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【楽園の拡散vs鳥貴族】-Utopia vs Birds & Hierarch-【モダン】ヘリオッドカンパニー

お久しぶりです。ランチョーです。

しばらく筆を止めていたところ、尊敬するゆかりザギャザリングのpipo様に紹介して頂き、多くのプレイヤーに読んでいただくことが出来ました。

(pipo様ありがとうございます。)

※細かい計算ミスがあった部分については、修正予定です。

はじめに

以前投稿した、【思案と確率】の話について、読んでいただき、フォローして頂いた方もいると思いますので、今回は、最近プレイしているモダンから、《楽園の拡散》と《極楽鳥》について書いてみようと思います。

マナクリの教科書のコラム的な感覚で読んでいただければと思います。

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2週間ほど前に、MOでモダンのヘリオッドカンパニーを組み、そこからほぼ毎日遊んでいるのですが、意外と調子がよく、5-0を2回達成し、10月29日現在、構築のレーティングは1821になりました。(この部分は内容と関係ありませんが、一応こういうのを載せたほうが興味をもってもらえるかと思い書きました)

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ドルイドコンボとの複合型にしたりと、いろいろなタイプを試しながら遊んでいるのですが、その中で、1マナのマナ加速のパッケージについて、どちらが優れているのか考えるタイミングがありました。

カンパニーデッキの1マナと言えば、以前(聖遺の騎士が入っていた頃)は《極楽鳥》+《貴族の教主》の組み合わせ(俗に言う鳥貴族コンビ)が使われていましたが、最近のカンパニーデッキは、《聖遺の騎士》が入らないケースが多く、一度置いた《森》が戦場に維持されるため、《楽園の拡散》+《東屋のエルフ》のパッケージが主流になっています。

この2つのパッケージについて、数字の面から比較をしてみようと思います。

お付き合い下さい。


①【マナ増加量の期待値】

ここでは、1枚のカードあたりが増やすことの出来るマナの量で比較します。

A まずは、《極楽鳥》+《貴族の教主》について、

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こちらは計算するまでもありませんが、1枚あたりに期待できるマナの増加量は1マナです。

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1マナ/枚

B 次に、《楽園の拡散》+《東屋のエルフ》のパッケージ。
森1枚に《楽園の拡散》を全てつけた場合の、カード1枚あたりのマナ増加量は、以下の表の通り。

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2マナ/枚


※ここでは、以下の式で、引いた《楽園の拡散》を全て同一の森にエンチャントした場合で計算しています。(実際には幽霊街等のケアで分散すると思いますが、計算がややこしくなるため)

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《楽園の拡散》= u
《東屋のエルフ》=a
マナ増加量=addM とすると、

addM=(1+u)×(1+a)-1
          =au+a+u


(1+u)...1回森をタップする際に出るマナ数
(1+a)...《楽園の拡散》が付いている森を起動できる回数
-1...本来1枚の森が生み出すマナ


数字だけ見ると、期待できるマナの増加量には倍の差がつきました。

上記のaddMを見ると、《楽園の拡散》パッケージでは、単純に引いた枚数の和 a+u に加え、引いた枚数の積の項 au があります。

一方、鳥貴族パッケージは単純に引いた枚数の和がマナの増加量になるので、マナ増加量の差は、この引いた枚数の積の項 au の差になります。

全てのケースを考えると、期待値には倍の差がありますが、モダンのゲームレンジは8枚全て引き切るほど長くなるケースはほとんど無く、そこまでゲームが長引いた場合、不要牌であったり余剰なマナ加速となってしまう場合があるため、実際のゲームでは、ここまで差はつかないと思います。

上記は、全てのゲームで、1マナ加速を1枚も引かなかった場合と、8枚引いたゲームが同じ確率で起こる前提で単純計算したものであることを理解する必要があります。

また、先述の通り、この2パッケージのマナ増加期待値の差は、いた枚数の積の項 au に依存するため、例えば《東屋のエルフ》のみ複数枚引いた場合などは、uが0になるため、増加量に差は出ません。

