通知

昨晩も寝たのは遅かったのに、早朝目が覚める。

あぁ、、眠ってから４時間しか経っていない。

まだこんな時間。

でも、そろそろスマホに通知が来る。

、、、、、。

「◯◯camera 2021-4-28 06:14 動作を検出しました」

翔太くん、起きたみたい。

信じられないけど、この1ヶ月、自ら設置した360度見渡せるペットカメラを置いた部屋で翔太くんは生活している。

部屋の中で動きがあると私のスマホに通知が来るから、起きて仕事に行く時間、帰宅した時間、休みで家にいるか、休みだけど出かけていないか、私に全てわかる。

まるでプライベートなんかない。

もちろん私はいちいち監視するなんてことはしないし、カメラを360度動かしたりなんて事もしない。

そんなの非人道的で胸が痛む。

でも、何をしてるかなんて丸分かりだ。

デバイスを共有しているから翔太くんは翔太くんでログインすれば見れるけど、私がいる時には電源オフにしてしまう。

自分も見られるかもしれない環境になると、私には耐えられないから、よくこんなとこで生活出来るな、、といつも思う。

通知によると、翔太くんの生活は思っていたより堅実で、想像以上に激務だという事だ。

休みの日は1日家にいたりする。

もうすぐこの通知で彼の気配をイヤでも感じてしまう生活も終わる。

〝あのさ、この部屋そんなに居心地良いの？″

「うん、aoiさんの部屋落ち着く」

と言って笑った翔太くんを、もう来た当初から　
出て行ってくれるように説得していた。

その度に悲しい顔をする。

それに絆されて来てしまった。

再会するまでは表面上しか知らなかった翔太くんの性格、

それは思っていたよりも重たく、しつこいという事（涙）

しつこいのは私も一緒なのだけど質が違う。

私は全てにおいてせっかちで集中力がないので、嫉妬も執着する事もすぐに飽きてしまう。

けど、翔太くんは違うのだ。

だから私が強く出て行ってと言わなければ、きっとずっといる気だったと思う。

今思うのは、こんな風にプライベートもない、いつ旦那バレするかもわからないリスクと隣り合わせの人妻の部屋で生活する事に、彼にとって何のメリットがあったんだろうって事。

「◯◯camera 2021-4-30 ◯:◯◯ 動作を検出しました」

最後の通知が届くであろう日まで、あと2日。