独立リーグから見る「プロ野球」観の違い

今回は、
「プロ野球」に対する日米の感覚の違いについて
独立リーグから考えてみたいと思う。

アメリカの独立リーグはどこにある

アメリカの独立リーグホームがある地域を見ると、
日本とかなり大きな違いがあることに気づく。

独立リーグ都市圏

独立リーグの中では
比較的古参かつ大規模に展開している
フロンティアリーグ、アトランティックリーグ、
アメリカン・アソシエイションの
3つのリーグ計33チームのうち、
MLBと都市圏が重複しているのは
実に21チームもある
ニューヨークとシカゴにいたっては
5チームずつだ。
町単位ではあまり大きくない都市なのだが、
野球人気がそこそこ強い大都市の近郊に
展開するケースが多い。

閉鎖的な「改革要求」者たち

この感覚が日本にも当てはまるなら、
関西独立リーグはもっと盛り上がっていいはずだし、
たとえば東京西部から神奈川にかけて
東京独立リーグや南関東独立リーグが誕生しても
おかしくはないはずだ。
だが現実はそうなってはいない。
まだ独立リーグ全体の歴史が浅く
最初にアイランドリーグとBCリーグができたことも
影響しているんだろうが、
日本ではこの両リーグが採用した
「独立リーグはNPBと離れた地域で1県1チームまで持たれるもの」
の意識がやたら強い。
しかもそれがさらに妙な形で派生して
「プロチームはNPB独立合わせて1県1チームしかいらない」
もっとひどいと
「面積の広くない関東や関西は1地域1チームしかいらない」などと
人口比率等を全く無視した発想にまで達している人も見られる。
対決列島かこれは。
ヤクルトをやたらと東京から移転させたがるのは
その最たる例と言えるし、
関西独立リーグに対しては
設立当初から「阪神とオリックスがいるからいらない」と
小馬鹿にする風潮が強かった。

アメリカの場合、
MLBはNFLやNBAに比べて
全米よりも本拠地のある地域ローカル向けの売り出しを重視している
との指摘もあるそうだし、
日本は日本で
NPB入りを目指す選手の教育リーグ的な役割として
独立リーグが発足した経緯もあるから
そうした違いが大きいのだろうが、
それにしてもと思う。
今回の16球団構想にしても、
もし有力視されている
新潟や松山、那覇に新球団が誕生した場合、
NPB入りを目指すと自ら表明している沖縄はともかく
現在の新潟アルビレックスBCや
愛媛マンダリンパイレーツは
果たして存続するのだろうか。
周りのファンが存続を許すのか。
まあ新潟は手をあげるとしたら
アルビレックスの可能性もあるから
その場合は現在のアルビレックスとして存続できないとしてもだ。
大衆やスポンサー、メディアなどの意識が
1県1球団や1地域1球団で凝り固まっている以上は
どうしてもこの問題は避けて通れないことになる。
現在の関西独立リーグや武蔵ヒートベアーズ、
今年誕生する神奈川フューチャードリームスなどが
こうした意識を払拭する人気を得るといいんだが。

アメリカ独立リーグの例

今回は4ヶ所ほど紹介しておこう。

イリノイ州Sauget。
人口わずか158人のこの小さな村に
なぜか5,000人収容の立派な球場があり、
フロンティア・リーグのゲートウェイ・グリズリーズが
開場した2002年からずっと使い続けている。
どこから客が集まるんだと思うだろうが、
ここはセントルイス都市圏。
すぐ西がセントルイス・ダウンタウン空港になっている。

もう一つ人口1,000人を下回っているのが
スカイランズ・スタジアムのある
ニュージャージー州Augusta。
ここもれっきとしたニューヨーク都市圏にあたる。

逆にアメリカ国内の独立リーグ本拠地で
最も人口が多いのはセントポール。
アメリカン・アソシエイションのセントポール・セインツが
CHSフィールドを使用している。
人口は30万人程度の都市だが、
総人口330万人強をかかえる
ミネアポリス―セントポール都市圏の中核を担っている。
2014年には少し南のユニオン駅とミネアポリスとを結ぶライトレール
グリーン・ラインも完成した。
この約18km、49分を要するグリーン・ラインの
ミネアポリス側の終点はターゲット・フィールド駅。
ツインズと完全に共存してるな。

人口20万台かつMLBと都市圏を共有していないのが
こちらのリンカーン。
すぐ東にはネブラスカ大学リンカーン校があり、
球場も共用している。

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