あの日の忘れ物
LINEの通知を見て、一瞬呼吸が止まった。
この日彼は部屋に忘れ物をして帰った。
すぐ取りに来ると思っていたそれは、
まだ私の部屋にある。
捨てられないまま時間だけが過ぎた。
LINEも消していた。
私の事を好きだという彼に
好きになるはずがないと言ったら
「俺はずっと言ってたはずです」
うん、言ってた。覚えてるよ。
でもそんなの本気にするわけないじゃない。
大人を揶揄うなと感情的になった私に、
「俺ももう大人」
いつのまにそんなこと言うようになったの。
あの日の忘れ物の続きはないと思っていたのに、
ついまた会いたいと思ってしまうんだから
本当にバカな大人だな、私は。
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