とうふドーナツ -母と私のこと-
私は彼女を母と呼びたい。何が起きても、何かが欠けていても、その関係がいびつなものでも、その人は大切な私の母なのだ。このこじれた関係性に別の俗称がついていても、その呼び方はしたくない。
子供の頃、空が真っ暗になってみんなは家にいるだろう夜時に、母は私を連れて駅前のスーパーに行くことがあった。たまにしかないけれど、定期的に訪れるその時間を好きだったように思う。
母は、もし残っていればほとんど絶対に、お豆腐屋さんが入っている売り場で、”とうふドーナツ” を買ってくれた。
「へへ、