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『栗山ノート2』を読んで。

この本は、野球日本代表前監督の、
栗山英樹さんの著書、『栗山ノート』の
続編にあたる。

WBCで、日本が優勝するまでを、
監督目線で綴った本だ。

初めは、とっつきにくいな、と思った。

栗山さんが、普段から読んでいる、
古今東西の本の格言が、
数多く書かれ、
栗山さんの解釈が載っているのだが、

特に、中国の歴史書は、難しい。

しかし、読み進めているうちに、
栗山さんが、その格言を胸に、
謙虚に、しかし強い心で、
この大会に臨んだのだと分かる。

栗山さんは、プロ野球選手としては、
実働7年、突出した成績を残せなかった。

北海道日本ハムファイターズの監督を、
10年務め、日本一を経験したが、
最後の3年間は、Bクラスに終わった。

栗山さんも書いている通り、
『なぜ、自分が代表監督に選ばれたのか』
という気持ちになったそうだ。

スポーツジャーナリストとして、
長く野球と関わってきたが、
外側と内側は違う。

恐らく、ファイターズで共に戦った、
大谷翔平選手を、スムーズに招聘するため、
ではないか。

メジャーリーガーの参加は、
絶対に必要だ。

選出した、メジャーリーガーと
直接会って、出場を打診した。

全員が頷いてくれた時は、
ホッとしたと綴っている。

そして、始まった、宮崎キャンプ。

そこには、ダルビッシュ有選手の
姿があった。

日本の若手のピッチャーと、密に
話し合いをし、
また、10歳も年下の選手に、
投げ方を教わるなど、積極的に
コミュニケーションをとった。

日本は、投手で勝つ。

そう決めていた栗山さんは、
本来なら、アメリカで、自分の
調整を行ってもいいのに(他のメジャーリーガーはそうしている)、
最初の合宿から日本まで来て、
投手達をまとめるダルビッシュ選手に、
感動したという。

試合中の、栗山さんの心情を
書いてある場面では、
常に冷静で、一手も二手も先を読む、
コーチ陣とも話し合い、最善を尽くす、
という姿勢が見える。

試合中も、古今東西の格言を
思い浮かべながら、
非情と言われても、最善の一手を打つ、
その覚悟が見てとれる。

大会期間中、
守備の要の、源田選手の負傷があった。

監督としては、試合に出て欲しい。
もし、自分が源田選手の父親なら、止める。

その狭間に揺れた時、源田選手の

「ジャパンに選ばれても、試合にほとんど出たことがない。今回は試合に出られるし、チームに貢献出来る。世界一になりたい」

という、涙の訴えに、栗山さんは、
源田選手をチームに残す、という選択をする。

これが、後に実を結ぶことになる。

決勝戦の場面では、栗山さんの感情が、
ストレートに書かれている。

野球の本場、アメリカで、アメリカを倒し、
世界一になる。

それが、栗山さんに課された使命。

その様子は、是非とも、本書を手に取り、
ご自身で読んで頂きたい。

謙虚で、誠実な、栗山さんに、
野球の神様は、微笑んだ。

その理由が分かるはずだ。

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