『できるリーダーは「これ」しかやらない。』を読んでみた。


本書は前職のリクルートで短期間で成果を出す手法を駆使して、「残業しないチーム」を実現し、11年間退職者をださず37歳で社内ベンチャーになった伊庭正康氏が、「任せられた部下がワクワクできる」そんなマネジメント法を紹介した1冊です。

私は来期から1課になり、新しい部下も増え、今よりさらに大きい予算を追います。女性部下のみになり、様々な価値観がある中でみんなを売上達成に導く責任があります。様々な価値観があり、業務時間も限られている中で成果を出していく為には、私だけの力ではなく1人1人が主体的にワクワク動くために「任せる」という技術が必要だと思い、本書を選定いたしました。

■書籍
できるリーダーは「これ」しかやらない。
伊庭正康


リーダーの「任せる覚悟」が部下を覚醒させる

期待すべきはすぐの結果ではなく、その人の伸びしろだと著者は言います。
そして、リーダーには「この人の可能性にかける」という覚悟。そして、裏切られてしまったら、その時は自分が悪かったのだ」と受け入れる覚悟が必要です。

リーダーがまだ「任せられない」という場合、業務遂行の視点でしか見ていないからかもしれません。そうではなく、部下を覚醒させる「きっかけ作り」という視点で判断するのが正解です。

あなたにもパーフェクトではない部下もいるかもしれません。でも「信じて任せる」という行動が部下を覚醒させる大きな一歩になることを忘れてはいけません。


年上への「接し方」がわからず、調整役になってしまう罠


部下が年上というのは今の時代珍しくないと著者は言います。しかし、年上部下に委縮し調整役、伝達役になってしまうと失敗をします。なぜなら、彼らの多くは組織の論理を理解し、熟知しているからです。「だったら、その上の上司を直接話したほうが早い」と見透かされてしまうのです。そうなってしまうと、リーダーとしての介在価値を示せなくなるどころか、
ムダな存在としてみなされてしまいかねません。

そこで考えなければならないのは、年上部下から見て、仕事のやりやすい年下上司にならなければなりません。仕事をしやすい年下上司の上位は、「謙虚な姿勢」「人の意見を柔軟に受け入れる」ことだとアンケートの結果ででています。一方でやりにくい年下上司の上位は「人の使い方が下手」「知識・知見が少ない」「人の意見を受け入れない」「人望がない」などです。
決して調整役にはなってはいけないものの、「謙虚な姿勢」は忘れてはいけないのです。

そして、年上部下にとってやりやすい上司になるためには3原則があります。


①判断軸を示しておく
年上部下は経験が豊富です。判断軸が曖昧だと、自分の経験則で判断せざるお得ず、お互いがやりにくくなるのです。
②支援者になると決める
年下部下は「仕事に打ち込む」ことで上下関係のジレンマを乗り越えようとしています。上司は話を聞きながら、「より良い仕事の進め方」を一緒に考え、柔軟に環境を整えなければなりません。
③「ぜひ、教えてもらいたい」という姿勢を持つこと
社会人経験は年上部下のほうが多いということを忘れてはいけません。自分にない知識は頼ってどんどん吸収していくことであなたも成長ができるはずです。

年上部下の「強み」を借りながら、チームのパフォーマンスを最高に引き出すのが、これからのリーダーの条件です。

トップダウンとボトムアップを使い分ける


民主的なリーダーには落とし穴があると著者は言います。みんなで何かを決めた際に誰の責任かという問題が発生します。この展開になると部下は任されたのではなく、「責任まで任された」ことになってしまいます。

そのため、すべてをみんなで決めるのではなく、やるべきこと(方針)はトップダウンで決め、やり方(方法)はボトムアップで任せるスタイルが有効です。方針、やるべきことはリーダーがトップダウンで決めるからこそ、
部下のボトムアップを効果的に引き出せるわけです。


「任せる」と「放任」の違いを理解しておく


「任せる」と「放任」の違いを理解していないと、今まで優秀だったプレイヤーはどこかで爆発すると著者は言います。「任せる」と「放任」の違いの基準は下記になります。

・今、部下のやっている作業を具体的に言えること
・今、部下が抱えている負の感情(不安、不便、不満)を把握していること
・やったことに対してフィードバックを行うこと

