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徘徊

駅のホームの鉄柵を両手でつかみ、素足にサンダル履きで、セーターを着ていた。周りを駅員さんに囲まれている高齢の女性。
冬の寒い日。

電車が来てたので、急いで電車に飛び乗った時、瞬間に見えた情景。電車の扉が閉まり、動きだす時に、あっ、徘徊だと気づいた。

扉が閉まり、電車が動き出したので、降りるわけにはいかなかった。
多分、こんな状況だったのだろう
迷子になった女性に気づいた駅員さんが、保護しようと声を掛けた。
声を掛けられた女性は警戒して、動かない。対応に困ったので、他の駅員を呼んで、周りを囲んでの対応中となった。

徘徊(ひとり歩き高齢者)を見つけるのは、季節外れの服装、冬なのに軽装。夏ならば、着込んでいたり、バッグを持っていなかったり、辺りを見回し、立ち止まってどちらに進むか思案しているなど。

もし、そんな人を見かけたら、声を掛けてください。
笑顔で「今日は」。笑顔だと警戒されない。

どんなに認知症が進んでも、(^^) に見える絵でも、写真でも、マークや、壁の汚れでも、笑顔と判断する認識の機能は、衰えないことを認知症の高齢者に接して、身をもって教えていただいた。

どう対応したらよいか迷う駅員さんたちに笑顔はなかった。制服は怖い。
白衣高血圧の制服版…?
健常者でも、制服に取り囲まれたら緊張しませんか?

認知症なら、猶更のこと、恐怖しかない。
取り囲んでいた駅員さんの制服は、更に緊張を高めのでしょう。

その後、その女性はどうなったのだろう?
分かりません。

でも、怖い思いをしても良かった。
雨に濡れたり、寒い北風に吹かれたり、炎天下に焼かれたり、
知らない街、どこかの物置の中や、家の脇、排水路や畑の真ん中、誰もいない草むら、木立の中、河川敷で、目を閉じずに済んだのだから、良かった。

徘徊。 行方不明から5日間の生存率は0%
殆どが2~3日間で亡くなる事実。

もし、あなたが徘徊かもしれない人を見つけたら、声を掛けてください。

後ろから声をかけるのではなく、横から斜め前に回って、顔が見えるように笑顔で「今日は」と。
挨拶で、きっかけを作って、「暑いですね」「寒いですね」と。
「散歩ですか」「どこかでお会いしましたよね」と。

お住まいの自治体や近隣の自治体、公的機関や町内会、自治会で
認知症サポータ養成講座が開かれています。
もし、あなたに時間があれば、ご参加をお願いいたします。

開催形式や開催方法が変わったと聞きましたが、内容は変わらない様子。
もしかして徘徊? その時、声を掛ける勇気はありますか?
見過ごすことはできますか?

認知症を知り、対応を知るのも、あなたの権利です。



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