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【翻訳】リバープレイの基礎【セオリー】GTOWブログ.44

リバーはベッティングストリートの中で最もシンプルな戦略が採用されやすい。これ以上カードが来ないため、ハンドの価値は固定され、将来のボードカバレッジはもはや考慮されない。ベットは、より悪いハンドからのコールを求めるバリューか、より良いハンドからのフォールドを求めるブラフに単純に分類できる。その結果、リバーのベットは、特にインポジションプレイヤーが行う場合、大きくポラライズされる傾向がある。

多くのプレイヤーがリバープレイを難しいと感じるのは、戦略の複雑さよりも、特にブラフやブラフキャッチに関連する多くの決定が均衡でかなり近いことからである。つまり、最善のプレイが明確ではないということであり、ベットのサイズによってこれらの決定が感情的に重いものになるかもしれないが、EVの小さな、または存在しない違いに執着心を持つことにはほとんど価値が無い。GTOソリューションの研究では、常に最善のプレイが明確なハンドが何なのかを特定することと、およびEVが近い場合に良いエクスプロイトを行う為のヒューリスティクスを見つけることが目標となる。


バリューベットをするのにどの程度の強さが必要なのか

ベストハンドの可能性が高いだけではベットする十分な理由にはならない。相手がインポジションのあなたのベットをコールした後も、あなたがベストハンドを持っていることが多いと信じる必要がある。これはベットの大きさに関係なく同じである。ベットをコールする場合とは異なり、ポットオッズは考慮する必要は無い。なぜならインポジションのあなたはチェックをしてショーダウンをすることが出来るからである。ポットの10分の1を賭けるにせよ、10倍のポットを賭けるにせよ、バリューベットはコールされた時に50%以上の確率で勝たなければ利益にならない。

このルールには2つの例外がある:

  1. リバーのベットがオールインでない場合、極端なレンジでレイズされるリスクを考慮しなければならない、 したがって、このリスクを考慮するためには、コールされた場合、通常50%以上の確率で勝つことを期待しなければならない。これは主にインポジションのプレイヤーにとっての懸念であり、IPのプレイヤーにはチェックによってアクションを閉じるという選択肢があるからである。

  2. OOPのプレイヤーにとっては、チェックをすることでアクションを閉じることはできない。OOPのプレイヤーは一般的に、コールされたときに勝率が50%未満になるようなハンドでも、薄いバリューベットをするのが正しい。小さな「ブロックベット」を正しく構築したレンジで行うことで、大きなベットを抑止することができ、チェックをしてベットに直面した場合に厳しい決断を迫られるようなハンドをショウダウンが出来るメリットがある。

もちろん、ナッツは常にバリューベットするのに十分な強さを持っている。ナッツよりも弱いハンドをどの程度ベットできるかは、ベットサイズの大きさとナッツアドバンテージの程度による。ベット額が小さいほど、相手は弱いハンドでコールしやすくなり、コールされたときにナッツ以外のハンドでも有利になる可能性が高くなる。しかし、ナッツの少ないハンドを持つ相手は、それほど強くないハンドでもあなたのブラフ過多によってレンジを攻撃されすぎないよう、大きなベットをコールする必要がある。
上で説明したように、OOPのプレイヤーはベットしてもアクションを閉じることがない為、より薄くベットすることができる。しかし、どれほど薄いベットであろうともそれを決めるのは相対的なナッツアドバンテージであることに変わりはない。著しくナッツアドバンテージが欠けている場合のOOPのプレイヤーは、バリューベットを全くせず、ナッツであってもチェックし、相手のナッティなレンジからのベットを誘うことを好む事もある。

どの程度の大きさをベットするべきか

リバーは最後のベットのチャンスとなるため、たとえそれがポットの数倍であったとしても、最も強いハンドで可能な限り大きなベットをするインセンティブが大きい。ここには主に3つの例外がある:

  1. あなたのブラフが尽きてしまう場合。これは稀なことではある。なぜなら、弱いハンドは一般的に手に入りやすく、控えめなショーダウンバリューを持つハンドをいつでもブラフに変えることが出来るからだ。しかし、時にはあなたのレンジが非常に強力であったり、ポットが非常に小さすぎて、相手がナッティなハンドよりも弱いハンドでオールインベットにコールすることを促すのに十分なブラフの候補がない場合がある。その場合は、ブラフのバランスを取ることができる最大の額のベットを行うべきである。

