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<MBTI>各タイプの仕事のモチベについて考察する

 MBTIに関する議論として必ずと言っていいほど登場するのが職業にまつわる話題だ。確かに世の中の人間にとって一番関心が高いのは仕事だろう。人生で一番活動的でいられる現役世代は一日の大半を仕事に捧げる。専業主婦も昔は多かったが、現在は減少傾向だ。日本人の3割には子供がいないが、仕事をしていない人間はほとんどいないだろう。そんな人生の根幹を支える仕事に関する各タイプの価値観を考えてみたいと思う。

出世志向型

ESTJ

 ESTJの仕事のモチベーションは「組織に評価されたい」である。ここに何の疑問もない。SJ型は大半の職業に関して無類の威力を発揮するが、ESTJはその中でも筆頭だろう。仕事のうち、不規則な対応や斬新な発想を要求されるのは一部であり、90%はルーチンだ。こうしたルーチン的な業務に意欲的に取り組めるのがSJ型という人種なのである。

 その中でもESTJは出世欲が程よく高く、集団行動を好む特性がある。会社が求める仕事を実行して評価されることこそが彼らにとっての仕事だ。生まれながらの体育会といってもいいだろう。N型とは違った意味で、ESTJにとっては日常生活と仕事の区別があまりないのかもしれない。

ENTJ

 ENTJの仕事のモチベは「社会で優秀さを示したい」である。ENTJは全タイプの中でも最も出世志向が強いと思われる。彼らにとっては社会で能力を誇示して評価されることが人生であり、それ以外のことにはあまり関心がないだろう。N型の例にもれず、彼らにとって仕事は単なる金儲けの手段ではない。仕事とは社会参加であり、ある種のライフワークなのだ。

 ENTJはしばしば自己主張が強く、自律性が高いと言われる。人から言われた仕事を淡々と実行するだけではENTJは満足できないだろう。彼らは何か新しいことを起こすのが好きだ。そうして社会に影響力を行使し、称賛を浴びることが彼らの生きがいなのである。

 なお、これまたN型の例にもれず、ENTJは「仕事だから」そうしている訳では無い。学校であろうが、趣味であろうが、本質はあまり変わらないだろう。仕事と人生の価値観があまり分離していないのがENTJである。

ENTP

 ENTPの出世志向はかなり強い。ただし、会社組織の枠内に留まるような出世ではない。彼らの出世観はかなりの型破りだ。ESTJとは真逆と言ってもいいだろう。起業して大儲けするにせよ、副業でYouTuberになるにせよ、世間をあっというようなことを起こして称賛されたいのがENTPだ。彼らの究極のモチベは「目立ちたい」かもしれない。

 E型の例にもれず、ENTPの価値観も外向きだ。仕事から切り離された自分の人生という人生観はなじまない。たとえ田舎でスローライフを過ごすにせよ、結局はブログに掲載して目立ちたがるのがENTPだ。典型的な仕事人間とは様相を異にするが、社会参加へのモチベは非常に高いだろう。彼らにとって仕事とは実利と社会参加と趣味の入り混じったカオス的なものに違いない。

実務志向型

ISTJ

 ISTJは究極の実務人間だ。仕事のモチベは「仕事だから」である。特に考えることもなく、与えられたミッションをコツコツと実行するのが得意で、職場で信頼されるタイプである。ただし、ESTJと異なり、体育会系適性は並みだ。変化が少ない事務職に適性があるタイプでもある。

 ISTJはESTJと比べると個人の日常を大切にする傾向がある。仕事から切り離された日常というものの価値が高い。安定した仕事に就きながら、家庭を持つという堅実な人々である。夢を追いかけるタイプでもなければ趣味に生きるタイプでもないだろう。

ESFJ

 ESFJの価値観はESTJと比べて遥かに人間志向だ。彼らのモチベは「職場のみんなに貢献したいから」だろう。総じて調和を好み、出世志向はそこまで高くない。集団行動への適性が極めて強いタイプであり、職場の求めている空気をいち早く察知し、そのために働くのを生きがいにするタイプである。

 彼らは基本的に頼られるのが好きだ。「ありがとう」と言われるときほど嬉しい瞬間はない。そしてそれが一番実行可能なのは職場だろう。ただし家庭や趣味といった他のコミュニティでもESFJは価値を発揮することができるので、仕事全振りという人は多くないかもしれない。

