努力って報われないな
これは、北京五輪を終えた際の、
フィギュアスケート、羽生結弦選手の言葉だ。
私は、この言葉が、よく分かる。
努力が報われなかった経験があるからだ。
8歳で、学芸員になると決め、
K短期大学史学科に進めば、
学芸員の資格が取れると知ってから、
中学、高校と、
あらゆることに気をつけて、
学生生活を送った。
推薦を取るためだ。
なるべく休まない、爪は常に短く、宿題は期限までに、その際、字は丁寧に、部活動に励む、等、とにかく出来る努力をしていた。
中学生の時は、それが実って、推薦で高校に進学した。
しかし、高校生の時は違った。
3年の時の、個人面談で、
担任の先生から提示されたのは、
史学科ではなく、国文学科だった。
「○○は、文章を書くのが上手いし、この科が合っていると思う」
と、担任は言ったが、
学力不足なのは明らかだった。
何故なら、史学科の推薦は、
仲良しのOさんだと聞いたからだ。
校内のテスト、Oさんは、いつもトップ10に入っているのに対し、
私は、15〜20位だった。
私は「両親と相談します」と言って、学校から帰った。
自宅に着いて、自室に入った途端、泣き崩れた。
学芸員になる、という10年間の思い。
そのためにしてきた、6年の努力。
それを、全否定された気がした。
その夜、私は、一般入試で史学科を受けたい、と、両親に言った。
しかし、学力不足から、推薦が取れなかったのだから、
リスクは高い。
結局、両親に説得される形で、
国文学科の推薦を受けることになった。
しかし、私とOさんが、仲良しだと知っていて、こういう判断を下した担任を、
少し恨んだのも事実だ。
だが、それは逆恨みというもの。
全ては、自分の学力不足が招いたことだ。
努力って、報われないな。
その時の私は、この気持ちで一杯だった。
だから、ジャンプで4回転半、という、誰もやったことのない技を、習得するために、
道なき道を歩いて、それでも本番で転倒してしまった、
羽生選手の気持ち、
思わず出た言葉の意味が、
良く分かる。
努力は必ず報われる、とか、
努力は裏切らない、とか言う人は、
その逆の経験を、したことがないので、
そんなことが言えるのだ。
努力は、必ずしも報われるとは限らない。
でも、報われることも、あるかもね。
私は、そう言うようにしている。
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