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【翻訳】ポーカートーナメントでレイトレジストする事によるICM上のメリット【ICM、MTT、セオリー】GTOWブログ.55

割引あり


なぜ多くのプロポーカープレイヤーは、スタックが深い方が明らかにエッジを活かしやすいのに、トーナメントにレイトレジストするのだろうか?それは、タフなトーナメントでウィンレートに直結するICMエクイティブーストを享受できるからである。この記事では、ポーカートーナメントのほとんどのフォーマットでレイトレジストが利益を生む理由を説明していく。

レイトレジストはポーカーにとって悪いことで、プロに有利に働くのか?


これはポーカー界ではかなり以前から議論されてきたことである。多くのプレイヤーは、平均より浅いスタックでトーナメントに参加するのは非常に不利だと考えている。しかし一方で、レイトレジストレーションピリオドの延長はプロに有利すぎると考える人もいる。これはありがたいことに数字で証明できることだ。しかし、レイトレジストが多くのトーナメント形式、特に標準的なペイアウトストラクチャーを持つ非バウンティトーナメントで利益を生むことは否定できない。




自分がハンドに関与していなくても、エクイティを勝ち取ることができる。


なぜレイト登録が有益な戦略なのかを説明するのに役立つICMの基本から始めよう。以下のチャートはペイアウトが$450/$300/$150のバイイン$100の9人SNGのスタート時点の状況である。


ご覧のように、この(レーキフリーの)トイゲームの例では、SNGの開始時、全員が自分がバイインした金額と同じエクイティ(100ドル)を持っている。
SBまでフォールドで回ってきてオールインをし、BBがコールしたとする。BBが勝ち、SBは脱落する。これが新しいエクイティとなる:


勝ったプレイヤーはチップを2倍にしたがエクイティは2倍にはなっていない。彼らは$100のエクイティをリスクに晒したが、獲得したエクイティは$83.33である。残りの$16.67のエクイティはプリフロップでフォールドした他のプレイヤーに等しく分配された。これはICMの鉄則である。エクイティという点では、常に得られる以上のリスクを負うことになる。トーナメントがキャッシュゲームよりタイトになるのはこのためである。

この例はICMのもう一つの重要な事実を浮き彫りにしている。

何もしないことで、他の7人のプレイヤーのエクイティは2.38%増加した。もちろん、ファイナルテーブルでの「はしご」のように、脱落するたびにペイアウトが跳ね上がるような極端でより具体的なバージョンものほどでは無いが、ほとんどのプレイヤーはトーナメントの開始時にもこのようなことが起こっていることに気づいていない。

レイトレジストレーションは、ポーカートーナメントをプレイしないことでエクイティが得られるという事実を利用する手法である。

ハンドをフォールドすることでエクイティを得られるのであれば、テーブルにいないことでさらにエクイティを得られるのは当然である。レイトレジストすることで、トーナメントをよりITMに近いところから始めることができる。それを数字で表してみよう。


あなたはトーナメントにレイトレジストするべきなのか


レイトレジストの利点を説明するために、別の例を見てみよう。上記のSNGで4人のプレイヤーが脱落し、その時点でレジストが許可されているとする。あなたがレジストする前の各プレイヤーのスタックとエクイティは以下のようになっていた。


そして、これがレジスト後である


プライズプールが増えたのは、$100が追加でバイインされたからだ。次に注目すべきは、あなたの現在のエクイティが$110.90であること。つまり、土壇場に現れただけで、あなたは$10.90を獲得したことになる。ポーカーにおいて、何もせずに勝率を10.9%プラス出来るような機会はほとんどない。

また、ビッグスタックを除いて、他の全員がエクイティを少し減らしていることにも注目してほしい。あなたが遅れて参加したことでエクイティが増えたように、他のプレイヤーは時間通りに参加したことで罰を受けたのだ。

SNGの例を選んだのは、シミュレーションがしやすく、提示しやすいからである。MTTに拡大すると、計算は非常に複雑になる。それでも、このトイゲームの例を使って、MTTについて大まかな仮定を立てることはできる。
もしペイアウト構造がよりフラットだったら?この例では、ペイアウト構造を変更し、3つのプライズの代わりに4つのプライズのペイアウトにした。


よりフラットなペイアウト構造により、私たちはハンドをプレイする前に22.35%のエクイティを得ることが出来る。つまり、100ドルのバイインは122.35ドルの価値があるという事だ!
上のシナリオを再現してみよう。しかし、その代わりに、上位4人が同じ賞金を得るサテライト構造にしてみる。このペイアウトストラクチャーのトーナメントにレイトレジストしたらどうなるだろうか?


