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鴨川ホルモー 万城目学

どぅもほのぼの🍵です今回は万城目学さんの書いた鴨川ホルモーです



あらすじ📚


このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祗園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!


私見🧐


その1 京大青竜会




ホルモー

ホルモンではなくホルモー、この言葉を自由に発音してみてほしい

このホルモーって意味を知るには辛く厳しい修行が待ち受けていて、飲まず食わずで何日もホルモーホルモーと叫ぶ儀式を行うため誰も知りたいとも思わなくなってしまうのだ

そのために密かに語り継がれてきたのだこの京都で

だが端的に簡潔にホルモーとは何か、と言われればそれは一種の競技なのだ

ホルモーとは対戦型の競技で人数は20人で敵味方に10人ずつ、どちらかの全滅をもって試合終了

全滅は稀でどちらかの代表者が降参を宣言した時点で終了となる

ホルモーが行われる場所に限定はなくいついかなる場所でも開催されて、競技者は競技続行不可能になった場合にはあらん限りの声でホルモーと叫ぶ

京都の裏名物なので京都の人はみんな知ってる、が観光は外国人にはただのキチガイとしか受け入れられない

時に通報されたりする

それでもなぜホルモーと叫ぶのかと言われれば悪魔との契約だからである

事の起こりは葵祭の時に遡る主人公と高村はサークルの飲み会に出かけていった、それが全ての始まりだったのである

飲み会とは葵祭での大役を果たした慰労会であった、牛車を引く牛の傍を歩くという大役だ

大役を滞りなく終え社務所に戻りバイト代を貰って帰ろうとした時に出会ったのが高村だった

うっかり喋ったら止まらない高村、スリーサイズから好きな下着のブランドから好きな筋肉の部位まで色々と聞いてきた

帰国子女だという高村、メリケンに居すぎたせいで日本人的距離感を忘れてしまったらしい

そこに1組の男女が声をかけてきた、何でも新歓コンパ来てムフフなことしませんか?

