日本で「ドーム球場」が必要な理由

前に書いた「新球場が難しい理由」の中で、
私が屋根のついた球場にやけにこだわっている
と思った人がいたかもしれない。
実際、私は日本ではもっと「ドーム球場」がないとまずいと考えている。
これに関しては
先日はてなのほうに気温と降水量について書いたので、
そちらを見ながら
自分が実際にその場で3時間以上観戦することを前提に考えてほしい。

とにかく日本は暑くて雨が多い
MLB基準で見ると屋根が必要になるほど暑い都市と
屋根付きと屋外球場との中間に位置する都市が多く、
しかも近年はこのどちらかの基準に達する都市が
さらに増える傾向にある。

そして雨。
野球は他のスポーツと比べても
やる側も見る側も雨に弱いスポーツだ。
MLBのホームだと圧倒的に雨が多いのはフロリダだが、
日本はほとんどの都市で
フロリダ並かそれ以上の雨が降っている。
そんなフロリダで
なぜトロピカーナ・フィールドがドーム球場なのか、
前オーナーがひたすらファイアーセールを繰り返していたマーリンズが
なぜわざわざ屋根付き球場を建てさせたのか考えないといけない。

はてなに挙げた中止試合のグラフをこう区切ってみよう。

中止率線つき

緑の線は本拠地が屋外からドーム球場に変わった年を表している。
日本ハムは東京ドームからずっとドーム球場なので1988年からそのまま。
ドーム球場の増加でいかに中止が減っているかわかるだろう。
それに「野球は青空の下で」などと言っているあなた方は、
たとえ中止にならなくても
いつ中断やノーゲームになるかわからないほどの雨の中で
本当に試合を見たいのか?
翌日も仕事や学校があって終電も迫ってくるのに
MLBのように何時間も試合再開まで待てるのか?
外の雨の音だけを聞きながら、
冷房の効いた家の中で
試合が再開するまで他の番組や配信を見ていればいいのとは
わけが違うのだ。

その一方で寒さも厄介な問題だ。
たしかにMLBでは、
4月にも雪が降るほど寒い中でナイトゲームが行われていることがある。
日本の場合、
札幌はそのMLB全都市と合わせて最も寒く雪も多いので、
エスコンフィールドのように屋根は必須だ。
他の都市はMLBと比べてもそれほど寒くないから、
一見すると屋根の必要はまったくなさそうに思える。
ただ、4月の仙台はわざわざ平日昼間に試合をしている。
それを考えると新潟もかなり微妙なラインになるし、
この2つ以外でも
風が強めで見た目の気温以上に体感温度が下がるところでは
3時間のナイトゲームに
日本の観客が耐えられない
ことは充分考えられるのだ。

結局のところ、日本にはドーム球場が必須である。
アメリカやエスコンフィールドタイプの
開閉式屋根であればもっといいが、
いずれにしても多くの観客を入れるプロ野球の興業では
屋根が必要不可欠な環境であることは間違いない。

しかも16球団構想となるとなおさらだ。
なにせエクスパンションの可能性を噂されている
あるいは噂されていた都市のうち、
静岡、浜松、熊本、鹿児島、那覇は
雨の多い日本の中でも雨が多すぎる地域にあたる。
熊本、京都はこれまでも暑すぎだったし、
近年では岡山、鹿児島、松山、浜松も
暑すぎ圏内に入ってきた。
また新潟は4月に常時デーゲームを迫られる可能性がある。
残っているのは宇都宮しかない。
せめて都市圏としては150万人程度で
熊本や宇都宮、岡山と同じぐらいになる
ミルウォーキーのミラー・パークのような球場が作れればいいが、
法律、経済や地方財政などではるかに制約が多い日本で
果たしてそれが可能なのか。
建設可能な土地も確保できるのか。
このような設備を必要とする日本の気候もまた、
16球団構想の大きな障壁と言える。



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