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140文字から掻き立てられる想像【すべての恋が終わるとしても】冬野夜空著

普段こういう本は買わないんだけど、
目についてしまって手に取りました。

140文字とあって、Twitterに投稿できる文字数で書かれていることに気づきました。
携帯小説の令和版かと思ったくらいです。

あとがきで「140文字ぴったりにするのは難しかった」と著者が苦労を語っていました。

Twitterは短い文章で投稿できるので手軽ですが、
言いたいことを盛り込もうとすると難しくなります。無駄な文章を入れるわけにはいきません。

140文字と短い文章だからこそ、
却って想像を掻き立てられました。

私の心に引っかかった物語3選を紹介します。


・無責任な優しさ

この物語の主人公はいろんな人から言い寄られていました。
ある男の人が「誰にでも優しいんだなんて無責任だ」と話します。

今までそんな人はいなかったので、
主人公は心惹かれます。
「みんなが離れていったら彼に責任取ってもらおうかな」と匂わせていました。

この物語を見て、「誰にでもいい顔をしても幸せになれるかは別」と考えさせられました。
誰にでもいい顔すると、誰からも「どうでもいい」と思われることに気づきました。

・終わりの瞬間

「もう彼の中に私はいない」
そうなると、付き合ってる意味がありません。

別れを告げたところなのに、その瞬間だけは私を必要とくれてた頃の表情で泣いていたという話です。

もう一緒にいられないと分かっているのに、
そんな顔をされたら、決心がゆらぎそうだと感じました。

別れの苦しみが伝わってきました。

・虹の宝物

唯一こちらの作品だけ長編でした。
あるきっかけから出会った男女。
女性の方が重い病気で手術をして
一年もつか持たないかという状態です。

長くは一緒にいられないことは分かっているけど、それでも彼女に寄り添った彼。
最終的には予定の半年も早く亡くなってしまいました。

命の期限が見えている人と付き合うのはどういうことなのか考えさせられました。

雨の日だけ会いに来る、虹が見たいなど
天気の描写が目立ちました。

・感想

「若者向けの小説?」
表紙を見た時、そういう印象を受けました。

高校生の時、携帯小説が流行りました。
それが今は、SNSの時代と感じました。

小説に登場するのは、一部を除いて10代から20代前半までの人たちばかりです。
どこか懐かしさを感じました。

この本を読んで改めて感じたのは、
10代の頃に恋愛をしてよかったと思います。

今35歳ですが、今から10代の頃の気持ちで恋愛はできないと実感してます。
もし過去の私にアドバイスをするなら、
失恋も含めて「経験できるならしよう」と言うでしょう。

樺沢先生が恋愛相談に対して
「告白しましょう」と一貫してアドバイス。
時々YouTubeでも恋愛の話が出ますが、
「後悔しないのが一番」とメッセージが伝わります。

今の10代が読めばリアルに感じ、
元若者の大人が読めば懐かしい気持ちに浸れる小説でした。

以上、ちえでした。
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