しかしながら、《楽園の拡散》パッケージに爆発力があることは間違いなく、複数枚引いた場合、1枚あたりに期待できるマナ加速量は1以上です。


②【(白)(白)を捻出する】

昨今のカンパニーデッキで、必要不可欠になっているカードのプレイを考えるのであれば、《イーオスのレインジャー長》を忘れてはいけません。

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《太陽冠のヘリオッド》《歩行バリスタ》パッケージが入っているデッキでは、ほぼ投入されており、サーチのみならず、コンボを決めに行く際にも自身をサクリファイスすることで、妨害を許しません。

他にも、環境的要因から、(白)(白)を必要とするカードが投入されることも少なくなく、(白)(白)の捻出への貢献度も1マナのマナ加速カードを評価する指標となります。

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ここでは、マリガン無しで先手1ターン目にマナ加速をプレイした場合、2ターン目に(白)(白)を捻出できるかどうかで比較をしてみます。

確率で比較すると、フェッチランドの起動によるデッキ枚数の変動や、場合分けの分岐が非常が多くなり、わかりにくくなってしまうので、(白)(白)を捻出できるパターンの紹介にとどめます。(特に東屋のエルフの場合分けが多く、都度計算するよりは紹介に留めたほうがよいと判断しました)

今回比較に用いるマナベースのサンプルリストについては、晴れる屋様のサイトより、お借りしました。

A まずは、《極楽鳥》+《貴族の教主》について
サンプルのマナベースはこちら

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基本森カウント...3
(白)カウント...17
デュアルランドカウント...16

1⃣《森》設置→《極楽鳥》or《貴族の教主》
 2ターン目(初手含め8枚以内)に白マナカウントをドローできればよい。

2⃣デュアルランド→《極楽鳥》or《貴族の教主》
 (白)(白)の捻出のみであれば1ターン目で完結。

鳥貴族パッケージの場合分けは、この2つのみです。


B 次に、《楽園の拡散》+《東屋のエルフ》のパッケージ。
サンプルのマナベースはこちら
※ヘリオッドカンパニーのリストを多く輩出している、Nakamura Kenta氏のリストです。

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基本森カウント...5
ペンテルヘイヴン...1
(白)カウント...14
森タイプを含まないデュアルランドカウント...3
森タイプを含むデュアルランドカウント...9

1⃣《森》→《楽園の拡散》(白)
 2ターン目(初手含め8枚以内)に白マナカウントをドローできればよい。

2⃣森タイプを含むデュアルランド→《楽園の拡散》(白)
 (白)(白)の捻出のみであれば1ターン目で完結。

3⃣《森》→《東屋のエルフ》
 2ターン目(初手含め8枚以内)に
 ①森タイプを含むデュアルランド
 ②《森》+《楽園の拡散》or《ペンテルヘイヴン》+《楽園の拡散》
 ③《平地》+《楽園の拡散》
をドローできればよい。

4⃣森タイプを含むデュアルランド→《東屋のエルフ》
 (白)(白)の捻出のみであれば1ターン目で完結。

5⃣森タイプを含まないデュアルランド→《東屋のエルフ》
 2ターン目(初手含め8枚以内)に
 ①森タイプを含むデュアルランド
 ②《森》+《楽園の拡散》
 ③《平地》
をドローできればよい。

6⃣《ペンテルヘイヴン》→《東屋のエルフ》
 2ターン目(初手含め8枚以内)に
 ①森タイプを含むデュアルランド
 ②《森》+《楽園の拡散》
をドローできればよい。


上記の通り、《楽園の拡散》パッケージでは、(白)(白)の捻出に多くのパターンが存在し、特に《東屋のエルフ》が絡む展開では、受けにカードを2枚必要とする場合もあるため、単純に(白)(白)の捻出のみであれば、鳥貴族パッケージに軍配が上がりそうです。

