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「16球団構想」の話が途切れないのはなぜ?

ホークスの王貞治会長が「16球団構想」の話を持ち出してから
はや4ヶ月。
ただでさえNPBへの新規参入は難しいのに、
新型コロナの影響で
既存の12チームも景気も非常に苦しくなっているので、
普通に考えればとっくに立ち消えになっていてもおかしくないのだが、
少なくとも1ヶ月に1回は
どこかのメディアで特集記事や番組が組まれており、
話題が途切れていない。
なぜだろう。

先月某夕刊紙に掲載された、
「16球団構想」の勉強会を行っている
4自治体への取材記事を覚えているだろうか。
もちろんソースがソースだから、
本当に取材をしたのかは疑問が出てくる。
しかい松山市の
「何もしなければ、『なんで松山市は
16球団構想に参加しないんだ』と言われかねません」
に対しては
「弱腰」「一生言ってろ」
といった罵声がSNSなどでいくつも見つかるので、
この松山市の懸念が事実と証明された形にはなっている。

ただ、記事の注目度が高かったわりに
中身を読んだ人はあまりいなかったようで、
早ければ来年、遅くとも再来年には
4チーム増を実現できると
期待する人が後を絶たなかった。
別なインタビューでは
旗ふり役の王会長が
「実現するには長い時間がかかる」と言い、
勉強会の中心的役割を担っている古田敦也氏も
「早ければ(≒早くても)再来年」と言っているのにだ。

だが事実とした場合、
「16球団構想」の話題が定期的に発信される理由が見えてくる。

まず「16球団構想」については、
具体的な話はほとんど進んでいないとわかる。
16球団構想に名乗りを挙げたかのように言われる四自治体も、
実際に参入する企業が出た場合に
自治体としてどのような支援が必要か、
それを勉強会の中で学んでいる段階にすぎないのだろう。
現状だとプロ野球に求められる規模や要件は
JリーグやBリーグとも大きく異なるものだから
当然と言える。
試合ができず世間も大不況に陥るのを余儀なくされている
現状ではなおさらだ。
「試合がない今のうちに4球団増やしてしまえ」と
言っている一部の16球団賛同者の頭がおかしいだけである。

そんな程度の段階でも
あえて王会長や古田敦也氏らが
盛んにアピールし続けるのはなぜか。
それは将来的に企業へ募集や打診する時のためではないだろうか。
2004年の球界再編騒動でも証明されたように、
世論が球界へ及ぼす力は決して小さくない。
また既存球団の買収じゃなく
新規参入に伴うエクスパンションの場合は、
最低でも2球団、偶数のチームが
ほぼ同時に参入を決定する必要がある。
これは球団増を主張する人たちも
2年前に前澤友作氏が新球団創設を表明した際に
改めてよくわかったことだろう。
1人や1団体、1企業だけでは無理なのだ。
つまり前澤氏のような人がまた現れた際に、
もう1チームが作れないので
断念する事態を避ける
のが狙いと考えられるのだ。

現在、
将来的なNPB参入を目標に掲げているのは
琉球ブルーオーシャンズだけ。
試合ができるようになれば
日本の独立リーグ程度の経営規模にもっていくことも
わりと早くできるかもしれない。
だがすぐNPBに参入するためには
NPB各球団の経営規模が独立リーグ並に小さくならないと
無理だろう。
「16球団構想」に賛同している人たちには
選手の収入が大幅に減って大喜びする人も多くいるだろうが、
実際は選手やスタッフが路頭に迷うだけである。
本当にNPB参入が可能になるほどの
多数のスポンサーが現れるかどうか。
そのスポンサー達が撤退しないぐらい
多数の観客や視聴者がつくかどうか。
これらを含めたもろもろの条件がすべて満たされた時、
初めて14球団への移行が現実味をおびてくるのだろう。

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