  2. あなたが相手の最良のコール候補のハンドをブロックしている場合。これはペアボードやフラッシュボードでよく起こり、1枚のカードを持っているだけで相手のコール回数を劇的に減らすことになる。

  3. AIを誘うために小さくベットする場合(インデュース)。あなたがあまり強くないハンドでシンバリューベットをするような状況では、相手はポラライズドレンジで、小さなベットに対してオールインをする動機がある。これは上記の例外2と重なるが、重要なブロッカーを持つ手はこのプレイの最良の候補となることが多いからである。

可能な限り大きなハンドでは、可能な限り大きなベットをしたい。しかし、前述したように、バリューベットするには十分強いが、スタック全てを賭ける程には強くないハンドを持っていることもある。このようなハンドでは、ベットを再開するリスクを補うほど大きく有利な状況であるとを期待出来るのであれば、小さくベットするのが正しいこともある。慎重に選んだナッツハンドをスモールベットのレンジに入れることで、このリスクをさらに軽減することができる。

例1.トリプルバレル

6人の200bbディープのキャッシュゲームで、UTGがオープンしBBにコールされる。BBはチェックし、75%ポットのCベットと175%ポットのターンベットをコールし、A♠ T♥ 3♠ 8♣ 2♣ のボードでリバーに到達する。
以下のエクイティ分布のグラフから、緑の線で表されるUTGの方が極性が強く、強い手と弱い手の両方がレンジに入っていることがわかる:

その結果、GTOウィザードのBB戦略は極めてパッシブであり、チェックと10%のブロックベットのみで構成される。ブロックベットのレンジはリニアで、ブラフ、トップペア、ツーペア、セットも含まれる。

一方、UTGはチェックするか、大きく極端なベットをする。彼らは2つの異なるベットサイズを使う:すべてのストレートとほとんどのセットで275%ポットサイズのAI、ほとんどのツーペアと残りのセットで85%のポットベットを行う。

ベットサイズを小さくすることで、UTGは自分のツーペアからより多くのバリューを引き出すことができる。BBは十分なセットとツーペアを持っているので、ワンペアでコールする動機付けを与えるために、この小さいベットは必要である。UTGは、直感的にわかるように、これらのベットサイズの間でセットをランクで分けることはしない。そうではなく、ブロッカーによって分けるのである。88は純粋なショッブであり、33はほとんどショッブである。一方、AAとTTはBBのコーリングレンジの多くをブロックし、85%のポットレンジの「トラップ」として多くをプレイする。ブロックベットに対するUTGの反応も同様で、55%のポットをレイズするレンジと222%のポットをショッブするレンジがある。これらのレンジ間のハンドの配分も同様である。

UTGがBBの10%ポットベットに対して、MDFが示唆するよりもはるかに高い頻度でフォールドしていることに注目しよう。これは、チェックしターンのオーバーベットをコールした後、BBにはブラフできる弱いハンドがほとんどないからである。この状況ではブラフで利益を得るはずである。これがBBが最も強いハンドで大きなベットをしない理由でもある。

ブラフキャッチをするべきか

うまく構築されたポラライズドベッティングレンジでは、中程度の強さのハンドでコールすることにおおよそインディファレントになるはずである。つまり、相手の傾向をある程度把握しない限り、この質問に対する唯一の正解はないことが多い。最適なベッティングレンジに対しては、コールしてもフォールド(場合によってはレイズ)しても、ほぼ同じEVになる。つまり、以下のようにブラフキャッチをするには悪い理由がいくつかあるということだ:

  • 相手はブラフかもしれない。もちろんだが、バリューベットの可能性もある。単なるブラフされるリスクや、ブラフ候補を特定できたからといって、コールすることが利益につながるわけではない。

  • ブラフに適したカードは、定義上、バリューベットに適したカードでもある。つまり、ブラフのリスクはコールする動機になり、バリューベットのリスクはフォールドする動機になる。

次はコールした方がいい理由だ

  • 相手のバリューベットのいくつかに勝っている。もしあなたのハンドが相手のブラフ全てと相手のバリューベットのいくつかから利益を得られるなら、よほどのブロッカー効果がない限り、それは確実に利益を生むコールになるだろう。

