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寄付って難しい。〜EAST LOOP ウクライナ支援寄付つき商品によせて〜

先日やっとEAST LOOPウクライナ支援寄付つき商品をリリースしました。
おかげさまで、たくさんの方に関心を持っていただき、すでに支援や応援をいただいています。本当にありがとうございます。

実は、このプロジェクトを始めるにあたっては、いろいろと悩みました。


寄付付き商品を販売したことがなかったので、EAST LOOPの商品に寄付をつけてもよいのだろうか。という葛藤でした。
一番迷ったのは『寄付先』についてでした。寄付という行為は比較的誰もが参加できますが、寄付先にどこを選ぶのかという観点からみると、とても難しく、時には正解がないような気がします。

今回のEAST LOOP ウクライナ支援寄付プロジェクトは集まったお金を、モルドバ共和国に届けることに決めました。
特に知り合いがいるとか・・・ではないのですが、
そこに決めた経緯について、迷いも含めて皆さんにお伝え出来たらと思いnoteを書いています。


まず、この戦時下において、「100%正しい」という唯一の答えを導き出すことは不可能ということが大前提となります。なぜなら、現地に行って緻密なマーケティング調査をすることなど誰にもできないし、状況は刻一刻と変わっていくからです。
それならば、私たちが届けたい人、届けたい環境に最も近いところをと検討した結果、モルドバ共和国に直接届けることにしました。


最初に候補に挙がったのは、ウクライナの大使館でした。現在戦禍に有り、最も厳しい環境です。しかし、国内も行政も混乱しており、寄付がどのように使用されるかは、私たちには選択権がありません。

寄付は人道支援に使いますと掲げられていますが、お金に印がついているわけではないので、皆さんから預かったお金が、まわりまわって武器や弾薬に使用される可能性もあるかもしれません。

「武器を購入するための寄付なんかしたくない」
といわれる方も多いとおもいますし、平時では、それはまっとうな考えだと思います。
しかし、目の前で殺戮が繰り返されているさ中、自らも武器をもって攻撃しなければ身を守ることができない、あるいは家族を守れないならば、彼らに一番必要なのは武器です。少なくとも現時点では致し方ないことで、それを責めることはできないと思うのです。

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そこで、私たちはEAST LOOPらしい支援って、どんなことだろうと考えました。
たどり着いたのが、避難している人たちに届く支援でした。
東日本大震災によって家や家族を奪われ逃れてきた人たち。先の見えない不安と悲しさが交錯する日々。終の棲家を失い、行き先すらわからない。
きっとウクライナから逃れてきた人たちも同じ不安と悲しさを抱えているに違いないと、それならば隣国に逃れた人たちを支援していこうと決めました。

そこで選んだのは、モルドバ共和国でした。

NHKのインタビュー記事によると、ヨーロッパ最貧国と呼ばれるモルドバ共和国に国境を越えてきた避難民の数は3月24日の時点で37万3538人、国の人口の実に14%を超えているそうです。
通過してさらに別の国に向かう人もいますが10万人近い9万7070人がとどまり、その半数近くの約4万8000人は子どもだそうです。
14%ってすごくないですか?わずか20日あまりに。知らない人たちが一気に押し寄せる。それを最貧国といわれる国が支えようとしている。どれほど大変なことなのか、想像もつきません。


モルドバ共和国といわれても、すぐにイメージができる人は少ないのではと思います。恥ずかしながら、私も知りませんでした。

ポーランド国境に避難してきた人たちについては、様々なメディアが取り上げ、現地から報道していますが、モルドバ共和国となるとあまり情報もありません。



話を、EAST LOOPが生まれた東日本大震災の時に戻します。
EAST LOOPのプロジェクトの進めるにあたって、北は岩手県の宮古から南は宮城県の名取市あたりまで、様々な被災地を訪問しました。
その時に感じたのは『被災地格差』でした。