その男の方はスガ氏

もちろん同意アプリなんて要りませんよと殺し文句を言われた2人

ムフフな妄想をしてダボハゼの如く釣られて新歓コンパに参加してしまいそうだったが、前屈みになりグッと堪え下宿に向かって帰った

そこで考えたなぜ京大生だとわかったのかそれも新入生とピンポイントで、答えは隣の高村だったイカキョーという格好をしてるからだ

それから高村と別れて忙しい日々にすっかり高村のことなど忘れてしまっていた

大学生活は金がかかる親への無心はなるべくしたくないので貧乏生活とバイトと新歓コンパを掛け持ちした、もちろんサークルなど入る気などさらさらない

タダ飯を食いに行くためだけに新歓コンパに参加していたのだ

そのメンタルを木っ端微塵にしたのが早良京子だった、鼻フェチの俺の心をクリス・カイルばりに撃ち抜いたのだ

早良京子も同じく葵祭で勧誘されたようだ、そして勧誘した時のあの男女が現れて乾杯となった

こんな楽しい夜はこんな楽しい新歓コンパはなかった全ては早良京子のお陰だ

後日幹事のスガと名乗った男が京都青竜会第499代会長菅原真だと知った

ただこのサークルに違和感を感じていた

そこに高村から電話があり例会どーよとの誘いがあったが微妙な気分になりかけたところに、早良京子も参加するとのモールスコールを受け取ってビーンを行く気がそそり立った

水曜日にモノポリー同好会の新歓コンパを蹴り京大青竜会の予定を書き込んだ


その2 宵山協定




京都青竜会がおかしいことに気づいていたはずだったが野外レクリエーション企画と早良京子によって完全に曇らされてしまっていた

京都青竜会500代目のメンバーは自分を含め10人になっていた、それはビラを渡された時から仕組まれていたことだったのだ

5月〜7月の間にバーベキューにドライブにキャンプこれらの野外活動により完全な躾けられ尻尾をフリフリする犬になってしまった10人のメンバー

人とは悲しい生き物である

キャンプの買い出しのことで高村と話していた、なぜか3日に1回下宿にくるようになった高村

シガレットというお菓子の食い方がいちいち癪に触る、買い出しを一緒にする楠木さんの話をしていたら大木凡人みたいと言いだすしクソ野郎だほんと

いまどきドジャースのNOMOのTシャツをベルトインしてるとか、マグニフィセント7を聞いて荒野の7人を思い浮かべるぐらい時代錯誤だ

楠木さんとキャンプ用の食材の買い出しをした、彼女は恐ろしく無口なのでスーパーで買い物してる時も口を聞くことはなかった

買った食材を下宿に置いて楠木さんにジュースを出し京都青竜会に入った経緯を聞いた、ご馳走様と言ってそのまま下宿を出て行ってしまった

クーラーを買うべきか否か

盆地の暑さときたらもはやクレイジーなんて言葉では言い表せない、習慣とかした暑さを忘れたいために鴨川のベンチで寝転がってると、隣のベンチで女性が泣いている音が耳に入ってきた

彼女の前に立ちいきなりスボンを脱いで下半身を見せて笑いに変えようかと思ったがすんでのところでやめた

何気なく見えたシルエットに衝撃が走った、あの忘れもしない流麗なライン



鼻良京子いや早良京子だったのだ泣いていたのは思わず声をかけてしまった、涙を癒すにはムフフしかないから僕の下宿近くだし寄ってかないと言ったら

早良京子は去って行った、キミの下宿先は遠いのに何故…

早良京子は寝入っていてかたや主人はベットを占領され地べたで寝れない夜を過ごした、ギンギンにムレムレの暑さが憎いホルモーしたい

あー早良京子の鼻を触りてー

いよいよホルモーについて語られる時が来た、7/16の祇園祭宵山の日

午後7時四条河原

メンバーが集まっているところへ青い姿の連中が現れた、その先頭にいるのは知ってる顔のスガ氏だった

本日午後7時をもって宵山協定を解除する

いきなりスガ氏から告げられ唖然とする一同、そこから宵山協定の説明がなされた

東の青竜、南の朱雀、西の白虎、北の玄武

この4組が四条烏丸の交差点で一堂に会する四条烏丸交差点の会でようやく現実なんだと気付かされた、てっきり茶番劇か何かと思っていたスガ氏の発言がここに来て真実味を帯びてきた

四方から白い浴衣姿の一団、黒い浴衣姿の一団、赤い浴衣姿の一団

気合の入った40人と狐に摘まれたような40人というある種異様なシルエットがそこにあった

人数発表をしお互いに礼をし四条烏丸交差点の会が終わった


その3 吉田代替わりの儀





どう思う?

どうって?

