理学の合言葉 3 集合論の賜物―構造、モデル理論

初めに、基礎的に数学で扱われる対象を様々な分野から具体的に挙げてみましょう…

数、集合、順序数、基数、写像、圏、射、関手、加減乗除べき対数、群環体、線形空間、多元環、代数方程式、微積分、微分方程式、極限、収束、数列、級数展開、位相(トポロジー)、多様体、直線、点、角度、平行、命題論理、述語論理、変数、定数、関係、公理、定理、証明、論理記号、論理プログラム、計算複雑性…

などなど、挙がらなかったことに興味を持っている方には失礼ですが、おおよそこれらが数学の根本的な概念でしょう。
しかし、十分強い集合論を前提に置くことでこれらに対応する存在を扱えてしまいます。
例えば…

実数→可算無限集合(自然数集合)の元2つと符号の対からなる有理数集合の「切断」という部分集合
写像→引数と対応値の順序対達の集合
圏→「「射」という二項関係を表すクラス」をもつクラス
位相→「開集合としたい集合」の集合

もちろん、どの集合論を使うかは場合によるでしょうが、この性質から多くの数学の概念は「集合」を翻訳して導かれています。
この、「集合論視点」から数学の概念を眺めたものを「構造」といいます。
これにはやはりメリット・デメリットがあります。



そして、集合論を厳密に表そうとする時に、ZFCやNBG、MKなどの、述語論理で書かれた公理系をもとにした「公理的集合論」が登場するのです。

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