPの得意とする「男性にチヤホヤされる」という特技が無効化されるからである。中高時代の地雷系INFPが活動するとすれば、それは学校の外の何か(パパ活やネットでの出会い)である。ただ、そこまでやばい地雷系INFPは多くないので、普通は浮かばれない中高時代を過ごすだろう。

 地雷系INFPが本格的に活動を始めるのは大学以降なのだが、その理由は均質性の高い同性コミュニティから解放されるからである。地雷系INFPが女性の多い集団にいることはまず無い。基本的に少人数で行動するか、男性の集団に混じっているだろう。チアリーダー部やOLのようなジェンダーロールの強い場所に馴染むことはない。地雷系INFPの典型例は「オタサーの姫」である。こうした場所では女社会の目を回避できる上にチヤホヤしてくれる男性も多く、しかも彼らは目が肥えていないことがほとんどだからである。N型は基本的に日常生活を共にしていない相手とコミュニケーションを取るのが得意なので、他大学のサークルに参加したり、全く接点のない相手と知り合うことが多い。この手の男絡みの行動力は本当にエネルギッシュである。

 地雷系INFPは健気で愛嬌がある。そしてどこか色気もある。しかし、いざ交際してみると、精神は不安定で、男性を振り回してくる。男性が自分のわがままに付き合ってくるのが、何よりの承認だと思っているのだ。必ずしも情緒不安定とは限らないが、打たれ強さは全く無い。普通のINFPが我慢して乗り越えているところを、地雷系INFPは男性が助けてくれるので、INFPの良くないところを包み隠すことなく顕現してしまう。これはかなり不適切な状態である。

 地雷系INFPは男性に自己承認欲求を依存している。それにも関わらず、頻繁に浮気をしたりする。同時に複数の男性と付き合っていることも多い。付き合ってなくても繋がりはあるはずだ。「依存先は複数もつべきだ」という話があるが、地雷系INFPの場合はそれがなんともグロテスクな形で実行されている。地雷系INFPはINFJのような一本筋がなく、倫理観や規律という概念に無関心なことが多いため、二股は特に問題ではないのだ。男性と破局しても、また次が見つかるだろう。ここの変わり身の速さは驚くべきである。

地雷系INFPの末路

 地雷系INFPが最終的にどうなるのかはわからない。少なくとも、大企業で出世するような人生とは縁遠いのではないかと思う。地雷系INFPはある段階で社会的達成のために頑張ることを放棄して男性に依存することを覚えてしまっているため、自力で社会的成功を実現することは難しいのではないかと思われる。この点、SF型の場合は現実的なのであざといキャラでも普通の人生を歩んでいたり、それどころかあっさり転身してバリキャリ街道を歩んでいたりもするのだが、地雷系INFPにはそのような可能性は殆ど期待できないだろう。

 生存戦略として現実的なのはどこかの段階で結婚することだ。というか、地雷系INFPにとってはほぼ唯一の出口戦略だろう。鼻が効く男性は地雷系INFPにはまず近づかないだろうが、世の中にはそういうのに疎い男性も多い。地雷系INFPはどうにかして市場価値の高いうちに婚活し、どこかの扶養に収まらなければならない。ただし、その後の結婚生活が順調かはわからないが。

 INFPはナチュラルな状態では社会適応が難しい。少なくとも思春期辺りで一つペルソナを作っているはずだ。そうでない場合でも何らかの点で頑張ったり、我慢したりして、社会適応をしている場合が多い。INFPの生きづらさはその頑張りの裏返しという側面があるだろう。INFPの自己承認欲求はかなり荒唐無稽なので、ある段階で現実と折り合いを付けなければならない。

 ところが「かわいいINFP」の場合は思春期近辺から男性にチヤホヤされるという方法論を身につけることがある。この方法は自力で達成を頑張る必要がないし、ダイレクトに承認を勝ち取ることができるので、INFPにとっては麻薬のような効用があるだろう。ただし、これは危険な罠でもある。INFPにとって最も重要な「現実と折り合いを付ける」という宿命が放棄されてしまうからである。夢に向かって努力し、途中で挫折するのも良い。ペルソナを被り、生きづらさを感じながらも社会に参加していくのも良い。苦労したことが後から生きてくるということもある。地雷系INFPはこうした努力を一切せず、ただただ男性に依存して承認欲求のシャワーを浴びるだけだ。

 今回は地雷系INFPについて論じたが、これはINFPのうちほんの一部である。「美形のINFP」と地雷系INFPも違う。美形のINFPのうち、地雷系INFPに移行するのは一部に過ぎない。そういった事情に関してもいつか論じてみたいと思う。

まとめ

 今回はINFPの闇落ち形態について論じてみた。INFPにとって現実は高くそびえる壁だ。社会で生きていくためにはどんなに厭わしくても現実と折り合いを付けなければならない。INFPの感じている「生きづらさ」の正体はこれである。

 ところが、地雷系INFPは自ら頑張るのではなく、男に依存・寄生することで満たされない自己承認欲求を満たそうとする。これはある種の「チート」であり、その場限りでは良くても、長い目で見れば深刻な結果になるだろう。地雷系INFPは自力で頑張ったり、現状を受け入れたり、集団に染まったりする努力をせず、肝心なところは常に他力本願だ。

 こうした形態はINFPのうち、女性でかつ「かわいい」と言われるタイプに起きやすい。男性や非モテ女性の場合とは違い、思春期になると男性に依存するという手段に目覚める人がいる。若くてきれいな内は良いが、このやり方がいずれ通用しなくなることは明らかだ。

 というわけで、これを読んでいるみなさんは地雷系INFPには注意した方が良い。筆者の周囲でもこの手のタイプに引っかかって苦しい思いをした人間は多いのである。一度ハマってしまうとなかなか抜け出すのが難しいので、冷静に慎重に人間関係は査定すべきだろう。

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