実利志向型

ESTP

 ESTPの仕事観は極めて単純だ。それは「金が儲かるから」である。S型の例に漏れず、仕事内容へのこだわりはそこまで強くない。金が儲かるとESTPは仕事を頑張るし、金が儲からないとESTPは仕事を頑張らない。彼らの成功とはリッチになることだ。クルーザーを乗り回し、高級ワインを片手に若い美人を侍らせるというステレオタイプ的な勝ち組に一番共感できるのがESTPだろう。

 ESTPは金が儲かるとなれば途端に嗅覚が光るし、実務能力も高い。彼らは仕事でバリバリ儲け、どこからともなく現れたパリピと景気よく飲み明かすのが最高の幸せだろう。ビッグモーターのような職場はINFJにとっては地獄以外の何者でもないが、ESTPにとってはそこまで悪くないはずだ。理由はもちろん「給料が高いから」である。

ISTP

 ISTPの価値観も概ねESTPと同じだ。「金が儲かるから」である。ただし、ESTPよりも個人の人生を重んじる傾向が強い。それなりに自分の興味を掘り下げたり、マイペースに生きることを肯定するタイプでもある。従って「興味のあることで商売をしたい」というモチベもそれなりに強い。副業で収入を増やすことにも興味を持ちやすい。

 ISTPはESTJのような出世志向にはならないだろう。少なくとも企業内で出世することにはそれほど関心は強くないのではないか。出世のリターンは金であり、それ以外の意味は特にない。ESTPのようにオラオラしたいという欲も少ない。こだわりも野心もある程度はあるが、一定程度に留まり、生活のための仕事と両立する人たちという印象である。一番バランスが取れているように思える。

ほどほど志向型

ESFP

 ESFPは仕事に関してそこまでの野心もなければ理想もないだろう。職業選択に希望があっても、なんとなく興味があるからといった動機が多いはずだ。彼らの仕事のモチベは「場の空気」である。

 ESFPは調和を重んじるし、ユーモラスだ。多くの職場で好かれている人たちだろう。就職のモチベ事態は極めて現実的な観点だが、入ってからはなんとなく場の空気で働いている感じだ。ESFPにとって仕事は学校と同じで、ある種の社会参加なのだ。

ISFP

 ISFPはまさに「ほどほど志向」の価値観だろう。強い野心もなく、仕事上で実現したい理想もそこまで多くないだろう。基本的にマイペースな人たちであり、仕事と人生を分けて考えている。彼らの仕事のモチベは「生活のため」ではないか。

 ISFPは仕事は仕事として割り切っていて、特にこれといって求める自己実現はない。それよりも家庭の方が居場所だろう。毎日安心して生活できて、平和ならば十分だ。ISFPにとっての人生はまさにファミリードラマのような「日常」だ。

ISFJ

 ISFJもまた、控えめでおとなしい人々だ。仕事に関してもそこまでの野心も理想もないだろう。仕事はしっかりやる方だが、業務の達成よりも周囲の人間の方に目が向いている。周囲の反感を買わないようにきっちりやるべきことを実行したいという人種がISFJである。彼らの仕事のモチベは「きちんとしたい」ではないか。場の空気に従ってやるべき仕事を満足が行くように行うのがISFJである。仕事と切り離された自分の人生は一応持っているが、ISTPやISFPほど強くはないだろう。

社会志向型

ENFP

 ENFPにとっての仕事のモチベは「冒険」である。どゆことやねん、と思うかもしれないが、EN型はこんなものだ。EN型にとって人生の冒険の旅であり、仕事はその中でも最も割合が大きいものになる。社会で名が残っている人間はほぼ全てが仕事で名を残した人だ。刑事ドラマだって医療ドラマだって、仕事をテーマにしている。ENFPにとって仕事とは社会参加の手段という側面が強いのだ。

 ただし、ENFPはENTPやENTJと違って競争意識が強くない。むしろ色々な人と出会って成長し、社会にインパクトを与える何かになりたいという願望が強いはずだ。したがって彼らにとっての人生は出世競争というよりも「冒険」といったよりファンタジー的なものになるはずだ。

ENFJ

 ENFPと比べるとENFJの方が真面目だ。彼らの仕事のモチベは「社会で輝きたい」であろう。採用パンフレットに是非載せたいような人種である。

 ENFJは他のEN型と同様に社会参加というモチベが強い。特にENFJ型は社会貢献として何かプラスの活動をやっている状態を理想とするはずだ。単なる生活の手段としての仕事であってはならない。社会の中で自分の能力を発揮し、それによって社会からも評価される、そうした自己像がENFJが仕事で追求したいものなのだ。N型は仕事に関して理想主義的傾向が強いが、ENFJもまた例に漏れないのである。

