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限局型小細胞肺癌の新しい初回治療 ADRIATIC試験 化学放射線療法後のDurvalumab

https://ascopubs.org/doi/pdfdirect/10.1200/JCO.2024.42.17_suppl.LBA5

Journal of Clinical Oncology, Volume 42, Number 17_suppl

限局型小細胞肺癌の治療について論文を読んでみました。

<Background>
限局型小細胞肺癌(LS-SCLC)の患者に対する標準治療は、プラチナ製剤ベースの化学放射線療法(cCRT)±予防的頭蓋照射(PCI)の同時併用である。ADRIATIC試験は、第3相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設国際共同試験で、cCRT後に進行しなかったLS-SCLC患者に対する地固め療法として、Durvalumab(D)±Tremelimumab(T)を評価した。今回はD vs プラセボの結果を報告。

<Methods>
対象はI-III期のLS-SCLCで、PS0~1、cCRT後に増悪のない患者。PCIは無作為化前に許可された。患者はcCRT後1~42日目に、D1500mg+プラセボ、D1500mg+T75mg、またはプラセボ+プラセボを4週毎・4コース投与する群に無作為に割り付けられ、その後D(D±T群)またはプラセボ進行または忍容できない毒性が認められるまで、4週毎に最長24ヵ月間投与された。最初の600例は1:1:1の割合で無作為に割り付けられ、それ以降はD群とプラセボ群に1:1で無作為に割り付けられた。主要評価項目は、D群とプラセボ群のOSとPFSであった。

<Result>
730人が無作為化され、うち264人がD群、266人がプラセボ群であった。ベースライン特性および前治療歴は各群間でバランスがとれていた。D群 vs プラセボ群の放射線療法は、1日1回が73.9% vs 70.3%、1日2回が26.1% vs 29.7%であった。各群の53.8%がPCIを受けた。OSはD群が55.9カ月、プラセボ群が33.4カ月とD群が有意に良かった(HR 0.73 [95% CI 0.57-0.93]、p=0.0104)。PFSもD群は16.6カ月、プラセボ群は9.2カ月でD群が有意に良かった(HR 0.76 [95% CI 0.61-0.95]; p=0.0161)。D群 vs プラセボ群では、グレード3~4の有害事象(AE)が24.3% vs 24.2%に発現した。AEにより治療を中止した症例は16.3% vs 10.6%、死亡に至った症例は2.7% vs 1.9%であった。あらゆるグレードの肺炎/放射線肺炎は、D群38.0% vs プラセボ群30.2%であった(グレード3~4は3.0% vs 2.6%)。D+T群は次回予定されている解析まで盲検化された状態である。


<感想>
限局型小細胞肺癌の治療は何十年も同じ治療が行われてきたと思いますが、ついに生存期間中央値が55.9カ月という驚異的な結果の治療が出てきました。数年前に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場してから、ICIの上乗せや地固めを検討するtrialがたくさん走り、多くの結果を残してきました。小細胞肺癌の進展型に関しては、限局型よりも先にCASPIAN試験(Durvalumab)やIMpower133試験(Atezolizumab)の結果が出て、既にICI併用治療が標準治療となっています。今回のADRIATIC試験は限局型小細胞肺癌を対象としたもので、化学放射線療法後にイミフィンジで地固めをするイメージです。PFSは16.6カ月と長いため、すぐに再発する小細胞肺癌の印象が今後は変わるかもしれません。OSは55.9カ月とのことで、前述したように驚異的です。5年生存の方がたくさんでてくるということでしょう。有害事象に関しても許容できそうな印象であり、グレード3~4の肺炎は3%と低いです。この前のASCOで公表されたデータのため、人種など患者背景がよくわからなったのですか、どうやら認容性は悪くないようです。
数年で治療がどんどん変わっていく時代です。
これからも少しずつ知識のアップデートを行っていこうと思います。

愛知県春日井市
かすがい内科 咳と頭痛と生活習慣病
院長 山下 有己


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