2・快楽に溺れる-3

はじめの家にいる時間が増えて、ほとんど自宅に帰らない日が増えた。

当時実家に住んでいた私は休みの日は帰らずにはじめの家にいた。

両親からの連絡は無視。

私がいなかったら他の女を連れ込むのが分かるから。

不安で仕方がない。

はじめと身体を重ねて一緒にいる時間だけが安心できる時間になっていた。

休みのひだけだったのが、毎日に変わるのには時間がかからなかった。

そのままはじめの家に住み込むようになった。


時々気に入らないことがあると殴られるようにもなった。

ごはんがまずい、前言ったことを守っていない、タバコをポケットに入れたまま洗濯する。

はじめの中で許せない理由があるみたい。

もともと空手をやっていたはじめの力は強く、身体中に痣ができていた。

もちろん、見えないところに。

内臓に響くような暴力もうけた。

しばらく動くことができなかった。


そして決まって時間が経つとやさしい言葉をかけてくる。

「さっきはごめん。りおにしっかりしてほしいんだ。」

私は何も答えずにいた。

とかなんとか言って、それから優しく抱きしめられてセックスをする。

その時はそれでいいと思っていた。

はじめが私を必要としてくれていることに幸せを感じていたのかもしれない。

DVをうけていても、離れることができなかった。


そんな生活が一年くらい続いた。

突然はじめがびっくりするような事を言った。


「赤ちゃん欲しいな。」

生活は困窮している。

そしてDVするような人が子どもを一緒に育てることができるの?という疑問。

そしてなにより両親の顔が浮かんだ。

この人の子どもを産んでも、祝福されない。


生活費は私がほとんど出していた。

はじめが出していたのは家賃のみ。

よく食べるはじめなのでエンゲル指数は高く、好き嫌いが多く一回の食事の量も多い。

はじめはお金の使い方は荒く、ギャンブルに行っては「りお、金」とせびる。


そんなある日、いつものようにセックスをしていた。

いつもはコンドームをしていたがその日はなぜかはじめがつけることを拒んだ。

「中で出すから。」

その言葉に私は全力で拒む。

「中で出すのはやめて?お願い」

身体が離れるように抵抗したけど、はじめの力は強く離れることはなかった。


私の願いも虚しく、ほぼレイプのような形で中に出された。



つづく



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