リアルとバーチャルのイベント運営
今年もやって参りました、非公式版clusterアドベントカレンダーです。こちらは1日目の投稿になります。
毎年何を書こうか迷うのですが、今年はリアルとバーチャルのイベント運営事情と比較についてお話しようかと思います。
おおっぴらに話すことは少ないですが、るーしっどという魔女の契約者さんは、普段リアルイベントの運営スタッフに従事しています。その一方で、魔女るーしっどは(ユーザー制作の)clusterイベントのスタッフもイベント勉強会を主催する程度には経験値があります。
今回の紹介例については、共通項や類似項が揃うリアルとバーチャルのイベントの運営について、双方の観点から…今回はコンサートを例にして違いをお伝えさせていただきます。
リアルに対し、cluster(バーチャル)側での運営はどう差があるのか、改めて知る機会になればと思います。なお、今回の紹介例ではリアルは興行化されたものに対し、バーチャル側はあくまでユーザー企画レベルでの紹介となっている点はご了承ください。
当たり前のことを話すだけに近いので、真剣に受け止めず、トリビアを聞く程度の感覚ぐらいがおすすめです。
場内運営に必要な配置、人員
では700弱席クラスの小コンサートホールを想定して考えていきます。架空の会場図面をCanvaで適当に作ってみました。
このような会場を例とした際、リアル側ではこうした配置が考えられます。
リアル ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ディレクター:1人
運営チーフ:1人
サブチーフ:1人
運営・案内スタッフ:複数人
進行発報役:1人
遊撃:2人(開演中はホール外で良い)
扉前配置(固定配置):6人(各扉に1人ずつ)
最前管理(固定配置):2人(舞台下最前の上手と下手側に1人ずつ)
FOH配置(固定配置):1人
ホール内だけでもこれだけの配置が必要となります。最前管理は最前列からの飛び出し客を規制する要員として、扉前配置は扉の開け閉め(光漏れ防止)や付近の席案内要員として、FOH配置はFOHへの侵入を防ぐ要員としてほぼ必要となります。加えてホール内外を出入りしながら運営を管理する要員としてチーフはもちろん、サポートの遊撃、進行を共有する発報(=無線機で伝達)役も外せません。これらは絶対条件ではありませんが、こうした配置がなされていないと開場時の客入れをスムーズに行えなくなり、開演中のトラブルを引き起こしかねません。
一方でcluster(バーチャル)ではどうでしょうか。
cluster(バーチャル)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ディレクター:1人
警備・イベント補助:1~3人程度
ギミックオペレーター:1人
タイムキーパー:1人(Dや警備役が兼任したりも)
カメラマンチーム:0~4人
配信or録画カメラマン:1~3人程度
配信スイッチャー:1人(カメラマンが1人なら不要)
リアルに比べるとかなり人数が絞られています。扉の開け閉めなどは考える必要もなく、仮に必要であればギミック1つで全開閉を操作可能です。お客の飛び出しもスタッフコライダー1つあれば阻止できるため、リアルほど警備が気を張らなくともカバーできます。更に観客自身に質量はない(=アバター)ので、入退場コントロール・誘導を行うための人員も不要です。
一方、運営チーム内でカメラマンや演出…運営というより舞台側がいる点はリアルとは異なる点です。いずれも小規模編成で十分な運用ができるために実現ができているといえます。
こうして比較してみると、改めてバーチャル側でのイベント運営はあらゆるコストが抑えられることが実感できるかと思います。
場内運営で必要なアクション
コンサートイベント全体の流れは、開場→開演→終演の3ステップで大きく遷移します。これはcluster(バーチャル)でも同じですが、大きく違うところがあります。それは入場時と退場時で運営側が必要なアクションです。
リアル ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
開場時
定刻で各扉を開門
席への案内
ホール内への誘導、混雑時には列コントロール
開演時
直前でアナウンス
開演間もなくで各扉を閉門(客入れ自体は行う)
