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16球団になって選手の門戸は本当に広がるのか

16球団制で選手の門戸は広がるか

ソフトバンクの王会長らが進めている「16球団構想」に対して、
先日オリックスの宮内オーナーが
全チームが三軍を設けた上でそれぞれをマイナーリーグ化する
「12+24球団制」を提唱した。
実際オリックスは
現在本格的な三軍制導入のために
ドラフトで育成選手を積極的に集めているし、
二軍を単なる「育成の場」だけではなく
「一軍へのファン開拓の場」としての活用を試みるなど、
ファームのあり方をいろいろ模索し続けているチームでもある。
それを踏まえれば建設的な意見でもあると思えるのだが、
宮内オーナーが
おそらくは読売の渡辺恒雄主筆に次いで嫌われている存在であるためか
「選手の門戸を狭めるつもりだ」「球界の将来を見ていない」などと
頭ごなしに否定する人も多いようだ。

たしかに「12+24球団」は
16球団に比べれば広がる門戸は狭くなる。
16球団まで増えた場合
新たにNPB入りする枠は支配下選手×4。
新規チームがすぐ三軍まで導入するとは考えづらく、
支配下には当然外国人選手も加わるから、
実際に増える日本人選手は240人弱といったところか。
それに対し「12+24球団」はというと、
現在育成選手を5人前後しか保有していないのは7チーム。
これらのチームがソフトバンクや巨人ぐらいの
育成選手数を抱えることになるとすれば
大雑把に計算して105人ぐらい増やすことになる。
そこに育成が10人程度いるチームの増加分を加えると130~140人。
こっちは外国人枠をどこまで活用するかが未知数だが、
110~120人の日本人選手が増えるか。
こっちは育成選手なので
選手を増やしても彼らの年俸が安い問題も浮上してくるが、
16球団の場合も
現在の最低年俸額が維持される保証はどこにもない。
「野球選手の年俸は高すぎる」「ハングリー精神が足りない」
と言う人は非常に多いから、
16球団が実現したあかつきには
こうした世論も味方につけて
選手の各年俸保証額が引き下げられることもありうるのだ。

門戸を阻害する要因

このように数字の上では
16球団になったら選手の門戸は広がると思う。
また「12+24球団」でも
16球団よりは数が限られてくるが、
それなりには門戸が広がるはずだ。
だからどちらの場合も、
現実には門戸は増えることになるだろう。

一方でこの門戸開放を徹底的に阻害する要因が一つある。
たしかに
「16球団になればプロを目指す大学生への門戸が広がり、
野球人口も回復する」と言う人は多い。
しかしどうだろう。
チームが大学生や社会人を指名すれば
「目先の即戦力に走った」「ビジョンがない」と叩き

少しでも活躍できなかった大卒・社会人出身選手を
すぐ戦力外に
したがり、
まだ大成できてない5年目の高卒ドラ1は
「さっさとトレードしろ」
と言う。
里崎氏の主張はあくまで心機一転のためのトレードだそうだが、
こうした発想が出てくる背景には
高卒の若手を過剰に早くスタメン固定させようとする
風潮
があることを忘れてはいけない。

これで門戸は本当に広がるだろうか?
こうした人たちが望む球界が出来上がったら
門戸は広がらないだろう。
たしかに高校生のドラフト指名は増えるかもしれないが
待っているのはただの若手の使い捨て。
また高卒で即プロ入りせず大学や社会人に進めば
指名されても指名しても袋叩き。
これのどこで門戸が広がっているのだろうか。
大学生以上への門戸にいたっては永遠に閉ざれっぱなしになっている。

そしておかしなもので、
こういうことを言う人たちほど
「門戸が広がるから16球団に賛成」と言うことが多いように見える。
「16球団構想」に賛同する前に
まずは自分の普段の言動をもう一度思い返したほうがいいんじゃないかな。

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