「ガタカ」監督：アンドリュー・ニコル/1997

昔、鑑賞した映画をもっかい見返そう週間（あくまでもプライベートな話ですw）。選んだ作品は「ガタカ」。改めて鑑賞すると、アナログと未来が入り混じる独特な映像で、ストーリー以外にも見どころが多かったです。

こんなお話

近未来、人類は人工授精と遺伝子操作により優れた知能・体力・外見を持った「適正者」と、自然妊娠で生まれた「不適正者」に分けられていた。「適正者」たちは教育課程や社会において「不適正者」よりも優位な存在であり、両者の間には社会レベルでも個人レベルでも大きな隔たりがあった。ヴィンセントは自然な生き方を求める両親によって「不適正者」として産まれたが、生まれつき虚弱体質であるというハンデを背負っていた。「不適正者」の生きづらさを実感した両親は、弟アントンを「適正者」として誕生させる。ヴィンセントは子供のころから「適正者」の能力を目の当たりにし、弟を含めた「適正者」たちには勝つことができないでいた。

レビュー

ハイスペックな遺伝子かどうかで、人間の運命が決められてしまう未来の話。不適正者のビンセント、適正者だけと交通事故で車椅子生活となってしまった元アスリートのジェローム・モロー。二人が「決められた未来」に抗い、自らの手で「運命を変えていこうとする」切なくも悲しい物語です。

ガタカの世界では、自然妊娠は「不自然」、顕微鏡で受精させて遺伝子操作するのが「自然」なんだそう。1997年当時はSF的発想でしかなかったのでしょうが、不妊治療での試験管ベビーはいまや当たり前、出生前診断を思えば、ガタカの世界は現代とそれほど遠からず・・・。

現代と照らし合わせながら観ることで、当時とはまた違った感覚が楽しめる。これも映画の醍醐味ですよね〜。

そして、この作品で特に注目したいのが、ガタカ社屋です！

なんとも未来的なデザイン。てっきりセットかと思いきや・・・

フランク・ロイド・ライト設計の「マリン郡シビックセンター」だそうです。息をのむ美しさ！！

曲線美と直線美の見事な融合。

ガタカ社のコンピュータルームとメモリアルホールは、この場所で撮影されているそうです。1960年代の建築物ですが、宇宙船のような外観といい、ガタカの世界観にぴったり。

ちなみにガタカでは、遺伝子チェックの際にモニターに「適正」「不適正」が表示されるのですが、そのモニターがものすごいアナログビデオみたいな液晶なので、今見ると、全然未来じゃないんですw

でも、昔の人たちが思い描いた「未来」、いうなれば「2001年宇宙の旅」のような「レトロな未来感」がライトの建築でますます際立ち、それもまたこの作品の魅力になっているように思うのです。

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ガタカ（原題：Gattaca）

1997年 アメリカ
監督・脚本：アンドリュー・ニコル
製作：ダニー・デヴィート、マイケル・シャンバーグ、ステイシー・シェア
音楽：マイケル・ナイマン
撮影：スワヴォミール・イジャック
編集：リサ・ゼノ・チャーギン
＜出演者＞
イーサン・ホーク
ユマ・サーマン
ジュード・ロウ