  • バリューベットをブロックしているか、ブラフ候補のハンドをブロックしていない。手札のカードは相手がアクセスできない隠れた情報であるため、相手がどのような手札を持っている可能性が高いか低いかを知る重要な手がかりとなる。理論的には完璧にバランスの取れたレンジを持っているプレイヤーでも、あなたのホールカードに関する独自の知識によって、相手がブラフやバリューベットに偏っていると判断することができます。ブロッカーの効果はわずかであることが多いが、特にフラッシュボードやペアボードでは、1枚か2枚のキーカードが相手のレンジの大部分をブロックすることがある。

以下は、A♠ T♥ 3♠ 8♣ 2♣ のボードで前述のシナリオ、85%ポットのリバーベットに直面したBBの戦略である。上記のポイントに関連して、いくつかの重要な点が目立つ:

  • BBは決してツーペア以上をフォールドしない。これらのハンドはUTGのブラフ全てとバリューベットの一部から利益を得ており、(インディファレントではなく)確実に利益を得るブラフキャッチャーである。

  • BBはセカンドペアでコールすることもあるが、トップペアをフォールドすることもある。言い換えれば、BBはハンドのランクに基づいてブラフキャッチャーを選んでいるわけではない。むしろ、これらのコールはブロッカーに基づいて選ばれる。

例1.ターンでチェックスルーした場合

アーリーストリートのアクションとリバーカードを同じにし、ターンのアクションだけを変えることで、事前のアクションがリバー戦略にどれほど劇的な影響を与えるかを観察することができる。ターンで75%のポットをベットする代わりに、UTGがチェックビハインドすると、BBのリバープレーはよりアグレッシブになる。

BBのベット頻度はまだおよそ50%だが、10%ポットのブロックベットよりも、オーバーベットを含む大きなベットを好むようになった。これは、ターンのアクションの違いによって、リバーでのレンジの強弱が全く異なるからである。この場合、BBのレンジはUTGのレンジよりもポラライズされているだけでなく、単純に全体的に強い。その結果、ポットへ資金を注ぎ込むインセンティブがより強いのはBBとなる。

下のグラフはターンがチェックスルーした後のリバーでのエクイティグラフである。BBの青い線が、両者のレンジの中で最も弱いハンドを除いて、すべてUTGの線よりかなり上にあることに注目してほしい。これが、BBがポットへの資金の投入を好む理由であり、チェックされたときにUTGがベットする頻度をほとんど当てにできない理由である。

しかし、UTGのこれらの数少ない強力なハンドは戦略的に重要である。なぜなら、これらのハンドに出くわすリスクにより、BBが無謀なチェックレイズをすることを抑制するからである。これはUTGが小さなバリューベットでベッティングを再開するリスクを減らすことになる。それでも、UTGがバリューベットするにはかなり強いハンドが必要になり、全てのトップペアが十分とは言えない。
UTGには、最悪のハンドをブラフするインセンティブが大きく、ターンで最も強いハンドをバリューベットするインセンティブもかなりあった。ターンのベットを拒否した場合、彼らのレンジの大部分は中程度の強さのハンドで、スロープレイしたリバーのモンスターハンドはごく僅かしか無い。ブラフになるような弱い手も少ないため、BBがチェックした後、ナッツを持っていたとしてもあまりオーバーベットはしない。

結論

リバーでのプレイはハンド単体で一概に評価できない。

  • どちらのプレイヤーがレンジで優位に立ち、より頻繁にベットすることを好むか、どの程度ベットすべきか、バリューベットするにはどの程度強いハンドでなければならないか、などはすべて事前のアクションに大きく左右される。

  • また、コールの判断は大きく文脈に左右され、単にポットオッズやボードテクスチャーだけでなく、ベッティングレンジの構成や特定のカードの特性にも左右される。

これらの概念を理解することで、リバーでの"高くつく"ミスを避けることができるはずだが、それでも明確な正解のないリバーでの厳しい決断に直面することは多いだろう。それは苛立たしいことだが、ソルバーも同じジレンマに直面していることを覚えておくと良い。ソルバーのソリューションの中の混合戦略はすべて難しい決断を意味し、実際のゲーム上でこれらの点に悩むことが、必ずしもあなたのゲームのリークになるとは限らない。

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