見出し画像

バンドマンの女

先月、バンドマンの恋人ができた。
noteに書くか書くまいか迷ったけど、本当に毎度毎度書くことないばっかり書いてしまうし、わたしの日記だし、好きにすることにした。お友だち各位、くっさい匂わせツイートばっかして黙っててごめんね。

本当はバンドマンとなんて付き合いたくなかった。それも、売れないバンドマンとなんて、まっぴらごめんだと思っていたのに。相手のフルネームが分かった日、SNSで検索したらすぐにアカウントがヒットして嫌な予感がしたら、案の定バンドマンだった。デート、すごく楽しかったのに。いい子だと思ったのに。ずっと、"バンドマン"なのがどうしてもひっかかっていた。でも、そんなことどうでもいいと思えるくらい楽しい時間が過ごせるから、まぁいっかと思っていた。

思っていたのに。昨夜何気なくバンドアカウントを覗いたら二件のライブの告知。前にシンガポールのバンドと対バンするんだと話していたのを思い出した。あまりにも楽しそうに話すものだから、わたしはこわくて隣が見られなくて、すごいねと言うだけで精一杯だった。ライブの日付を見てがっかり。いつもわたしが家に遊びに行く曜日だね。君はライブ終わりは打ち上げに行くだろうから、きっとその日は会えないね。それだけでもショックだったのに、もう一件のライブは楽しみにしてたバンドのライブの日。わたしが先にチケットを取っていたのを、自分も行きたいって後からチケット取ってたね。ライブ終わりは一緒に飲みに行こうねって話してたよね。初めて行くライブハウスだから楽しみって、もうなくなっちゃうらしいから行けるのラッキーだねって話したばっかだよね。

何より、本人の口から聞く前にSNSで知ってしまったのが悲しかったし、恋人のバンド活動を応援できないのがつらかった。だって、いつだってわたしを優先してほしいって思ってしまうから。何よりわたしがいちばんであってほしいって思ってしまうから。これから先もきっと、こんなことがたくさんあるんだろうなって思うとちょっと憂鬱になる。そんなバンドいつまで続けるの?わたしとのことちゃんと考えて定職に就いてよって、いつか言ってしまいそうでこわい。ギター弾けるのかっこいいなって思ってるのに。わたしの知らない曲をたくさん知ってるの素敵だなって思ってるのに。

ステージの上でライトに照らされて、ギターを掻き鳴らす君を見たらこんな気持ちもどうでもよくなったりするのかな。でもわたし、君のライブを見に行きたいって思えないよ。英語の歌詞の曲はちょっと苦手なの。

こんなんでこの先やっていけるのかなって勝手にBAD入りそうだったから、ダイエット中だけど好きなものをたらふく食べた。人間が手っ取り早く幸せになる方法は食べることらしい。わたしがこんなことでうじうじしてるのなんて知らずに、楽しくバンド活動していてほしいから、わたしはいつでもご機嫌でいなきゃいけない。バンドマンの女もなかなかわるくないなって、いつか思えるようになるといいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?