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《思案/Ponder》と確率の話

こんにちは、ランチョーです。
主にMOでレガシーを遊んでいます。

※加筆修正を行いました

Noteを始めてから、海外記事の翻訳をメインで行ってきましたが、今回は、レガシーにおいて広く使われている、《思案》についての考察記事を書いてみました。

レガシーも記事を書くのも初心者ですので、至らないところもあると思いますが、よろしければ読んでみて下さい。

私はMOでレガシーの資産が【奇跡】しか無く、普段は【奇跡】しかプレイしていません。そのため、【デルバー】や【ANT】【ショーアンドテル】コンボデッキについては全く使用したことがありません。
よって知識も多くありません。

しかし、《思案》や《渦まく知識》のようなキャントリップについては、共通しているカードなので、考察をしてみようと思いました。
キャントリップの基本的な使い方については、以前翻訳記事を書いていますので、参考にして下さい。

※計算の仕方が間違っている場合は教えていただけると助かります。

それでは本編に入ります。

Chapter 1 ワンランドキープと思案

【奇跡】をプレイしていて、たまにあるのが、マリガン後に土地1枚とキャントリップ数枚でキープするパターンです。
例えば、以下のような手札

こういった手札では、私は思案を先にプレイします。


欲しいカードは54枚のデッキに19枚入っている2枚目以降の土地です。
(厳密には、この場合はフェッチランドから土地を持ってきて思案をプレイするので、土地は18枚、デッキは53枚ですが、19枚54枚で考えます。)

まず、《思案》で見ることの出来る3枚に土地が含まれていない確率は、
(54-19)/54 × (53-19)/53 × (52-19)/52
=35/54 × 34/53 ×  33/52

また、3枚で土地が発見できず、シャッフルした上でも土地が見つからず、次のドローも土地でない確率は
35/54 × 34/53 ×  33/52 × 35/52 × 35/54
= 17%
1 - 35/54 × 34/53 ×  33/52 × 35/52 × 35/54
=83%
したがって、およそ83%の確率で2枚目の土地を置くことが出来ます。

一方、《渦まく知識で》見ることができるのは、上の3枚のみなので、その3枚に土地が含まれていない確率は、
(54-19)/54 × (53-19)/53 × (52-19)/52
=35/54 × 34/53 ×  33/52

よって、2枚目の土地を見つけることが出来る確率は、
1 - 35/54 × 34/53 ×  33/52
=73.6%
73.6%と、《思案》より10%ほど低い上に、見つからなかった場合は次のドローもロックされているので、そこに賭けることも出来ません。

直感的に、《思案》のほうが見ることが出来るカードの枚数が多いので、わかり易いですが、ワンランドキープで土地を探す場合のキープ基準として、この確率の差は覚えておくと参考になると思います。

土地1枚と《渦まく知識》では1/4以上の確率で土地が止まる上に、ドローがロックされるリスクがあり心もとないですが、土地1枚と《思案》であれば、90%程度2枚目の土地が担保されているということがわかります。

キープの基準の一つとして覚えておくと良いかもしれません。

Chapter 2 キーカードを掘り当てる

次に、コンボデッキの《冥府の教示者》や《実物提示教育》のようなカードを探す際の確率について考えしょう。

序盤数ターンの間に《思案》で探す場合、デッキの枚数をおよそ50枚とすると、《思案》を1回プレイして、4枚入っているカードが見つかる確率は、
1 - (50-4)/50 × (49-4)/49 × (48-4)/48 × (50-4)/50
= 28.7%

28.7%と、およそ1/4以上の確率でキーカードを探し当てることが出来ます。

また、《思案》を2枚以上プレイした場合、4枚入っているカードが見つかる確率は、
1 - (1 - 0.287) × (1 - 0.287)
=50.8%

およそ1/2の確率でキーカードを探り当てることが出来ます。

《渦まく知識》や《定業》よりキーカードを探す能力に秀でています。

この確率の考え方は、サイドボードに取る対策カードの枚数にも応用できます。
例えば、相手のデッキに対してクリティカルなサイドボード(《安らなる眠り》等の)を2枚とっていた場合、序盤数ターンのうちに《思案》をプレイして探すことができる確率は、
1 - (50-2)/50 × (49-2)/49 × (48-2)/48 × (50-2)/50
= 15.3%

15%程度と、あまり高くはありませんが、ロンドンマリガンや、他のドロースペルと合わせて探せることを考えると、《思案》の働き十分なものでしょう。

ロングゲームを見込める対戦相手に対して1枚のクリティカルなカード(例えば【奇跡】に対して《目覚めた猛火、チャンドラ》を採用する場合)を探す場合を考えましょう。


中盤~終盤、フェッチランドや、ドロースペルでデッキの枚数が30枚程度になっていたとすると、《思案》をプレイして1枚のカードを見つけることが出来る確率は、
1 - (30-1)/30 × (29-1)/29 × (28-1)/28 × (30-1)/30
= 13%

2枚以上《思案》をプレイ可能な場合、
1 - (1 - 0.13) × (1 - 0.13)
=25%

およそ1/4の確率でクリティカルなカードを見つけることが出来ます。
特にサイドボード後のゲームでは、《思案》は中盤~終盤のゲームにおいて重要なカードとなります。《悪魔の教示者》のように、明確に欲しいカードを探すために使うのがベストです。

Chapter 3 未来を変える力

以前、紹介した記事でも紹介されている通り、ドロースペルとシャッフル効果のあるカード(主にフェッチランド)との組み合わせは強力です。

《渦まく知識》は優秀なキャントリップですが、シャッフルの手段が無ければ、デッキトップを固定されてしまうので、未来に引くはずだったカードを再びドローすることになります。
ドローするはずだった3ターン分の未来を前借りし、その後2ターンの未来を固定することになります。
アドバンテージだけ見たら、1:1交換ですが、不要牌を有効牌に変えることが出来ます。その後、不要牌をドローすることになるとはいえ、シャッフル手段のない《渦まく知識》も十分強力です。

一方、《思案》には、引く予定だった未来を変える力があります。

3ターン先まで引く予定だった不要牌を別の可能性に変える力があります。

そのゲームの中で、その場面で、デッキに潜むカードにはそれぞれ有効に機能するかどうか、相対的に点数がつけられます。
デッキに眠るカードをある程度把握したうえで、見た3枚の点数がどのようなものか、シャッフルした際の期待値がどうなるかを感覚的に把握することで、《思案》の効果は飛躍的に上昇します。

Chapter 2 にもありますが、手札がさみしいからという理由でプレイするよりも、デッキに眠るカードを考え、どういったカードが欲しいかをイメージできてからプレイするのが良いと思います。
そのためには、ゲームがどういう状況にあるかを把握する能力が必要です。

おわりに

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
特に大会で勝った実績があるわけではありませんが、偉そうに書かせて頂きました。


デッキに入っているカードの枚数と、《思案》でドローできる確率をまとめた表を作成中ですので、元気があったら追記しようと思います。

今回の記事は、他のドロースペルとの複雑な組み合わせを無視し、《思案》単体の確率を考えたものですが、実際には他のスペルやマリガンとの組み合わせで更に複雑になります。
《思案》ひとつとってもこれだけ考えることが出来るのは、レガシーの魅力のひとつだと思います。

皆様のレガシーライフが素晴らしいものになるよう、一助となれば幸いです。

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