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先回りはしすぎるな

3カ月ほど前から介護施設(デイサービス)の厨房で働いている。

ここでの仕事は、通所してくるお年寄りに昼食を出すこと。
お昼ご飯なので、正午に食事作りが終わっていなくてはいけない。
だから時間との戦いで、作業もかなり細かくシステマチックに組み立てられている。

通所されるお年寄り+職員+宅配弁当(見守り用)などなど
合わせるとだいたい70食くらいを3.5時間で作るので
いちいち考えている間もない。隙間時間は30秒もないのだ(あくまで体感)

そんなところに未経験で入ったものだから
最初のひと月は本当に同僚の皆さんに助けてもらった。
オロオロしているとサッと指示を出してもらったり
時間がかかりすぎた時は、すぐに手を差し伸べてくれて事なきを得た。

4カ月目に入り、ようやく流れに乗ることができるようになってきた。
時間を見ながら、次に何をやるか段取りを頭の中で組み立てる。
「よっしゃ!いい感じ」と思った瞬間、
「ほら次、食器揃えて!」と声がかかった。

いや、そうなんだよ!わかってたんだよ!やろうとしてたんだよ!

ということがあったんですね、先日。
もちろん、ありがたい声掛けではあるのだけど、
その作業の意味を理解して、
次に何が必要か自分で考えて動くことができないと
いつまでも独り立ちできないのよ!
頼りないかもしれないけど、ほんの少し見守っていてもらいたいと思ってしまう。

と、ここまで考えて
あぁこれは私がしてきた子育てとちょっと似ているかもしれん・・・
とハッとした。

私には娘が一人いるのだが
彼女と私が決定的に違うのは「ペース」である。
何事もゆっくり丁寧にやる娘に、
親の私が待てなくてイライラすることがよくあった。
だから、先回りしてやってしまうことが多かった。

学校に遅刻しないように
習い事に遅れないように
早く寝られるように

そうやって1日のスケジュールをはみ出さないよう
何とか帳尻を合わせてきたのだが
長い目で見たら、それは決していいことではなかったな
と思うのである。

時間に遅れて恥をかいたり
寝不足で体調が悪くなったり
そういう困った経験がないと、上手にやるための創意工夫が生まれない。
知らず知らずのうちに娘の成長の機会を奪っていたのだと思う。

だから
何も言わずに黙って見守り、失敗したら一緒にリカバリーできる人は
本当に懐が深いと思う。
その手前であれこれ口を出すのは、その人のためを思ってのことでもあるが
結局は自分が困るのが嫌なのではないか
自分の子育てはそういう部分が確かにあったなぁと反省した。

いま、3歳の孫と暮らしているが
なるべく先回りせずに、歯を食いしばって見守ろうと思う。

これがまたとんでもなく難しいんだけどね。


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