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春の文化祭2024・レポート

毎年恒例!”いきいき笑って 春の文化祭”が開催されました。

いきいき笑って 春の文化祭

今年は初の試みとして有志の劇団による演劇公演が行われました!

ジョバンニ役の永岩さんとカムパネルラ役の山本さん

七色蛍委員会
『祭よ、今宵だけは哀しげに 〜銀河鉄道と夜〜』
(『高校演劇戯曲選19』より)

著者:加藤純 清水洋史
演出:西マサト【B級演劇王国ボンク☆ランド/努力クラブ】
舞台監督:下野優希 照明:河西凪彩 音響:丸木伸洋
出演:神谷牡丹 河合厚志 永岩玲華 西マサト 山本魚
   深草友紀子 Ya-ma【劇団こいろは】

高校演劇の名作『祭よ、今宵だけは哀しげに』は七色蛍委員会の主催である永岩さんの大変思い入れのある作品で、主人公であるジョバンニも演じられます。
演出をつける西マサトさんは京都の小劇場で活躍される俳優であり演出家・劇作家でもあります。いつもは自身の特撮作品への原体験をエネルギッシュに表現されている方という印象です。"教授"役として出演もされています。果たしてこの作品をどのように調理していくのでしょうか。

車掌役の神谷さん
奥には会議室があらわになっている

客席に座ってまず気がついたのは、通常、会場の集会室はパネルで仕切られ奥は舞台袖として使用するところですが、それが取り払われ客席から奥側が露わになっています。どこか”舞台裏”のような雰囲気がステージにまで広がっており、出演者たちが小学校の木製の椅子に座り、舞台上でないかのように談笑しています。スタッフにより開演の挨拶があると、ゆるやかに物語が始まっていきます。その談笑に今一つ混じれていなかったのはジョバンニでした。天体観測をしながら、親友・カムパネルラと銀河鉄道への憧れについて話します。永遠の環状線である銀河鉄道、終着駅まで乗れば願いが叶うのだ――と、近所のタバコ屋の婆さんが言っていた。夢見がちなジョバンニをなだめるカムパネルラ。そんな二人の前に銀河鉄道は訪れる。
普通「嘘だろ!?」と驚くシーンがありそうなものですが、2人ともどこか分かっていたように受け入れました。演出の妙だと思います。過剰に驚かれたって銀河鉄道が来ることは分かりきっていますし、そのどこか達観したようなふたりの姿は、作品に漂う現世ではない雰囲気も相まって、アントワープ聖母大聖堂にて天使に運ばれるネロとパトラッシュのようでもありました。乗り込んだ銀河鉄道を無邪気に探索するふたり。窓を開け放ってしまい、入り込む強風に吹き飛ばされそうになりながらはしゃいだりしています。幸いを探す旅へ。
車内で様々な人物と出会います。近所のタバコ屋の婆さん。幻の蛍を追う教授と助手。元飛行機乗りのゾンビ。
7名の役者が小学校の木の椅子を操り、その景色を銀河鉄道の車内や学校、川へと変えていきます。逃れられぬ”学校”、夢見がちなジョバンニが抱える疎外感の象徴として舞台上に在り続けます。私は小学生のころ背が高い方だったのですが、小学校の椅子はナットとボルトできつく締めてあり成長期の訪れた生徒には今一つ不便なものでした。席替えの時、高めの椅子に当たれと願ったり、そうかと思えば「椅子ごと持って移動しましょう」と指示されたり。先生に高さを変えてくれと言っても億劫そうな顔をされて結局そのままだったり。心身の成長まで画一化するのかと今では思います。
ジョバンニが不思議な乗客たちと対話を終えた時、自分が銀河鉄道に導かれた理由を思い出します。

列車や学校、川などさまざまな使われ方をする小学校の椅子

高校生のために書かれた脚本を成人が演じることは単に回顧趣味に浸ることだけが目的でしょうか。ジョバンニにはやれねばならぬこと――断ち切らねばならぬことがありました。それは同時に忘れたくないことを過去にしていくことでもあります。この作品は、少年時代の忘れ物、掴みたかった輝く蛍のようでした。それを今、劇団旗揚げ、はじめの一歩として、満を持して上演する。登場人物と役者の姿が重なります。忘れたくないことと共に歩いていくための大きな一歩でした。

ラストシーンには集会室の蛍光灯をつけ、雑多な舞台裏が照らされる



踊りと音楽『利用者たちの愉快な文化祭』
5組の利用者による発表会


・玄鳥至
玄鳥至はコンクールにも出場される実力派のコーラスグループです。華やかなドレスでミュージカル曲を披露してくださいました。20名ほどのメンバーで曲ごとに隊列を組みかえながらの歌唱は練習の積み重ねが感じられます!

玄鳥至
演劇のときとは打って変わって、白いパネルが置かれ、ホリゾントのように使用されている

・コンテンポラリーダンス定期レッスン+野村香子
初めに講師の野村香子さんがソロダンスを披露されました。その後、生徒たちによる集団舞踊が始まります。曲線的で滑らかな動きが繰り返され、やがて朝日のような鮮烈な照明に照らされます。華麗な身体表現でした。

コンテンポラリーダンス定期レッスン+野村香子

・カタオカとカワサキ(チューバとサックスによる演奏)
中学生の金管楽器奏者コンビ。大会にも出場されています。巧みな演奏から、初々しい……かと思いきや軽妙な司会回し!最後はご家族も登場し、みんなで演奏しました。

カタオカとカワサキ

・ハッピーダ!
毎回恒例の3人組ユニット、ハッピーソーダさん。今回は2人でハッピーダ!。鳴り物も配られ、いつも会場をしっかり盛り上げてくれます!4月25日(木)、ライブハウス拾得でライブもあります。

ハッピーダ!

・トランジスタボレロ
こちらも毎回恒例のバンド。大人のローカルフォークバンドといった趣です。次回・一乗寺”喫茶のん”にて4月21日(日)ライブあり!

トランジスタボレロ
最後はハッピーダ!も登場し、客席も大盛り上がり

以上、春の文化祭についてお伝えしました。
文化祭はいきいき市民活動センターを利用される方々が普段の活動の成果を披露する場です。多様な文化活動を通じて利用者間、地域との交流を深める機会になれば幸いです。まだ寒さも残るなかでしたが満席になるほどみなさまに来ていただき、賑わいがあふれる一日になりました。
今回は普段から公演・発表を続けている方が多く場慣れしている印象を受けました。衣装まできっちりされていると大変華やかですね。大人数収容できる楽屋、舞台裏がある集会室の広さも活きています。
文化祭ではパフォーマーや活動発表など広く募っております。
またぜひお立ち寄りください!





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