理学の合言葉 31 状況に応じたはかり方―はかる、座標

数学でいうところの「はかる」は「表現」である、という話をしていこうと思います。(「はかる」に漢字をあてていないのには理由があります)

・定規でものの大きさを「はかる」というのは、対象の要素の中でも大きさに注目して、対象を数で表さんとする行為です。
・十進法で自然数を「はかる」というのは、対象の要素の中でも10,100,1000…で割った余りに注目して、対象を0〜9の10個の数字の羅列で表さんとする行為です。
・座標でもの(ただの集合の元)を「はかる」というのは、対象をいくつかの実数の組で表さんとする行為です。
・座標でもの(位相空間の元)を「はかる」というのは、対象の要素の中でも位相に注目して、対象をいくつかの実数の組で表さんとする行為です。
・座標でもの(実ベクトル空間の元)を「はかる」というのは、対象の要素の中でも、各々の基底(任意なので、条件はあるが選べる)の成分に注目して、対象をいくつかの実数の組で表さんとする行為です。

色々な例を並べてみましたが、ここから浮かんでくる一つの視点、それは

「はかる」=対象のある要素に注目し、それに関して表現変換をする

というもの。
はかる=表現する∈変換する、といった具合ですね。
対象と、それに使える表現変換が組み合わさって、対象がTPOにあった形に姿を変える、それこそが「はかる」なのです。

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