わかってるくせに

わからん

この茶番劇のようなやり取りで始まる、それは祇園宵山の2日後ということもあり何を聞かれてるかぐらいは推測できた

四条烏丸交差点の儀のあと居酒屋で総勢80名の大宴会が催された、テンションの高い浴衣組と困惑気味の一回生という40対40の見事なコントラストは笑えるようで笑えない

高村がホルモーどう思うって聞いてきたので率直にありえないと言った、どこが?みたいな素っ頓狂な顔をこちらに向けたので京大で流行ってる眉間グリグリをかましてやった

京大京大と言ってもそんなもんである

ホルモーとは式神や鬼を用いて10対10で戦う戦国合戦をイメージしろってそりゃ無理や、そんなの500年前の人類の遊びやと率直に思ってしまった

高村が図書館から借りてきた陰陽五行説の講釈をたっぷり聞かされた、腑に落ちる話にえもいわれぬ恐怖を感じることになった

高村にサークル部員を脅かすだけにしては大袈裟すぎる四条烏丸交差点の儀で4校も集まることは可能だがそこまでするかと言われて何も言えなかった

だがやはりホルモーに関してはお互い現代を生きてる身として受け入れ難い一線がある

そんなことあるわけない乾いた笑いと共に高村と別れた

久しぶりに開催された例会には京都青竜会20名が全員参加したそこでスガ氏は一回生から質問の集中砲火を浴びた

のらりくらりとかわしてるスガ氏にサークルの原子力潜水艦凡人号こと楠木さんが見せてくださいとスコープを覗きながらスガ氏に言った

準備が必要だわかるようになったら見えるようになる、それに鬼語を覚える必要もあるなので今すぐには見せられない

高村が鬼語とは例えば?と律儀に挙手をして質問をした

てくまくまやこんー

朝の洗面所で嘔吐くおっさんのような声でスガ氏は言った、検証のために他の上回生2人を加え3人で一斉に止まれという言葉を言ってもらった

ファッキンジャップぐらい分かれダンカン

へっぽこ三重奏の出来上がりだった

呆気に取られた一回生をよそにスガ氏は楠木さんに辞めないでくださいねと語りかけ、なんとなーくな感じで例会は終わった

帰り際に楠木さんに話しかけると黙れと言われてしまった

生まれて初めて殺意を抱いた瞬間でもあった

次の例会が開催された結果を言うと一回生は全員残った

今までのアウトドアサークルが嘘のようにインドアサークルに変貌した、教官役の上回生の指導のもと鬼語の練習に励んだ

おほくさと思うこともありながらも誰1人として投げ出さず3月を迎えたのは奇跡である

ある日高村の下宿先で京都青竜会を辞めようとしてる高村を黒毛和牛のすき焼きを突つきながら説得したファインプレーはあえて主張しなかった

そしてついにスガ氏から約束のものを見せると言われ色めき立った

大学時計台の正面闇夜に聳え立つ1本のクスノキ、そこに京大青竜会メンバー20名の姿があった

16名の京大青竜会のメンバーは一路吉田神社へと向かった、早良京子と楠木さんは式の前半部分が女人禁制のため女性上回生と共に待機した

吉田神社に着き服をある程度脱いで拝殿を正面にして16人のメンバーは二列横隊で位置についた、靴と靴下を脱いで玉砂利の上にいるので凍傷になってもおかしくない

小林亜星のワンサカ娘を歌いながら舞っている上回生を見て一回生全員が寒さのためにショック死したのは言うまでもない

そして16名全員で舞ったのである摂氏2℃の寒空の中を

そして第1部の代替わりの儀が終わった、これが女人禁制なのも頷ける

第2部では鬼に一回生を新たなる使い人として認めるための儀式がある筒がなく終わり鳥居の方に振り向いてみると

奇妙な群れがいた

そう鬼たちであった


処女ホルモー



まずは鬼の外見の説明を茶巾絞りの4頭身が連中を表現する言葉として浮かんだ唯一の言葉だった

吉田神社の儀式を経た今はヤツらを視認することができる、なんでも我々の舞を見て腹を抱えて笑っていたらしい

腹があるとは思えないが

そして春が来て二回生になった、一回生を振り返ると何もしてない自分に気付かされた

茶巾絞りが見えるようになったところでテストの点数も就職先への加点も一切ない、それに早良京子との関係も進展がない

そしてついに始まるのだ、そうホルモーがそしてそのためにこれから吉田神社に向かうのだ

2ヶ月の訓練を経て遂に茶巾と一緒に下界に降りた、茶巾は遠足気分ではしゃいでいた挙動不審な我々とは違う

見えないしね一般人には

そして京都御所建礼門に到着するとスガ氏がそこにいた、内心はハラハラしていたみたいだそこに他の大学のホルモー集団も到着した

今日はいきなり京大に頭では勝てないので暴力で決着をなんて野蛮なことではなく、今日は各大学の茶巾達のお姿を見せるのが狙いだ

各大学の茶巾達の葵祭にかこつけた練り歩き路頭の儀が終わると500代目のメンバー40名が集まり初戦の日程が決まった、3週間後の土曜日となり京大青竜会の相手は立命館白虎隊になった

毎度毎度500代目間ホルモーというのは面倒なので京都の呼び名をつける習慣がある
前回は東山ホルモー前々回は京極ホルモー

今回は担当が京都青竜会だということを聞いたスガ氏が

鴨川ホルモーでいんじゃねということで、長きホルモーの歴史に名を残すことになる「鴨川ホルモー」はこうして始まった

吉田神社の拝殿正面に1000匹の鬼が佇んでいた、集合の合図をかけるとそれぞれの足元に集まってきたそして衣笠ホルモーとして記録を残すことになる戦いに赴くため立命館大学衣笠キャンパスを目指した

