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ご家族が最期を過ごす”終の棲家”選び。特養でも看取り介護ができないこともある。

過ごしなれた施設で最期を迎えたいという意見は多い

高齢になっての人生の最後の選択の結果、特別養護老人ホーム(以下、特養と略します)にお世話になる方は沢山いらっしゃいます。

特養入所を選ぶご本人やご家族から話を伺っても「最後の死に場所にしたい」「過ごしなれた施設で穏やかに最後を迎えたい」等の感想が聞かれます。

自宅で暮らすことが難しくなったときに、自宅に代わって穏やかに最期を迎えることができる場所として特養を選ばれているわけです。

入所している施設が”看取りできない”場合もある

実は、特養が必ずしも最期を看取ってもらう場所になるとは限らないという事実を多くの方がご存じないのが現実です。

正確には看取りを行っている施設と行っていない施設がある、ということになります。

特養で看取りを行うことができる対象者(高齢者)の状況はその過程が穏やかで苦痛を伴わないものであることが基本となりますので、痛みをとるために医療行為を必要とするような場合や医療行為を必要とする場合は特養での看取りの対象から外れますし、積極的な治療で1日でも長く生きてほしいということであれば特養を離れて病院療養してもらうことになります。

そしてまた、これらの条件をクリアし、介護だけで穏やかに最後をとご本人やご家族が願ったとしても、施設側が看取りをできるような人員配置をしていない場合などは対応ができないということになり、いよいよ危ないとなった段階で療養病院などへ搬送されるケースが多いというのが現実となります。

看取り介護の在り方は変わってきている 

もっともこのような病院の使い方や死の迎え方は課題があるとして、もっと特養で普通に看取り介護ができるようにすべきという流れは作られ始めており、介護施設での看取り加算の創設などはその具体事例となります。

ただ、現実にはまだまだ多くの特養で看取りができる体制にはなっていないというのが実情なのです。

最期を迎える場所は余裕を持って決めよう

特養で最期を迎えたい場合は、まず入所する施設が看取りを行っているかどうかをしっかりと確認する必要があります。

また最後はどの程度までの医療を求めるのか、例えば「口から物が食べられなくなったら延命を望まない」とか「苦痛を伴う医療は行わないでほしい」など、その時を迎える前にきちんとした生死感を家族同士で確認しておくことも大切となります。

当人が老いてから死の話をすることは気が引けるという話をご家族からよく聞きますが、そのような時には親戚や知人が亡くなった身近な例を話題に挙げて「あれはよいお別れだったね」とか「最期は辛かったのかしらね」など、話のとっかかりにしてみるというのもひとつの方策です。


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