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昭和の日に「クソゲー」で振り返る昭和末期のプロ野球パリーグ

スーパーリアルベースボール'88。
リアルを謳いながら無駄に広い外野、
いちいちAボタンを押さないと捕球しない守備、
アウトになるたび鳴り響く警報音。
その他もろもろの要素のほとんどが「クソ」な
「クソゲー」として名高い野球ゲームである。

そんなこのゲームの唯一最大の利点と言えるのが、
日本野球機構から実名使用を認められたソフトであること。
懐かしさに浸るのはもちろん、
自身が生まれる前、野球に興味を持つ前の
選手たちの名前を知ることができるものになっている。
特にこの年限りで売却された
阪急ブレーブス、南海ホークスや、
大洋ホエールズ、ロッテオリオンズなど
他のゲームではほぼ見ることのないチーム名が並んでいる。
まあ「オリオンズ」の表記は見ないけども…。

そんな昭和最後の年のプロ野球をちょっとひも解いてみよう。
なお時々正確な登録名を間違っているかもしれないが
そのへんは大目に見ていただきたい。
セリーグ編はこちら

各チーム

セリーグは前年の順位順だったのに
パリーグは東西に分かれていて順位順でもない。
なんで?

西武

西武

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2年間ブコビッチが入っていたライトには
中日からトレードでやってきた平野が定着した。
なぜか西武は開幕戦とオーダーが違う。
実際のスタメンは
五番からレフト安部、キャッチャー伊東、DHバークレオ。
この日のバークレオは1打席目三振の後、
2打席目に代打大久保を送られてるので
ひどい間違いとは言えないけども何だかなあ。

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この年は打線が好調だった代わりに
郭以外の投手陣の調子がいまいち。
特に所沢移転後のチームを支えてきたベテラン勢の衰えと
リリーフの不在が顕在化してきた。

日本ハム

日本ハム

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開幕オーダーとは津末と田村の打順が逆になっている。
中日からトレードで加入した大島で
打線に厚みが増したと思いきや、
ブリューワとデイエットが故障でほとんど出られず。
もう一人の新外国人イースラーでここはカバーしたものの、
日本人選手も絶不調で
OPS.700超が大島(.756)と田中(.724)だけだった。
高卒2年目で早くもスタメンに定着した田中だが
しばらくは好不調の波が激しく、
安定して好成績を残すのは27歳になってから。

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逆に投手成績はかなり良くなり、
序盤リリーフだった松浦と
中盤から抑えに回った河野を含めて
5人が規定投球回到達。
そのうち4人が防御率2点台だった。

ロッテ

ロッテオリオンズ

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この年は高沢が首位打者(.327)、
西村が盗塁王(55)を獲得したものの、
あとは愛甲の成長以外あまり見るところのない打線。
出塁率.310で55盗塁ってのもいいんだか悪いんだか。
マドロックは前年のMLBとほぼ同じ成績だった。

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さほど良くはないが悪くもなかった投手陣は
この年から異常事態が発生。
三振は100増加した(741→833)のだが、
四球がなぜか150も増えてしまった(373→522)。
ロッテ投手陣の制球難はこのあと94年まで続くことになる。

またロッテは
かの10.19前後にホーム川崎球場で9連戦(中2日あり)。
さらに日本シリーズの始まった22日から
西宮球場で阪急と3試合を行っている。

南海

南海ホークス

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深刻な得点力不足が続いていたホークスは
88年になって打線の調子が上がる。
この年HR・打点の二冠でMVPに選ばれた門田が好調を維持し、
前年不調だった山本が復活。
開幕戦に抜擢された若井と藤本は
いまいち期待に応えられなかったものの
ショートには湯上谷が定着した。
新外国人のバナザードも当たり。

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代わりに投手のほうは状態が悪化した。
先発陣はイニングを稼げる(規定投球回5人)のだが、
守備が悪いからか三振率が低いからか
チーム全体で被安打がやたら多く、
抑えの井上以外はいまいちの出来だった。

ところでこのチームは
選手の数字にツッコミどころが多い。

河埜な若井

ルーキーの若井が河埜の数字になってたり

湯上谷な河埜

その河埜の数字が湯上谷のものになってたり

山本60本

山本が前年60HR打ってたりする。

近鉄

近鉄バファローズ

87年最下位から熾烈な優勝争いを展開した近鉄。
2001年はパリーグ史上初の前年最下位からの優勝だが、
もし10.19に勝っていたらこっちが先になっていた。

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近鉄は開幕戦のオーダーではなく、
三番DHオグリビーが栗橋に代えられている。
四番のデービスは小麦粉か何かの件でチームを去り、
代わりに獲得したブライアントが大活躍を見せた。
この年のキャッチャーとショートは
山下と真喜志が一番手だったが、
開幕戦は梨田と安達がスタメン。

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いつも猛牛打線で知られる近鉄。
しかし88、89年だけは投高打低のチームだった。
投手が良いだけじゃなく得点力は逆に低下してるので
投手コーチのおかげとも言い切れない。
だからと言ってHRも減ってはいない。
いったい何があったらこうなるんだろうか。
なお開幕戦のベンチ入り選手だけで構成したのか、
2戦目に先発した小野が登録されていない。
阿波野、小野の二本柱に加えてベテラン村田が復活、
さらに山崎、ルーキーの高柳出己が先発で台頭した。
また3年間石本が入っていた抑えには吉井が起用されている。

阪急

オリックスへのチーム売却、
福本、山田の引退など
いろんな意味で阪急ブレーブスの最終年となった年。

阪急ブレーブス

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長年チームの主力だった簑田を巨人にトレード、
福本を九番で起用するなど
外野陣の刷新を図ったことがわかる阪急のスタメンだ。
スタメンの2人やウィリアムズはうまくいかなかったが、
藤井が主力打者に成長した。
主力になったのは本西が翌年、高橋が3年後から。

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88年は前年獅子奮迅の働きを見せた山沖が不調。
佐藤が調子を取り戻し
若い星野がフロックではないところを見せたものの、
チーム全体としては大きなプラスにはならなかったようだ。
なお当時の阪急に投手の森は2人いたが、
開幕戦に登板したのが森厚三なのでたぶんこっちだろう。
ただしこの年主力になったのは森浩二のほうで、
42試合に登板した(54.1回)。

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