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働く母ちゃん、転んでもタダでは起きないよアーカイブとちょっと追記⑤

早く続き書かなきゃとか言っておきながら前エントリから半年経ってた…この半年の忙しさたるや。でも今日、久しぶりに昔掲載頂いたメディア記事に触れる機会があり、このエントリがそのままになってたことを思い出した。ちゃんと書くタイミングが来たんだなとか自分に甘いこと言いつつ、現ArrowArrowの代表海野が書いた試行錯誤してた日々の続き。

リクルートホールディングスのアプリ「カムバ!」に携わらせていただき、その開発秘話のインタビュー取材の日の話。これ確か、「あなたの働き方が信頼できない」って言った次の日の話だと思う。ニコニコして写真撮られながら、私は私で気が気でなかったのを覚えている。(ちなみに前日、海野がパートナーにさらなる追い打ちをかけられていたことは知る由もない)

海野はどんな気持ちでインタビューを聴いているのだろう。ライフイベントを迎えた女性の不安が払拭できるように。そんな想いを込めてカムバ!を共に作ってくれたのは他ならぬ海野だ。そんな海野へのリスペクトと、共に頑張ろうとしてくれる戦友へエールを込めるつもりで答えたインタビューは海野にどう届いてるのだろう。

その答えを聞けたのはその一年くらい後だったけど、この辺りから海野のスイッチがカチっと入ったのは間違いないと思う。おそらく次のエントリがこのシリーズのラストになるはず。少しずつ光が差し込んできたエントリに、もうちょっとだけお付き合いください。

***

この日は「カムバ!」という妊娠〜出産・職場復帰までを応援するアプリリリースについて、ハフィントンポスト(※現在の名称はハフポスト)から取材が入っていて、リクルートホールディングス二葉 美智子さんとの対談が行われる場に、私は同席していた。

ーー女性特有の就労環境が抱える課題は何か。
それについて取材を受ける二葉さんが口にした言葉に、私は聞き入ってしまっていた。

「私自身の感覚が変わったのは、時間制約があるけれども生産性をもって働く人がいるチームをマネジメントしてからです」


「週5日1日8時間の働き方を受入れない、ということは、組織自体が仕事のやり方を変えなければならない。それは”人に属す仕事”を任せることができないということ。そうなると組織はどんなことが起こると思いますか」

「私は、人に任せる仕事の依頼・発注を正確にするようになりましたね。
任せる仕事が何かはっきりすると、その仕事が出来たか否かの成果が確認しやすくなる。そして短い時間で働く人たちは自分以外の人間に仕事を任すことが出てくるので、自分の仕事がどこまで出来たかアウトプットを正確に言ってくれるんですよ」

「マネジメント側にとって、仕事の何が出来ているかを可視化することができることはとても大きなメリット。その人たちに仮に何かあったとしても、誰かが変わることができる。それは組織として進化しているという感覚になりえた」

思わず二葉さんの方にぐっと顔を向けた自分がいた。
短い時間で働いている人を組織として受入れることは、組織として進化するという言葉。

私はどこかで「フルタイムで働かない」ことを、自分の中で「否」と思っていたのではないか。それは組織としても「負」だろうと思っていたのではないか。


個人だけではなく受入れる組織においても前に進むチャンスなのだという強い言葉が、自分自身が、この期に及んで「固定観念」として、思い込んでいた感覚をガシャンと割ってくれた。


ハフィントンポストの取材が続く中で、堀江から次の言葉が発せられた。


「子育てしながら働くということは、物理的にコミットできる時間が減るのは明確。でもそこは”時間が減った”というマイナスの視点ではなく、一歩上の視点にいくチャンスでもあるんです」


「”自分ができることはこれ”とわかること、自分ができないことを誰かに託すチャンス。それは自分だけの仕事を見ているのではなく、もっと“チームで任せられる仕事”を増やしていくという分岐点でもある」


「産前と同じプレーヤー感覚で行くと簡単に心は折れます。同じ時間同じ量ができないのだから。だからこそ違う仕事への評価軸をもってくる。自分にしかできない、ということをいかに減らすかということ。それは結果的にチームをマネジメントしていくことにも繋がるんですよね」

これらの言葉は、目の前にハフィントンポストのインタビュアーがいながら、何度も「これはインタビューではなくて私に言っている言葉だ…」と噛み締めていた。


そうだよな…私産後働き始めて、本当に何度も何度も

「私はちゃんとパフォーマンス出しているんだろうか」
「前より全然うまく仕事が回っていない気がする」
「働く時間が少ないんだから夜も起きて仕事しなきゃ」

とぐるぐる思う日々が続いていたのだけど、
(心折れかかっているのに無理矢理船を走らせている、そんな危ない感じだったんですね今思うと)


それは産前の働く自分と重ね合わせて「できないこと」ばかりに目がいっていて、だからそれらを払拭するために、できることをどんどんやっていかなくちゃ、と躍起になっていたんだろう。


「子育てしながら働く」その働き方は、人によってさまざまだけれど、
少なくとも今までの自分と全く同じ働き方はできないんだ。


ようやく、ようやく、私は「今の自分」を真っ正面から見ることができるようになった。

【連載】7,8話目:働く母ちゃん、転んでもタダでは起きないよ(海野千尋)

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