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16球団へ増やしたい人は見てほしいアマチュア野球

今年はやってきた球春

プロ野球の春季キャンプが始まって一ヶ月。
選抜高校野球の組み合わせも決まり、
今年は何とか「球春」を迎えられそうな雰囲気になっている。

さて
昨年1月から話題になったのが「プロ野球16球団構想」。
もともとかなり時間がかかる話なうえに
この状況だから
具体的かつ現実的な話はほとんど出てこないけども
今も時々世間の話題にはなっている。
それだけエクスパンションに期待する人が少なくないのだろうが、
そんな人たちにはぜひ
プロ野球や高校野球以外の野球にも興味を持ってほしい。
特に興味を持ってほしいのは社会人野球だ。

エクスパンション後の世界を一足先に

昔から社会人野球は
プロ野球の一軍と二軍の間ぐらいの実力があるとされている。
一方で世間では
「全ての戦国大名が天下統一を目指していた」説よろしく
「全ての高校球児はプロを目指している」
といった思い込みが一因にでもなっているのか、
「社会人野球や大学野球は
高卒でドラフト指名されなかった落ちこぼれ」
などという風潮は依然として根強い。
だが実際には
そもそもプロを目指してはいなかった選手もいれば
プロは目指したものの
解禁年に調子がいまいちだったため指名されなかった選手

既にほぼ同じ年齢かつ
同じ期待値あるいは同じポジションの若手がいたため
ドラフト指名を見送られた選手

高い実力は持っているが
年齢的に「伸びしろが乏しい」と判断された選手
など
社会人野球の実力者にも様々な選手がいる。

NPBのチーム数が14や16へ増えれば、
開放型になって
1チームあたりの選手保有数が激減
でもしない限りは
リーグ全体の選手数も大幅に増える。
その場合日本人選手を増やすには

・今までなら結果的に指名されなかった選手がドラフト指名される
・今までなら戦力外になっていた選手を残留させる

この両方が必須だ。
そうやってNPB全体で増えたドラフト指名枠では
今社会人でプレーしている選手が
そのままプロ入りするわけではない。
しかし
高校、大学、社会人などから
今社会人でプレーしている一流選手と
同じぐらいの期待値の選手が
今まで以上にプロ野球の世界へ飛び込み、成長し、
一軍でプレーすると考えられる。
つまり社会人野球には
現実にエクスパンションが行われた際の
NPB標準レベルが広がっているのである。

もちろん大きな違いもある。
プロ野球は年間百数十試合の長いリーグ戦を戦うため
NPBでも
ややハイリスクだが
1年間を通した勝利への期待値を追求した
戦略、戦術をとることが増えている。
一方、社会人は
最大3試合のリーグ戦+トーナメントや
敗者復活ありの連続トーナメント戦が大半だ。
なので高校や大学もあまり変わらないけども、
こちらは1戦ごとの勝利を追求しつつも
敗北のリスクをできるだけ下げる選択、
たとえローリターンでも
リスクを中程度に抑える戦術、育成になりがち。
なので厳密には異なる点があるのだが、
球団数が増えた「未来」の姿を
ある程度体感できるのは間違いないだろう。

逆に開放型リーグに移行する場合は、
これはこれでエクスパンション後の将来像が見えてくる。
特に下部リーグでは
週6ベースのリーグ戦ができるとは思えないので
戦術や育成、試合展開が
従来の社会人野球に近くなることが想定されるからだ。

しかし残念なことに日本の野球ファンは
高校野球に熱狂してるのに
甲子園のスターがNPBじゃなく
大学・社会人に進んだとたん存在自体を忘れる人、
「20歳前後の若手を使え」とやたら叩くのに
同じ年代の大学・社会人選手には興味を全く持たない人や、
「独立リーグを活用すれば球団数はすぐ増やせる」と言いながら
独立リーグの試合は中継でも見る気すらなさそうな人が
あまりにも多い。
3年前のドラフトで1位指名された都市対抗MVPですら
「誰それ」と言われるありさまである。
「球団数を増やせば野球人口が増える」
「空いている地域を埋めなければ野球人口は増えない」と
本気で考えているのなら、
増えた選手が繰り広げるであろう野球の試合にも
もっと関心を持つべきではないだろうか。

都市対抗、日本選手権だけが全国大会ではない

社会人野球の全国大会といえば有名なのは
都市対抗と日本選手権である。
これらの本戦はネット中継もあるから
全国どこでも観戦することは可能だけども
基本的には東京か大阪での開催になる。
じゃあ全国大会を生で見たいなら
わざわざ東京、大阪へ見に行かないといけないかと言えば
そんなことはない。
もちろん観客ありで開催されるという条件はつくが、
社会人のトップクラスの試合を見るなら各種JABA大会、
特に「日本選手権対象大会」で充分。
なにせ開催地方の有力チームと
全国の強豪招待チームによる大会なので
都市対抗・日本選手権本戦と
全く同じチームの対戦が大半を占めるからだ。

そんな社会人野球
ペナントレースや選抜高校野球よりも早い
3月8日から
東京スポニチ大会が始まる。
今年は無観客なので
我々は現地で観戦することができないのだが
「日本選手権対象大会」の一つであり、
社会人の全国大会第一弾と
とらえても差支えないと思う。
この後4月から5月にかけて立て続けに開催される
各「日本選手権対象大会」を含め
必見である。

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