ホルモーはホーム&アウェイでの総当たり6戦をして最も勝ち星の多いものが勝者となる、京大青竜会の前回の成績は1勝5敗その前が6戦全敗と相手からしたら鴨が鬼を連れてきたと言った心境だろう

最弱of最弱の京大青竜会の目標を目指せ1勝とスガ氏が訓示を垂れていた

敵陣につくと龍大の会長の立花さんが出迎えてくれた、進んでいくと立命館白虎隊の面々が待ち構えていた

処女ホルモー開演である、裁定を下すのは立花会長

互いに9メートル離れ

いざ尋常に勝負

60分ほどで勝負はついた50分間押しに押しまくって攻め続けて歴史的1勝を早々に初戦で達成してしまった京大青竜会

なんて上手い話はない

押していたのは事実だが勝利の女神ニーケーはそんなに優しい女ではなく実に手なずけることなど出来ない女神だった

京大青竜会の実施の猛攻に耐えた立命館白虎隊が本陣にやけくそで突撃してきたそこを守るには高村だった、緊張していたとはいえボロボロの立命館白虎隊に対して無傷の高村の鬼達

結果は非を見るより明らかだったがここでニーケーの気まぐれが出てしまう

高村の悲痛な叫び声だけが長々と夜の帷に響き渡った

その後高村は消息不明になってしまったまるで応答がない、敗戦の翌週に行われた例会にも来なかったらしい、すぐに第2戦が控えていたそんな夜に下宿先に来客があった

スガ氏と楠木さんだった意外な組み合わせだが聞くと楠木さんは2人のことを心配しているそうだ、きっといや多分していないだろうと思うだろう

ホルモーはチームワークが大事だというスガ氏

だが水曜日の例会には出なかった、なぜかというと高村に心を折られたからである

体育の授業に高村は遅れて参加した、まさかの髪型をチョンマゲにしての登場にそこにいた全員が唖然とした

理由を聞くとなんでも手が勝手に動いたらしい、そして思っているよりも落ち込んでないことがわかり安堵した

高村と世間話をしてる時にその衝撃的な悲報が耳から脳を撃ち抜いて記憶を彼方へ飛ばしてしまった、どうやって下宿先に帰ったかわからない

そして無期限の引きこもりを決めたのだ


その5 京大青竜会ブルース




おめでたすぎる自分が嫌になった、京大青竜会にいる理由でもある早良京子に彼氏がいる

居てもいい居ても不思議ではないがよりにもよってあんな奴とは、新歓コンパは飯を食う場所の自分のプライドを捨ててでも京大青竜会に入ったのは彼女の鼻に恋をしたからだった

そして結果9日間の引きこもりを実施した俗世全てを捨てたのだ、携帯電話に家電にバイトに授業にホルモー

扇風機だけは回しておいた

引きこもり開始から7日後そろそろ俗世に触れてもいいかと思い携帯の電源を入れメールをチェックすると、先日行われた現最強位にそういない京産大玄武組とのホルモーの結果が送られてきていた高村から

どーせ負けたんでしょ、それもボロ負け

なんて思ってたらボッコボコのボッコボコにしてしまったそうだ最強玄武組を、そこでも鬼神の如き活躍を見せたのは憎き芦屋であった

もはや名前からしてセレブ感が漂って気に食わないのに女神の鼻を持つ早良京子の彼氏ときてる、何回殺しても殺したりないこの気持ちメンタルのデフレスパイラルから当分抜け出せそうもない

そんな引きこもり8日目の夜下宿先の扉をノックする音が、また高村だろうと思って無視を決め込んでいたが違和感を感じて覗き穴から外を見てみると

女神の鼻がそこにいたのだ、そしてなぜかドアの鍵を開けてしまった

1年前の鴨川での出会いとデジャブする展開に戸惑っていた、かと言ってこちらから何かを聞くこともなく時間が過ぎトイレから帰ってくるとあの時と同じように早良京子は寝ていたのである

今回と1年前の違いは早良京子を起こしタクシーで下宿先に返したことだと言いたいところだが、短い悲鳴と共に走って出ていく音をあんぐりと口を開けて聞いているしかなかったのだ

