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「お前は足の指まで俺に似てる」

そう言って、嬉しそうに私を見ながら笑っていた。


私、子どもの頃は身体も丈夫ではなくてね、

寝つきの悪い私の足を、

ずっとさすり続けてくれていたらしい。


手を止めるとね、怒るらしいのよ、私。


小学生に上がる頃には

「大きくなったらミスユニバースに出す。」なんて言ってたもんやから、

私、それ信じちゃって

自分は特別可愛いって勘違いしてたよ。


お父さんにとっては、娘って特別なんだろうな。

反抗期ってのがあったのか

なかったのか、

お父さんには一度だって反抗したことないな。

世間でいう“お父さん苦手“時期はなかったし、

永久にないと言える。

お父ちゃんといるとね、

めっちゃオモロいの。


いつも笑かしてくる。


私がオモロいのは遺伝子よね、きっと。


怒ったりしたところも見たことないけど、

若い時から腕っぷしが強く、

喧嘩は負け知らずだったという。

そういえば、

近所で、どう見てもその筋の人が

お父さんのことを「アニキ」って呼んでた。


あ、お父さんはカタギです。


見た目はそうは見えなかったけどね。

小さい頃は家業を手伝っていたから、

ろくに学校にも通えなかったって。


それを、当たり前のように

淡々とこなしていたって。


文句も言わずね。


小学1年生からよ?

ほとんど学校にも行かずよ?


でも、学校は行きたかったって。

そりゃそうか。


私が2年生の頃、家業をたたんで

中途採用で会社員になったお父さん。

学歴も、経験もなかったから

完全にキツイ仕事しか選択肢はなかったと思う。


それでも、

会社ですぐ人気者になって、

お休みの日にはたくさんのお客さんが来てたなぁ。

どこに行っても好かれる、

何してても愛嬌がある、

チャーミングな人です。

今年に入って大きな病気をして

大手術をしてね、

今はリハビリに励んでいる。

ICUで目覚めた時も、

大きな声で看護師さんたちを笑かそうとしてたって。


「おおきに、すんまへん!」

これがお父さんの口癖。

ありがとうと、すいませんは

常にセットみたい。


謝らんでいいよ、お父ちゃん。


誰にもなーんも悪いことなんかしてへんねんから。

お父さんの世界から、すんまへんが消えるように、

ありがとうだけで生きていけるように

してあげたいなって思います。

残りの人生は、

ほんまに好きなことだけしてください。

お父さん

最後の日が来るまで

お母さんと二人

仲良く、楽しく過ごしてください。

お父さんが

私のお父さんでよかったな。


ありがとう。





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