また、《東屋のエルフ》のパターンの受けに、「森タイプを含むデュアルランド」が多く登場しますが、これはすなわちフェッチランドもしくはショックランドを意味し、ダメージを伴うこともポイントです。

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昨今の果敢デッキは、Φマナのカードまで採用し、速度に比重を置いているため、ショックランドの2点が勝敗に大きく関係するようになりました。また、自分のライフを減らすことで、相手の脅威を加速させてしまうケースもあります。

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③【マナ能力と、スタックを介する《東屋のエルフ》】

鳥貴族と、《東屋のエルフ》の比較にあたり、もう一つ知っておかなければならないのが、《東屋のエルフ》はマナを出すのにスタックを介するということです。

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※森をアンタップする能力はマナ能力ではないためスタックにのります。

マナを捻出する際にスタックを介するということは、たとえば《太陽冠のヘリオッド》の能力の起動で無限コンボの始動に際し、対象を除去されるタイミングを1回分多く与えてしまったり、実は無視できない指標になります。

基本的にメインで動くデッキではありますが、《集合した中隊》・《太陽冠のヘリオッド》・《漁る軟泥》・《議事会の導師》がいる際の《スパイクの飼育係》等の起動のためにマナを構えるケースも多く、マナを使う能力の起動に際し、スタックを介すると、能力を1度も起動できないまま除去されてしまうケースもあります。※それが原因で、赤黒果敢デッキに敗北しかkたこともあります。

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④【環境的要因】

おそらく最も大切な指標、環境的要因から、

とは言っても、私がモダンをプレイしているのは、ここ2週間ほどなので、ここでは鳥貴族パッケージと《楽園の拡散》パッケージの選択の参考になりそう且つ、使われたカードについて箇条書き形式で紹介します。

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《スカイスクレイブの亡霊》が入ったことにより、デス&タックスにかなり多くマッチングし、驚いています。
《レオニンの裁き人》+《幽霊街》がテンプレ化しており、《幽霊街》の存在はかなり重要。
今後、さらに増えるようであれば、鳥貴族の復権もありそう。

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赤系の果敢デッキもデス&タックスと同じように増えており、マナクリデッキには向かい風。
オーリオックのチャンピオンも、《コジレックの帰還》や、《砕骨の巨人》によって対処され、ついでにマナクリも焼かれます。《楽園の拡散》には触れないが、こちらのパッケージは先述の通りライフ消費が激しく、赤黒に至っては《スカイクレイブの災い魔》の成長を加速させてしまいやすい。

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ジェスカイコントロール・赤白コントロールにも多く当たる。
《死者の原野》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の蔓延により、(緑)(緑)(青)(青)を阻害すべく、土地を攻めてくる軸が増えた印象。
分割の土地破壊+《トロウケアの敷石》のパッケージまで入っていることもあり、《楽園の拡散》は使い切りで色変換に使うケースが増えた印象。

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基本《森》を多くとる必要性も高くなりました。

その他、地域メタ等に合わせて調整して頂ければと思います。

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【終わりに】

実は、最近は《楽園の拡散》+《貴族の教主》の組み合わせも試しており、
シナジーは薄いものの、(白)(白)の捻出・賛美によるビートダウンの補助・LavaDartによる妨害の被害軽減などの観点から、意外と悪くないかなと負っています。
2マナにも《献身のドルイド》を使っており、除去されても、マナクリを途切れなくプレイできるようにしています。

今回書ききれなかった小ネタや、使われてきつかったカードもありますが、代表的なところは大体網羅できたかなと思います。

1マナのマナ加速の選択は奥が深く、この選択に悩む時間も、モダンの魅力のひとつだと思いますし、それ以外の細かい選択についても、モダンのカードプール的にプレイアブルな選択が非常に多く、魅力を感じています。

この記事が、皆様のマジックライフの一助になれば幸いです。

ランチョー



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