憧れの名前たち
日々コールセンターで全国各地のお客様対応していると、本当に色々な名前の方に遭遇する。個人情報うんぬんがあるので、ここには書けないが、びっくりするような名字、名前の方もいて、◯◯様、とお呼びかけする時に妙に緊張、ドキドキしてしまう。
珍しい名前、とは言っても、「ぴかちゅう君」とか「えくれあちゃん」等のいわゆる「キラキラネーム」にはまだそこまで出会った事はない。変わってはいるけれど、粋だなあ、素敵だなあと思う名前もたくさんあった。年代は関係ない。意外と年配の方が珍しいかわいい系のお名前だったりもする。もし自分が小説を現役で書いている人間ならば、この名前を使わせて頂きたいなあ、なんて思う名前もたくさんあった。
私は幼少期の頃から、いくつか「憧れの名前」というものがある。
一番最初に気に入ったのは、「ナオミ」である。幼稚園か、小学校低学年時の先生が確か「ナオミ」だった。当時は「直美」という漢字含めてなんだか大人のお姉さん!って感じで憧れていたが、後に谷崎の「痴人の愛」を読んで、カタカナの「ナオミ」に憧れた。さらにナオミ・キャンベルの登場により、「ナオミって、海外でも通用する名前なんだ!」っていう感動も相まって、今も好きな名前の一つである。
また、外国の名前でもいくつかお気に入りがある。例えば、私の大好きなキャンディ・キャンディに出てくるクールガイ、「テリュース・G・グランチェスター」や、The strokesのヴォーカル、「ジュリアン・カサブランカス」、などはフルネームでつい音読したくなる魅力がある。
女性名だと、昔からずっと好きなのは「クロエ」だ。それ以外にも「フィオナ」「ケリー」「マチルダ」なども好きである。これは主に好きだった女優、アーティストなどに由来している。
それから、ジャンルでいうと、「男女両用の名前」が好きだ。さらに言うと、「両用だけれど、どちらかというと女性に多い名前の男性、またはその逆」がとても魅力的に思う。例えば、女性でユウキ、アキラ、男性でアスカ、チヒロ、などが素敵だなあと思う。それこそナオミも「直己」表記であれば男性名としても通用する。
もしも、自分の子どもが生まれる事があったとしたら、できれば男女両用の名前をつけたいと思っている。身体の性別は分かったとしても、心の性別はある程度成長するまで分からない。また、名前を変えるというのは本当に大変だと聞いたので、一つでも煩わしい事をなくしてあげたいというのもある。
そういえば、私は物心ついた頃から自分の名前にコンプレックスがあった。名字が特に嫌いだったのだが、下の名前とセットで、フルネームで呼ばれた時の響きがとても嫌だった。下の名前単体ならまだ良いのだが、第三者からフルネームで不意に呼ばれると、軽く鳥肌が立つ。こう書くと、じゃあどんな名字やねん、と思われるが、実際、別に普通である。それほど珍しいわけではないけど、あんまり周りにいないよな、程度のレベルで、周りからの反応は「え?別に普通の名字やん。どこか嫌いなん?」などと言われる。自分でも分からないのだが、とにかくフルネームで呼ばれた時の響きと、字面が嫌なのだ。
今、私は結婚して夫の名字になっている。夫の名字は、たまーに聞くけど全国的には割と珍しい、でも夫の出身地である長野県ではかなりたくさんいる、的な地域性の強い名字である。旧姓よりは気に入っているが、なにせ仕事ではずっと旧姓を使っている為、新姓はたまーに病院に行った際に呼ばれる程度で、まだまだ慣れず、違和感がある。いつかこの名字で過ごす人生の方が長くなり、自分のアイデンティティの一部になる日が来るのだろうか。
旧姓に戻る事がない事を祈る笑。
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