そもそも、任せられたほうは「何か起こった時、どうしたらいいのか」という不安を抱えているものです。ゆえに部下は、上司に現状を知っておいてもらいたいのです。

1週間、もしくは2週間に1回は会話をする時間を作ることでここの問題は解決されます。数分でも、数十秒でもいいのです。それだけでも任されたほうが安心します。

意識すべきは「信用」と「信頼」の違い

「この上司のためなら」と思える上司には「信頼」できるという条件があると著者は言います。そんな上司になるためには、「信用」と「信頼」の違いを把握することが出発点です。

・信用とは
言ったことは必ずやってくれる。わからないことをきっちりと教えてくれる。いわゆる、きっちりとしているということ。
・信頼とは
どんなことがあっても「自分の味方」になってくれる。たとえミスしてもうまくいかなくても信じてくれる。いわゆる、認めてくれて、大事にしてくれているということ。

尊敬できる上司の特徴のアンケートの1位では、「人柄が信頼できる」ということがあがっていました。アンケート結果の具体的なエピソードでは、「ミスをした時、真っ先にフォローをしてくれた」「矢面に立ち、かばいながら部下の強みを引き出してくれた」ということが書いてありました。

つまり、ミスをしようが、しれでも部下を大事にしてくれる上司が、我々が目指すベストポジションなのです。上司から認められる、信頼してもらえるという効果は上司が想像しているより絶大なのです。


強いチーム作りの「設計図」


設計図がないと、頑丈な家を建てることはできません。だからこそ、強いチームづくりにも設計図が必要なのです。最短距離で、強いチームをつくるためには「設計図」をもっておくことが大事です。そんな時におすすめなフレームワークが、BSC(バランススコアカード)です。BSCでは、「5つの要素」のつながりで課題を整理します。

①ビジョン(チームで目指す世界)
②財務の視点(収益目標、売上目標)
③顧客の視点(どんな価値を提供するのか?)
④業務プロセスの視点(戦略、戦術。1人あたりの仕事量)
⑤学習と成長の視点(スキル、情報共有、モチベーション)

①を実現するには②が必要で、②を実現するためには③が必要。③を実現するには④が必要で、④を実現するには⑤が必要、と一気通貫して整理するフレームワークです。BSCで整理をすると、課題の優先順位がつけやすくなります。よくあるケースとしては下記のようなものがあげられます。

・戦略は見事だけど、1人あたりの業務量が多すぎる
・頑張ってもそこは評価に含まれないので推進が弱くなる
・スキルアップに向けた勉強会をしつつも、そもそも勝てる戦略になっていない

運任せでは強いチームは作れません。「強いチーム」を作るための設計図を持っておくことは大切なのです。

まとめ

本書を選定したのは、冒頭での来期のことや、ティール組織研修をうけたことが大きな理由です。ティール研修では主体的に動くことの大切さを学び、来期から1課になり、新しい価値観の部下と向き合うこと、今よりさらに大きい予算を追うのは当然私一人が主体的でも叶えられないと感じています。

その為には、本書でもあったようにまずは信頼を勝ち取る上司になることや、任せる勇気を持とうと思いました。また、放任と任せるの違いはとても大きな学びになりました。違いを知り、正直今の私は部下の業務を具体的に把握できていません。今まで任せていると思っていたことは放任だったのだと気づかされました。これでは、部下から信頼される上司にはなれないためまずは放任をやめ、任せるにシフトしていきたいと思います。

そして年上部下との関わり方でも、私を通さず津之地部長、角本次長に部下から相談があることがあります。きっと部下には私のポテンシャルを見抜かれ、通しても意味がないと思われているのだと思います。今のままでは存在価値がなくなり、介在する意味がなくなってしまうと感じました。本書にあがっている3原則をまずは、実施していきます。

さらには来期のチームづくりの設計書がまだ完成していない為、来期が開始するまでにしっかりと方針や、設計書を作成しようと思いました。今までは最初は方針、設計書を作成するものの、ぶれてからの修正ができていませんでした。運だけで勝てる訳がないため、まずはしっかりと方針、設計書を作成していきます。そもそもチームのビジョンもまだ未完成の為、ビジョンを決め、それを叶えるためにどうしていくかは、チームで決めて、主体性をもって業務に取り組んでもらおうと思いました。

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