これはさらに大きなブーストであり、私たちは今、29.76%のエクイティを増加させている。この効果は、ペイアウトストラクチャーがフラットであればいつでも再現される。

ペイアウトストラクチャーが平坦であればあるほど、上位の賞金を狙うインセンティブは低くなり、ミニバイインを優先するインセンティブが高くなる。

ICMの観点からは、マネーバブルの近くでトーナメントをスタートする方がはるかに価値がある。
フィールドサイズはこの方程式にどのような影響を与えるだろうか?通常のMTTのペイアウトストラクチャーで、トーナメントが27人のプレイヤーでスタートし、残り10人のプレイヤーの段階でレイトレジストするシナリオを見てみよう。これが、あなたがレイトレジストする前の状況である:


そしてこれが、あなたが28番目のプレイヤーとしてバイインしたときに起こることである:


「今では私たちは、ハンドを1度もプレイする前に、$31.48のエクイティを手にしている。この例では、私たちはより多くのビッグスタックのプレーヤー達と対峙することになる。私たちは他のフィールドのプレイヤーとのチップ差を埋めるためにより多くの努力が必要になるが、より多くのエクイティを獲得する。なぜなら、私たちはより大きな賞金プールの後半段階に飛び込んでいるからである。一般的に、レイトレジストをすると、トーナメントでの優勝の可能性が減少するが、計算によれば、より頻繁にキャッシュアウトし、ラダリングすることで全体的により多くのお金を稼ぐことができることが示されている。


ショートスタックで参加する


戦略としてのレイトレジストに反対する最大の理由の一つは、平均より浅いスタック量で参加することになる、ということである。浅いスタックでは操作性が低く、必ず登録後すぐに全てのチップをコミットしなければならない。プレイヤーは、大きなエッジを享受できない20BB程度のスタックでトーナメントに入らなければならないことを好まないし、SPRが低いためにすぐにオールインになる可能性が高いことも好まない。
ここには頻度バイアスがある。スタックが浅い状態で遅れて参加した場合、最初のプレイレベルでトーナメントから何度も脱落することになる。それは利益的ではないという意味では決してなく、トーナメントの性質と終盤のペースの速さからもたらされる。確かに、20BBでは100BBのように弱いプレーヤーをエクスプロイトすることはできないが、スタックの深さが浅い方が有利なのだ。

SPRが低い為、スタックが浅い方がプレイ難度が圧倒的に低い。

もしペアが出来れば、普通はそのペアでいかなければならないし、ハンドをフォールドさせられる可能性も低くなる。トーナメントに良いレギュラーが多ければ、そのレギュラーがあなたより有利になることは少なくなり、多面でプレイすれば、あなたの判断はより簡単になる。一般的に言って、スタックが浅いほど、幅広いハンドでプレイできる。なぜなら、トーナメントエクイティをリスクにさらす金額が少なくなるためであり、獲得したポットがスタックの大部分になるため、より多くのハンドが利益になるからである。ショートスタックは一般的に、ミドルスタックよりもICMのプレッシャーが少ない(バブルの場合を除く)。

これはCOのES10BBのChipEVによるオープンレンジである。

これは同じポジションからの7BBのオープンレンジ。

これはCOからの5BBのレンジ。

見ての通り、COのスタックが小さくなるにつれて、レンジは狭くなるどころか広くなっている。スタックの深さが浅くなればなるほど、より多くのハンドが利益を生むようになる。なぜなら、すでにポットの中にあるチップが、COのスタックに占める割合が大きくなるからである。ポットに勝つと、最初の例ではCOのスタックは25%増えるが、最後の例では50%増える。また、スタックが浅くなるにつれて、オールインが増えている。これは、浅いスタックの方がプレイしやすいという、すでに述べたことを裏付けている。

このトイゲームの例は完璧ではない、すべてのシナリオで100%再現できるものでもないが、大まかなポイントを示している。より深いスタックの深さでは、スーテッドコネクターのようなより投機的なハンドがより利益を生むようになるため、より広いレンジを持つものもある。これらの例はICMを考慮していない。ICMはレイトレジストの終盤では重要である。ショートスタックのプレイヤーはビッグスタック(から生じる)フォールドエクイティーを活用することができるため(ミディアムスタックのプレイヤーは、ビッグスタックが背後から何かを仕掛けてくるのを恐れて、ショートスタックのオールインをコールする傾向が少ない)、レンジがさらに広がることもある。