興味志向型

INTJ

 INTJのモチベは複雑だ。理想主義とも出世主義とも考えることはできるが、評価のために何でもかんでも手を出すタイプではない。組織にがむしゃらに貢献することに関しても冷ややかだろう。人との交流や社会参加それ自体が目的というわけでもない。

 INTJのモチベは「興味のある分野で能力を認められたい」だろう。INTJは建築家などどあだ名がされることが多いが、まさにINTJの気質を表していると言える。集団に左右されない自分の世界で物事をじっくり追求するのがINTJにとっての理想的な環境だ。こうしたINTJの特性は学者や専門職に対する相性を良くしている。ENTPのように世間を賑わせたいわけではなく、自分たちの活動をちゃんと評価してくれるような業界内部での評価を重んじている事が多い。仕事と並行して業界誌に論文を載せているようなタイプだ。

INTP

 INTPの仕事のモチベは「興味を満たしたい」だろう。INTJよりも遥かに自由奔放なオタク気質だ。自分の興味のある分野で能力を発揮するときほど楽しい時間はないだろう。

 EN型は人生と仕事が一致していることが多く、IS型は人生と仕事が分離していることが多いが、IN型に関しては非常に不規則だ。INTPの場合はその極端な例かもしれない。自分の興味を完全に満たしてくれる職にありつけば、INTPは究極の仕事人間になるだろう。他のことはしたくないはずだ。

 しかし、実際はこうした職を掘り当てられる人間は少なく、普通のサラリーマンにはINTPの興味を満たせる要素は少ない。この場合はINTPは仕事と人生がかなり分離した状態になる。仕事は生活の手段として割り切り、空いた時間に趣味を追求して人生の目的を満たすといった具合だ。自由奔放なINTPと実務的な有能さを追い求めるINTJは出世度が大きく異なるのではないかと思われる。少なくともサラリーマンとしてのINTPはあまり仕事に関して期待してなさそうだ。

理想志向型

INFP

 INFPの人生は難しい。彼らはINTPと同様に自分の興味を満たしたいタイプだろう。ただしINFPの興味はINTPと比べても遥かに曖昧模糊としているし、非物質的だ。カウンセラーやイラストレーターのような一部の仕事を除き、INFPは仕事に自分の興味を持ち込みにくい。また、ENFPのように人生を冒険と捉える傾向もある。人との繋がりは欲しいが、社交性を強要されるのは勘弁だ。こうした複雑さがINFPが悩んでしまう原因かもしれない。

 INFPの仕事のモチベは「現実と折り合いをつける」かもしれない。INFPは出世競争にはそこまで興味がないし、そうした概念自体を嫌ってもいる。IS型と違って代わり映えのない日常に満足するタイプでもない。しかし、現実は理想通りにはいかない。常に今とは違う理想を考えながらも折り合いを付けなければ行けないのがINFPなのだ。

 私はINFPが社会不適合とは思わない。恋愛や家庭といった分野に関してそこまで問題を抱えるタイプではないだろう。人間関係づくりに関してはむしろ得意な方かもしれない。単純に組織社会や資本主義との相性が悪いだけではないだろうか。

INFJ

 おそらくINFPよりも遥かに強烈な理想主義を持っているのがINFJである。INFJの仕事のモチベは「理想を追求したい」だろう。そして、この目的は普通の会社員には極めて困難だ。INFJはINFPはと同様に生きづらさを抱えやすいタイプであり、仕事に関してもそうだろう。

 INFJは特定の職業に対して夢を持つことが多い。「どうしても医者になりたい」といったものだ。そしてその動機は金やステータスではなく、非常に真摯なものである。INFJは人に貢献するのを重んじるタイプであり、世のため人のためになる活動を好むだろう。この点ではENFJと良く似ている。

 ただし、INFJの理想の追求はサラリーマンのような環境ではほとんど不可能と言っていい。組織の言うことに従って利益を上げることが至上命題の企業がほとんどだろう。しばしば汚い話も出てくる。こうした利益優先の職業観はINFJにとってあまり魅力的でないだろう。

 かといってINTPのようにもいかない。INFJは真面目なので、仕事を完全に脳内から分離して趣味に没頭するのも気が引けるだろう。INFJはやっぱり職場の人間に評価されたいはずだ。

 こうしたジレンマに折り合いを付けるのは簡単なことではない。東大法学部を優秀な成績で卒業しとある公的機関に就職した知人がいたのだが、程なくして現実の打ちのめされ、自殺した。ここまで極端な例は少ないだろうが、INFJにとって世知辛い資本主義社会が生きづらい環境であることは間違いない。

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