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場末のスナックのママ体験から得たこと

私が手伝うNPOの代表が、趣味のためにバーをオープンさせた。

バーと言いつつ、居抜きで破格の家賃、しかも昭和漂うワイン色のベルベットの椅子とワイン色の絨毯。
場末のスナック感満載の渋くて落ちついた空間のカウンターバーだ。

代表が酒好きで、ただただ飲んだくれたいだけの理由なはずだったが、
引き寄せられるように福祉関係者が夜な夜な集い、情報交換し、繋がりを持ち、時に不満や愚痴を吐き出す場所に自然になっていった。

代表と一緒にカウンターに立つのは日替わりママ。
福祉系の有資格者や、NPO代表者、居場所運営者、高齢者、児童、引きこもり、障がい者、身寄りなし、全ての福祉の枠を超えて支援者も当事者も誰でもママができる。

先日、こんな私でもママとして店に立った。
「どうせ、お客なんて一人二人だから」という代表の言葉を鵜呑みにし、それでも緊張して前日から眠りが浅く迎えた当日。

ほぼ満席だった。
お酒の作り方すらわからない下戸ママに、さすがのお客様達は優しく、ジントニックやハイボールの作り方を教えてくれた。
(それでよくママを引き受けたなと客観的に考えると自分でも驚く)
違う違う、それはジンソーダ!
とつっこまれながらもしどろもどろで時間は流れた。

困っている人の支援をワンストップでどう形にするか、
制度で救えない人はどうするか、
介護医療の保険や、助成金をあてにしない運営方法は、
笑いこそが福祉の最終形、

など福祉のネタを肴に一晩中語り明かせる人たちと、
心地よくて、勉強になる充実した夜だった。

声をかけてもらえる。
必要とされる。
誰かがそばにいる。

私は今幸せだ。
強く感じた。

酒なんて作れなくても
ママができる。
誰かが助けてくれる。
一人にしない。
支えられて私は生きている。
だから私も誰かの支えになりたい。

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