閲覧注意:でかいハチみたいなやつ
朝方からの雨も上がり、観光案内所に客足が戻りつつあったその時……
「愛零さん、ハチ!」
どうも、今現在ハニーレモンサワーを痛飲している私です。
5、6人のお客さんが入っていた観光案内所で、同僚の緊迫した声が飛びます。いっせいに宙を向く目、そして目。次いでハチだ!大きい!スズメバチ?!と飛び交う声、また声。この頃になると虫が入ってきた場合にはこの酎 愛零に対処させるのが暗黙の了解になってきています。
ええ、奥の方にいて出入り口の方を向いていた私、そいつが入ってくるところ、見てました。
殺虫剤の用意……しません。
虫取り網があればじゅうぶん。
ハチの力強いホバリングとはほど遠い、フラフラと頼りない飛びかた。
獲物を抱えるのにも、花粉をくっつけるのにも不向きな細長い脚。
ハチの頭とは明らかに比率が違う、小さな頭。
配色だけはハチを思わせる派手な黄色と黒のそいつは……
■ホリカワクシヒゲガガンボ
閲覧注意!昆虫の画像が出てきます!!
閲覧注意!昆虫の画像が出てきます!!
画像は昆虫エクスプローラより引用
ホリカワクシヒゲガガンボはハチに擬態する昆虫のひとつで、ガガンボの1種。脚も胴体も蚊を数倍に引き伸ばしたような防御力極低のかよわいガガンボと比べるといくぶんたくましく、翅もしっかりしているように見えます。
しかし、そこはガガンボ。他の昆虫を襲ったりはしませんし、まして人間から吸血することもありません。大型のハチに擬態するのは、天敵の鳥などから身を守るためです。お尻の先に針のようなものが見えますが、それすらも擬態なのです。
前に見たことがあるので、調べて知っていました!無害な弱い昆虫なので、網でつかまえて外に逃してあげましょう。
と思ったら
バシッ!!!
と音がして、ガガンボ、床に叩きつけられてしまいました……
同僚の、私と同年代のお姉さんが、テニスのスマッシュよろしく清掃用のほうきを一閃、ガガンボを撃墜したのです。バッ……ちょっ……、それほんとにスズメバチとかだったらどーすんの!はずした時のこと考えてる?!『どう?殺った?』とか私に訊いてくるんじゃあない!
かわいそうに、脚が1本取れてしまい、翅も片方が折れてしまいました。まだ生きてはいますが、文字通り虫の息……
つぶされてゴミ箱行きになるよりは、と、手に乗せて外に行き、土のあるところに横たえてあげました。
ごめんね、私が先に動いて助けてあげればよかった。もしくは『ハチじゃないッ!まかせて!』とでも叫んであいつ(スマッシュくらわしたやつ)をけん制しておけばよかったね。せめて君の姿をみんなに見せて、同じ悲劇を繰り返さないようにするね。みんなが虫の画像見てくれるかどうかわからないけど。
☆ ☆ ☆
とりあえずスタッフとその場にいたお客さんにはハチじゃなかったことを伝え、虫の襲来はケースクローズ。他のみんなにとっては恐怖の襲来、私にとってはちょっと悲しいできごとでした。
……でもやっぱり、大型のハチっぽい虫を、しかもお客さんのいるところで問答無用で叩き落とそうとするのはどうかと思うけどなぁ……
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、ごきげんよう。
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