翌日下宿先の扉をノックする音に反応し扉を開けると強烈なパンチをお見舞いされたことで引きこもりが終わったのである

スガ氏と向かい合いたこ焼きを食いながら京大青竜会を辞めることを告げた、それは難しいなと歯切れの悪いスガ氏

吉田神社で行われた代替わりの儀の意味をたこ焼きを突きながら教えてくれた、メンタルに効くとんでもない罰を与えられると教えてくれた

実際に辞めようとしていたスガ氏の同期は3日で諦めて京大青竜会に帰ってきたそうだ、ただ無いわけではない確かと言いながらホルモーの覚え書きを見て17条という条文がありこれなら君の願いが叶うかもお勧めはしないが

スガ氏からは残って欲しいとの思いを伝えられたが決意は堅かった

その条文には前半戦終了までに発議することと書かれていた、次の龍大戦が前半の最終戦なので余裕はない

チョンマゲを結ってない高村が目の前に座っていた、京大青竜会を辞めるためには高村のチカラが必要なのでだが本音を隠しながらの会話ではやはり見透かされ納得させるには至れない

高村の下宿先にある有難いお言葉を目にし心を入れ替えて高村に全てを話した、京大青竜会の新歓コンパで早良京子の鼻に恋をしたことから始まる俺物語を

そして発議をするための票集めの計画をデコ突き合わせて話し合った

ある日の喫茶店

発議の要件に必要な賛同を得るために高村と待っていたが案の定久石譲で誰も来ない時間が過ぎても、そんな時に入口の鈴が鳴り入ってきた客を見て驚いた

三好兄弟だ、まるで見分けのつかない一卵性で声を聞いても全くわからない

なんでも電話で説得され翻意してここに来たと教えてくれた、驚いて高村の方を見たがはぁ?みたいな顔をしたプレデターだった

誰や

そろそろくるんじゃないかって言葉を三好どっちかが言ってるとまた鈴が鳴りまた1人誰かが店に入ってきた、京大青竜会のいや京都市の京都府のアイドル楠木さんだった

正直抱かれてもいいと思ったのは若気の至りだとしてもこの驚きを表現する言葉が見つからなかった、すぐにスガ氏に電話をし発議の要件をクリアーしたことを伝えた

新しい名前を考えておくようにと言われビリー・ホリデーを聴きながら出した名前は京大青竜会ブルース


その6 鴨川十七条ホルモー




集会に場所は新歓コンパが行われた居酒屋、そこに総勢40名のホルモーメンバーが一堂に会した

そこで17条が発議され決定した40名で4チームだったものが5名8チームになった、他の大学の面々はそれを望まない言わば京大青竜会のわがままに付き合わされる形となり怒り浸透で雰囲気は最悪

帰ろうぜってところをスガ氏に引き留められ、そこでこの居酒屋の店長に引き合わされ奇妙な言葉を受け取った後下宿先に帰った

その言葉の意味をすぐ知ることとなった

1年前と同じく河原でベンチに横になっていると聴き慣れない悲鳴みたいなものを聞き、飛び起きそちらを眺めてみると黒い炎が火柱を上げてるような光景が目に飛び込んできた

不気味な鬼の一団だった

翌日居酒屋の店長に会いに行った、思ったより早かったと言う言葉と共に店長は自身の経験を語ってくれた

この悪夢は17条に賛同した全員が見ることになる、しかしホルモーに勝つことができれば悪夢から解放されるとも

すぐに喫茶店にメンバーを呼び詫びたが既に時お寿司でみんな遭遇していた、数日後スガ氏から鴨川十七条ホルモーのトーナメントの組み合わせが決まったと伝えられた

初戦を控えた2日前に雨風の激しい中をチャリで進んでいた高村は盛大にマンホールでスリップし大怪我をしてしまった、こーゆう状況ではドンマイ以外の言葉を人類は知らない

ここで楠木さんについて話そう

イタリアンでウェイトレスのバイトをしていて数学の解を求めるためだけに2台のPCを24時間稼働させていることを知った

それでお腹いっぱいだ

そして骨折の高村を補給に回して前線に楠木さんをとの提案は骨の折れる作業になるかと思ったが案外あっさり受け入れてくれた

ますますもってわからなくなってきた

午後2:40

吉田神社から出発した、決闘の場は下鴨神社糺の森(たたずのもり)だった

午後3:00

糺の森ホルモーが始まった

楠木さんには後方で控えてもらったので前線は3枚ということで若干不利になるのはわかっていた、ジリ貧んで少しずつ押されていき綻びを突破され楠木さん目掛けて敵の攻撃が大木凡人似の楠木さん目掛けて