どの地域も同じように甚大な被害にあっているのに、テレビに映るところ、あるいは東京から交通アクセスのよいところ、そこには支援が集まり、物資やボランティアが集中していました。時には過剰に集まりすぎて、問題になっていたぐらいです。

特に石巻は、東京からもアクセスしやすいということで、著名な芸能人が訪問し連日チャリティイベントが開催されていました。

しかし、北に行けば行くほど支援物資も足りずあるいは届かず、ましてやチャリティイベントなどほとんどなかったように記憶しています。
報道がされて情報が多くの人に届いている被災地には支援が集まるけれど、それ以外のところには支援が届きにくいことを目の当たりにしました。


また、私は国際NGOオックスファムジャパンで2003~2011年まで理事をしていました。
オックスファムは貧困の撲滅をミッションにし、緊急救援もおこなう世界的なネットワークを持つNGOです。

そこでの学びの一つに、現地のことは現地に任せるというものがありました。現地の人にしかわからない習慣・風習・しきたりなど、そのローカルルールを守りながら取り組むことが、支援を届けるための最も効果的な方法の一つだと。

紛争や災害の現地に入っても、しっかりとしたネットワークがなければ、物資の調達すら困難であると。

そりゃそうですよね。もともと物資が足りないところに行っているわけなので、何かの支援をしようとしても、事前の調査や調整がかなりしっかりとできてないと効果的な支援にはつながりにくいのです。

なので、世界的なNGOの支援活動も、自分たちの限られたリソースを最大限に活かすために、必然的に自分たちのネットワークがあるところ、ロジの良いところ、多くの避難民がいる場所に限られてしまいます。

このような背景から、モルドバ共和国のような非EU諸国に支援に入ることは、ハードルが高く優先順位は下がってしまうのではと、想像しました。(優先順位が下がるというより、そこまで手が回らないという表現の方が正しいと思います)


支援の届かないところ、届きにくいところにたまたま逃れてきた人たちを支援したい。
だからこそ、モルドバ共和国に支援しようと決めたのです。


東日本大震災の時にモルドバ共和国は自らの厳しい経済環境にも関わず720万円の寄付をしていただいていたことを、最近知りました。
そうしたことも、EAST LOOPとのご縁を強く感じ後押しとなりました。


では、透明性はどうなのか
武器に変わる可能性はないのか

残念ながら現地に足を運んで確認することはできませんが、いろいろ考えているよりも、今祖国を追われて縁もゆかりもない場所に逃げなければいけない人を支援することが必要だと判断しプロジェクトを立ち上げました。

そして、同じ避難民であっても、あえて支援が届きにくい場所に届けること。
それが、私たちがモルドバ共和国に寄付することを決めた理由です。


ちょうどスタートさせるタイミング(3月26日)に、NHKがモルドバ共和国のドゥミトル・ソコラン特命全権大使のインタビュー記事がアップしていました。

「近所の人が困っている時には、助けるしかないのです。豊かでなくても、私たちはできることをしたい
経済の厳しさは受け入れない理由にならない
この言葉にさらに強く胸を打たれました。


実際に寄付するのは皆様からのお金を集めたあととなりますが、現在大使館とコンタクトを取れるように進めています。
しかし、小国故大使館には、大使とスタッフの方しかいらっしゃらない様子。
私たちのような小さな取り組みに時間を無駄に割くことを無理強いしてはいけないと、焦らず先方とうまくタイミングが合えば、ご挨拶に伺おうと思っています。

この辺りは、動きがありましたら、こちらのnoteでも報告してきますね。

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長文となりましたが、寄付は本当に難しいです。

正解があるわけではないですが、結局自分たちのお金を、どんな人にどんな風に使ってもらえるのかとイメージして、そこに近い場所にお届けすることしかできません。

寄付には様々な選択肢がありますが、そんな中、私たちの考えに共感いただけたら、支援及びシェアしていただけたら幸いです。



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