新卒で入社した会社の話⑩
椎村との2人体制になって一番しんどいのは、1人当たりの業務量が増えることはもちろんだが、椎村が休んだ時の対応だ。
受発注から全く教わっていない経理業務から全て一人でこなさないといけない。
本来営業が行わないといけない仕事も、椎村が男たちの評価を上げるためにずっと引き受けてきた。そのつけが回ってくる時でもある。
椎村は自由気ままに休む。
ある時、夜に飲みの予定が入ったから昼から休んでもいいかと相談があった。
もちろんノーとは言えず、「楽しんできてください」と言った。
椎村のタチが悪いのは、その日に有給をとると前もって申請せず、当日に急遽娘の体調が悪くなったから帰るという作戦に出ようとしていた。
ここ最近、結構有給をとっていたから、私用で事前に申請しにくいらしい。
当日、女優ばりの名演技で、所長に娘の体調不良を訴え、本当に帰っていった。
よりにもよってその日は午後から忙しかった。
鳴り止まない電話。
急ぎでの配達が鬼のようにある。
そんな中、営業所で一番のジジイである大江が電話をかけてきた。
どうやら、代わりに受注を入力して欲しいと。
その時は、どうしても急がないといけないことがあったので、事情を告げて「後から掛け直してもいいか?」とお願いしたら、
「はぁ?お前、もういいわ!」
ガシャン!!!!!
と電話を切られた。
この大江のめんどいとこは、ずっと根に持ち続けるとこだ。
電話を切った5分後に、大江からの注文が流れてきた。
私に頼まずともできるんじゃん、クズ老害が。
話は逸れるが、この大江という人物は、昔所長をしていたそうだが、営業へ落とされたようだ。
聞くと、一部の人に対して忖度をしまくっていたりしたらしい。
結局その忖度された人たちは今、うちの営業所で契約社員をしている。
どこからどこまでもクズの集まりだな。
案の定、2ヶ月以上無視された。
業務連絡については、そっけない態度だけ取られた。
次の日、
「昨日忙しかった〜?」
とルンルン声で椎村が聞いてきた。
「結構忙しかったですね」
と、かつてないくらいそっけなく答えてやった。
昼休憩になり、フェイスブックを見てみると、一番上に椎村が楽しんでいる様子がアップされていた。
恐ろしいくらいブスに見えた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?