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かぞく こども 私達の選択 ーゆりさん、ゆいさんの場合ー(前半)

こんにちは!Love Makes Family編集部です。

既存のかぞくの形に囚われない、新たな生き方のヒントを発信する次世代WEBマガジン『Love Makes Family』、第16回目の連載です。

今回は、ゆりさんゆいさんカップルにお話を伺いました。


「1人ずつ子どもを持ちたい!」という夢を2人で抱き、妊活の末に実現されたゆりさんゆいさんカップル。
妊活を始めたばかりの頃に一度お話を伺い、2人からかぞくになるまでの夢をたくさん聞かせて頂きました。
今回、同じドナーを使って、2人ともがトライ1回目(人工授精、体外受精)で妊娠し出産するというミラクルを経験され、4人かぞくとなられました。


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ゆりさんは27歳の時から妊活を始め、29歳で妊娠。お子さんは現在1歳4ヶ月。
ゆいさんはゆりさんの出産後に妊活を始め、36歳の時に妊娠し、最近出産されたばかり。
お子さんは産まれてまだたったの2ヶ月です。(インタビュー当時)


−−お2人とも出産を経験されましたが、出産はいかがでしたか?印象的なエピソードなどがあれば教えて下さい。

ゆいさん
私は予定日ぴったりに破水が来て、自然分娩で出産しました。
予定日ぴったりに産まれてくるなんて律儀な子だな・・・と思っています(笑)。

ゆりさん
出産前に浣腸をした方がよいと助産師さんから勧められて浣腸をしたのですが、結果、陣痛の間中便意が収まらず、トイレを何度も往復することとなりました。
その影響か腎盂腎炎になったり、出血が多すぎて輸血をしなくてはいけなくなったり、入院期間が延びて精神的に不安定になってしまいました。ホルモンバランスの影響だとは思うのですが、自分の遺書を書くこともあったほどでした。

ゆいさん
出産中にゆりが苦しむ姿が堪えて、自分も泣いてしまいました。
『どうにか早く終わってあげて欲しい』と思って、堪りませんでした。
自分達の関係性については、入院先には妊婦検診の時から事前にカミングアウトしていました。
お互い隠すことが苦手なので、受診時の問診票にはありのままを書いて提出しました。
ドクターにも『素敵なカップルだね、是非立会いしてもらいなよ』と言ってもらい、実際に出産に立ち会うことができました。

−−入院中はどのように過ごされていましたか?

ゆいさん
入院中のことなのでほとんどをドクターや看護師さんにお任せしていました。
職場にもパートナーが出産したことを伝えていたので、仕事の融通を利かせてもらって面会に行くことができました。入院中1週間程度はゆりのメンタルが不安定で揺れてしまって、2人とも大変な日々でした。

−−ゆりさんの出産にゆいさんは立ち会われたとのことですが、ゆいさんが出産された時は、コロナ禍ということもあって面会できない中での出産だったと思いますが・・・

ゆいさん
元々は、自宅の近くのクリニックで出産しようとしていましたが、コロナの関係で自分の母親が手伝いに来られないかもしれないということになり、急遽里帰り出産をすることになりました。
立会い出産を希望して、2人で一緒に帰省したのですが、感染予防の観点から同居家族だけしか立会いできないとのルールがあり、ずっと1人での入院生活でした。そのこともあって、自分も出産後にメンタルが落ちてしまいました。ゆりほどじゃなかったけれど・・・産後のブルーな感じも合わせて、2人とも精神的に不安定で似たような経験をしました。

−−出産にあたって、病院の対応でよかったことはありましたか?

早い段階からカミングアウトをしていたので、何も隠さずにありのままで接することができました。
基本的に病院にカミングアウトをして嫌な扱いをされたことはないです。
寧ろ自分達に興味を持ってくれて、ごく普通の対応をされていたと思っています。

−−カミングアウトつながりでお聞きしたいのですが、職場を含め周りの人には出産についてどう伝えていますか?

ゆりさん
私は管理職の方に対してはカミングアウトしていますが、同僚や先輩、後輩には伝えていません。
養子縁組をして苗字が変わったので、結婚したという形にしてもらっています。


ゆいさん
自分は管理職の方を含めほとんどの人に伝えています。
自分の場合は苗字が変わらないままで産休に入るので、周りの人もさすがに気にしてしまうような気がして、あることないことを色々想像されるよりもちゃんと伝えた方が良いと思ったので伝えました。


−−お2人は養子縁組をされているのですね!

ゆいさん
そうですね、自分が戸籍上の母ということになっていて、ゆりが『娘(養子)』ということになります。
ゆりの産んだ子どもは自分の『娘の子』ということになっています。
戸籍上だと自分の産んだ子どもはゆりと兄弟という関係になります。

−−戸籍のことで困っていることはありますか?

ゆいさん
最近ですと、保育園や、ひとり親申請についてですね。
ゆりは既にひとり親申請をしているのですが、自分たちがこの制度を利用することに対して何となく複雑な思いがあります。ひとり親として認定されることでお互いに様々なメリットはあるけれど、でもそうやって申請することは少し違うのではないかな、という思いが拭えません。
もし同性婚ができる未来があるのであれば、夫婦として享受できることを享受できなくなる可能性があるのでは?と考えてしまい、手放しにひとり親申請をすることが正しいかどうかわからないような気持ちがあります。
自分もひとり親申請をすれば良いと思うのですが、今の所得だと児童扶養手当は支給されないので、結局のところ、メリットとしては保育園に行ける可能性が上がるということに留まるのかなと思っています。
先日市役所に相談してみたのですが、最初はそれぞれがひとり親で別々に保育園に入れることを提案されました。
収入を合算せずに、それぞれの所得に応じた保育料でひとり親として預けると、保育料としては安く済みます。
でもそうすると、それぞれが別のかぞくとなるので、子どもたちを兄弟として扱えない可能性があるとのことでした。
また、私たちが住む地域には多子減免という制度もあるようなのですが、それぞれがひとり親で預けるとなるとその制度は使えないというデメリットもありました。
多子減免という制度は、収入は世帯として合算されるので、1人目の保育料はそれなりにかかってしまいますが、2人目、3人目となった時にだんだん保育料が安くなっていくような仕組みのようです。
その後も2人でどうしようか悩み、市役所でも会議をして頂き、ようやく、子どもたちを兄弟として自分たちをかぞくとして扱ってもらうこととなりました。


−−なるほど!良いかたちでまとまって良かったです。そして、これからは3人目も考えてらっしゃる感じなのですね!

ゆりさん
そうですね!3人目までは欲しいです!
子どもが好きだし、可愛いので、もう1人産みたいと思っています。

ゆいさん
今のところ、自分はもういいかな・・・という感じです。自分はもう大丈夫です(笑)。

(後半に続く)

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