ホール内巡回を停止
観覧を極力妨害しないよう途中入場客を席案内
演目中の休憩タイミング(ないケースも多々)で扉を開門
光漏れNG曲中の入場一時停止
終演時
退場誘導、混雑時には列コントロール
撤収作業
cluster(バーチャル)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
開場時
配信スタンバイ
開演時
必要であれば直前でアナウンス
観覧を極力妨害しないよう、観客のコメントやアバターを監視
場面に合わせて演出等ギミック操作
設置型Vアイテムの配置調整
終演時
配信終了
必要であればイベントタイトル変更(【終了しました】追記など)
言うまでもなくですが、全体的にリアル側のアクションは多いです。ワープのような便利なこともできないので、スタッフのマンパワーが不可欠な場面だらけです。
トラブル対応
コンサートにはトラブルも少なくありません。ここでもリアルとバーチャルで違いは出てきます。
リアル ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
開演中のお客様対応
席間違いや途中入場客の案内
グッズ不良対応(主にペンライト)
近隣客トラブルへの要望対応
ステージトラブル
舞台側の対応案件なのでほぼノータッチ
アナウンスなどでの観客コントロール
入退場時のお客様対応
ロビー滞留での混雑対応
入退場流動による混雑の緩和、誘導コントロール
cluster(バーチャル)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
開演中のお客様対応
ゴーストの問い合わせ対応
コメント、アバター荒らしへの警告やキック
ワープなど観客向けギミックへの問い合わせ対応
ステージトラブル
トラブル箇所のチェック、リカバリー
アナウンスなどでの観客コントロール
リアルではホール内でのお客様対応は目立つため、迅速かつ丁寧な対応が不可欠です。内容によっては一度ロビーや通路などにお連れしての対応もしていきます。お金も発生しており、立ち見席でなければ指定の席があるゆえ席替え要望なども困難なため、問題によっては解決に手間もかかりがちです。お客様の状況次第では返金対応や、本職の警備員などをお呼びしての対応など重めの案件も出てきかねません。めったにないですが上演妨害などが発生すれば、公演中止や連鎖的に発生する観客からのクレーム対応などのとんでもない自体にまで火は燃え上がりかねないです。
一方バーチャルでは、そこまでの大きなトラブルには発展しにくいです(チケット制の場合は除く)。ただし、特定の観客に対するアプローチ自体が難しかったりしする点が難所としてまず存在します。アバター同士で重なっていたり、ボイスを現実以上に出しにくい部分があるからです。現実ではライブ音が大きく音に方向性があるため他の観客に影響を与えにくいですが、バーチャル上ではそうもいきません。ただ視覚的にはリアルほど目立ちにくいところは少々安心できる部分です。
他、バーチャル側では解決の簡単な問い合わせがほとんどで運営は比較的容易ですが、ステージトラブルについては運営サイドで解決が必要となってきます。最悪の場合はイベントの建て直し、移動案内などを行う必要は出てくる点は少し手間がかかるところです。
その他、退場時にはそれぞれ他のワールドへの移動なりログアウトなりをしてもらうだけなので、リアルと違い近隣住民や交通とのトラブルを考慮する必要がないところも楽な部分です。
締め
リアルのコンサートに行く方なら、今更という話がほとんどだったかと思いますが。。。少し深く突っ込んでリアル側事情を覗いてみると、改めてcluster(バーチャル)空間でのイベントのやりやすさにありがたみを感じられたのではないかと思います。
逆に観客としてどちらか、あるいはその両方のイベントに向かう方はスタッフがこんな感じで動き回ってくれていることを思い出しつつ、ルールとマナーを守って楽しんでもらえるようになればと思います。
続く2日目はGalupenoさんから「VRしぐさと自己表現」に関する投稿が予定されています。リアルの話ばかりの本記事より、バーチャルな話題を中心に垣間見えるかもしれないので、楽しみです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?