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「仕事納めは1月2日」が、近年の鉄板フレーズになっている。

土日や祝日に出勤するときの、朝のあの雰囲気がけっこう好き。雪の降る庭をひとりで眺めているときみたいな、しん、としていて、いつもよりいろんな音が聴こえてくる、普段と同じ場所なのにどこか違って見える感じ。

元気いっぱいの小学生たちがいなくて、彼らを見守る黄色いおじちゃんもいなくて、車もバイクも自転車もほとんど通らない。パフォーマンス向上の為に通行人を減らしたオープンワールドゲームを思い出す。うん、来年はPS5を買おう。


ホテルで働いていると、世間の連休はだいたい出勤なことが多い。でも部署によっては違って、たとえば総務や財務といった本社部門はカレンダー通りに休める。だからぼくの勤め先でも、12月の最終週になると「今日が仕事納めです!」なんてこたつみかん色のオーラを放ちながら明るく語る人がけっこういる。その人たちのスケジュールを覗くと、だいたい「大掃除」と書いてある。

そんな「今日が仕事納めです」さんはみんな、ぼくにこんなふうに尋ねてくる。

「仕事納めいつなん?」

このフレーズは就職活動での「長所と短所を教えてください」と同じで何度も聞かれる質問だから、考えなくても流れるように言葉が出てくる。

「仕事納め、1月2日なんです」

納まってないやん!
と、みんな笑ってくれる。

その反応を見てぼくは、えへへ〜、そうなんですよ、3日と4日は休みなんですけどね〜、お正月イベントがあるんでね〜と、口角を上げてえへえへする。

でも内心、こう思っている。




休みたいよおおぉおおオオォオ!!!!!





おもち!おしるこ!!お雑煮!
おせち!テレビ!雪見だいふく!
こたつ!こたつ!!こたつ!!!


わあぁああああぁぁぁああああん!!!




そうしてぼくは今日も、静かな町を歩く。

同じようにスーツの上にコートを着た会社員の姿を見つけ、「同士よ!!」と胸の中で叫び、最高の試合を終えたボクサーみたいにガッツリ抱き合う。

彼の仕事納めはいつだろうか。


ぼくは今日から5連勤。

別に気にしてない。
いつもの連勤となんにもかわらないもん。
電車も空いてるし、お正月手当だって出るもん。




……わあぁああああぁぁぁああああん!!



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