レイトレジストのもう一つの利点は、時給が上がることだ。トーナメントを2時間短縮できれば、時給はすぐに向上する。これはまた、より多くのトーナメントに出場できることを意味する。直感に反するように聞こえるかもしれないが、トーナメントにレイトレジストし、すぐにバストすることは、より多くのトーナメントに参加できることを意味するので、勝ち組プレイヤーにとって有益である。最初のレベルに登録し、2時間プレイして、レイトレジストと同時にバストするよりもずっといい。


バウンティトーナメント


PKOにレイトレジストしたり、リエントリーするのはよくない事である。プレイヤーが脱落するたびに、バイインの少なくとも25%がプライズプールから取り除かれ、登録が遅れれば遅れるほど、エントリーした人数に対するプライズプールは小さくなるからである。

以前PKOで見たように、ICMのルールである「常に、得るものよりも失うものの方が多い」というのは正しくない。PKOでは、バウンティと、スタックが大きいために獲得出来ると予測される将来のバウンティ、さらにトーナメントを勝ち抜いた場合の賞金により、リスクよりもエクイティを多く獲得することがよくある。

バウンティを獲得出来ない事は、追加で支払わなければならないレーキだと考えて欲しい。ただし、ミステリーバウンティはフォーマットは例外で、戦略上大きな違いがある。ミステリーバウンティーの開始時にはバウンティを獲得することはできず、バウンティ獲得期間は通常、フィールドの3分の2が脱落した2日目から始まる。運営者は、バイインに比して懸賞金を大きくするために、このようにイベントを構成している。ミステリーバウントトーナメントの2日目に近いほど、より大きなバウンティを獲得することができ、運が良ければ非常に大きなバウンティを獲得できる可能性があるからである。
100人の$100バイインのPKOでは、プレイヤーが一人減るごとに、$0.25のレーキを支払うことになります($25のバウンティを100人で割った額)。トーナメント開始直後にレイトレジストし、数人しかバストしていない場合はそれほど問題にはならないが、ギリギリにレジストした場合は最悪だと言える。通常のトーナメントで時間通りに来た人たちからエクイティを得るのと同じように、PKOで最初からレジストしていたプレイヤー達はレイトレジストしたプレイヤー達人からエクイティを得ることになる。


まとめ


レイトレジストの議論で興味深いのは、多くの人がレクリエーショナルプレイヤーにとって不公平だと主張していることだ。実際にはアマチュアプレイヤーこそが最も利益的になるのにも関わらずである。小さな負け組プレイヤーが、レイトレジストしてトーナメントに参加すれば、収支がトントンになったり、勝ち組プレイヤーになったりするかもしれない。

また、100BBのスタックに比べ、20BBのスタックではストリートから弾き出されにくいため、浅いスタックで参加することもアマチュアプレイヤー達にとって有利に働く。しかし、熱心なアマチュアは、レイトレジストを習慣にするつもりなら、ショートスタックのレンジをもっと練習すべきである。

これは、レイトレジストが簡単なトーナメントの攻略法である、という記事ではない。多くの分散が伴い、高い頻度で早い段階でバストアウトすることに気づくだろう。特に、旅先でのライブトーナメントにレイトレジストした場合は厳しい。レイトレジストするには、強いリスク耐性と、メンタルゲームの問題を避けるための分散への深い理解が必要である。
レイトレジストは紛れもなく有益だが、ポーカーを楽しむためにプレイしたり、多くのハンドをプレイしたい方には向かないかもしれれない。もしあなたが時給を最大化したいハイボリュームプレイヤーなら、おそらく毎回のセッションで最も利益を生む決断となるだろう。


ポイントとなるコンセプト


  • トーナメントでは、自分がハンドに参加していなくても、エクイティを獲得することができる。

  • レイトレジストすると、より賞金に近いところからスタートすることになり、先にバストしたプレイヤー全員からエクイティを得ることになる。

  • よりフラットなペイアウトストラクチャーでは、レイトレジストする事でより多くのエクイティを得ることができる。

  • より多くのプレイヤーがいるフィールドで、より多くのエクイティを得ることができる。

  • トーナメントで優勝する確率は下がるが、全体としては勝つ確率は上がる。

  • スタックの深さが浅い方がプレイしやすい

  • 遅れて登録すると、プレイ時間が短くなり、より多くのトーナメントに参加できる。

  • PKOトーナメントにレイト登録するのは悪い考えだが、ミステリーバウンティにレイトレジストするのは通常有益である。



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