ズドンと一閃

琉球空手を習っていたボンちゃんからしたら勉強しかできない大学生などゴミクズでしかなかった、ボンちゃんこと楠木さんはそこから的確な指示を出し見事に京大青竜会ブルースを勝利に導いた

名将ハンニバルの包囲殲滅戦にも引けを取らないほどの殲滅戦だった

そして快進撃は続き次のホルモーでも勝負し遂に決勝戦へと駒を進めた、もちろん対戦相手は元チームメイトの京大青竜会神撰組である

我が京大青竜会ブルースにとっての一大決戦を前にみんな呑気だった、早良京子との対戦は決別を決めたとはいえいいものではない

その帰り際に決戦の場所を決める会議の代走で行ってくれと高村に頼んだ、スガ氏がセッティングしたが相手方は芦屋が来るので行きたくないという子供でも言わなそうな弱音を吐いた

高村は気持ちを汲んでくれ喫茶店に出向いた結果はメールでと言ったが下宿先に来た、そしてそこで何があったのかを話した

早良京子は屑である

鼻梁のラインが綺麗なだけの阿婆擦れだったのだ、それでも捨てがたいのが鼻梁ってものである

決戦の場は吉田キャンパス内の吉田グラウンド、ボンちゃんが下見したいというので着いてきた

そこでボンちゃんがなぜチームを割ってまで賛同し京大青竜会ブルースに来たのかを聞いた、我ながらどうしようもない男だとこの時ほど痛感したことはなかった

ボンちゃんも同じ道を辿っていたのだ

楠木さんにどう謝れば…少しだけ時間を戻してる鬼語はないのか

ピッチャーマウンドで雨に打たれながら自らの小便臭さに呆れ果てていると、そこにボンちゃんが戻ってきて散々罵って横っ面を引っ叩いた

その前にどこからともなく迷い込んだ犬におしっこをかけられた

台風一過、一点の曇りもない天気が決戦へ向かう気持ちを表してるようだった

決戦延へ赴きいざ尋常に勝負の前に軽い作戦会議をした時にボンちゃん今日はめっちゃ近視事件が勃発、京大青竜会ブルースは楠木さんの頭脳に全振りしていた側面がありコンタクトをつけているとばっかり思っていた

不穏である、実に不穏である

そんな京大青竜会ブルースをよそに最終決戦の吉田ホルモーが開始された

吉田の呂布と言われた芦屋が攻めこない、その理由は楠木さんだった

今や吉田の諸葛孔明と言われるまでになったボンちゃんがいるので迂闊に攻撃できないのであった、しかしそれもそう長くは続かなかった10分過ぎた頃に芦屋は突撃を開始してきた

凄まじい暴風雨の如き攻撃だった鬼たちが臨終の声の大合唱と共に天に召されていった、なんとか誤魔化し誤魔化し受け流していたがそんなものではジリ貧にしかならない

すぐ次の瞬間にホルモーが待っているにである、薄々感じていたダメかもしれないという気持ちを素直に楠木さんに告げた

仕方がないか

どうやら滑って転んでメガネを破損してしまったらしい、ボンちゃんとは言えうら若きレディなのである恥ずかしくて掛けられなかったそうだ

だが京大青竜会ブルースのピンチとなってしまってはそんなこと言ってられませんとばかりに眼鏡をかけたボンちゃんの目の奥がギロリと光った

神の降臨であった

ある出来事を目撃したことがこの作戦を遂行するヒントになった、見事に脳筋芦屋を葬り去ることに成功した孔明

猪突だけで勝てるのは高校生までだと言わんばかりだった

そしてうんたらかんたらあって芦屋は遂に叫んだのだ

ホルモーと

それから京大青竜会ブルースの面々が三条河原に集まり朝まで一緒にいて解散した

もう悪夢にうなされることもなくなったのである

めでたしめでたし



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