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脳腫瘍の診断まで

 2020年7月、時々ものが二重に見える時がありましたが気にもせず、目が疲れているのだろう、年なのかな、と思って過ごしていました。念のため7月25日(土)近所の眼科へ。先生は特にコメントせず、疲れ目用の目薬(お薬手帳によるとティアバランス点眼液0.1%)を出すので続くようならまた来てくださいとのこと。その時は2-3日ですぐに治ってしまいました。
 その後いつかは覚えていないのですが、夜中に左目の奥がかなり痛くて目が覚めました。何これ!と思いましたが、多分2-3分くらいの短い時間で終了、またすぐに寝てしまいました。朝起きてからは全く何もなく、かなり痛かったけど何だったんだろう、でも医者に行っても説明できないかもな、と思いそのままに。

 そして暫くしてまた時々二重に見え出し、12月28日(月)に再度近所の眼科へ。目の奥が痛かったことがあると話したところ、先生が気になる様子だったことを覚えています。私は前回は目薬ですぐ治ったと話し、年末だったので、同じ目薬を出すから年明け続いていたらまた来てくださいとのことでした。
 当時は、仕事でパソコンを見ている時間が長く、スマホも手放せず、子供の頃からの近視に加えて近年は老眼が進み、日常的に肩こりと目の疲れが酷く、時々行くマッサージを楽しみにしていました。ですから、全く考えが及びませんでした。眼科は疲れ目のために目薬をもらいに行く気分でしたし、仕事の合間に眼科に行くのが大変なので、薬局でこの処方された薬と同じ市販薬はないのかと聞いたくらいでした。

 年が明け2021年になり、二重に見えること(複視と呼ぶそうですが。)が増えているように思えました。何だろう、他の病気?医者に行った方がいいのかな、近所の眼科に行っても大きめの病院を紹介され検査することになるのだろうか。時々あれこれと思っていましたが、仕事は忙しいし、父の具合が悪かったため週末は両親の家に行っていて、そのまま日々過ぎていました。
 そのうちにいつも複視が起こっているようになりました。私の複視は片目だけでは起こらず、両方目を開けると起こります。ネットで調べても原因はいろいろで、どれなのか当然わかりませんでした。3月に人間ドックの予定があり気になる事があれば診察を受けられるので、まずはこの時に眼科で診てもらおうと決めました。
 3月5日(金)人間ドックの病院の眼科の診察。一時的にこのような症状が出ることはあるが異常はないと。続くようであればまた来てくださいとのことでした。少し安心しました。
 しかし、一旦は安心したものの、複視が酷く、おかしいのではないか、この見え方が疲れとか一時的なものなのか?

 3月12日(金)唐突に不安になったため、すぐに医者に行こうと思い、夕方遅くまでやっていて仕事の帰り道にある初めての眼科に飛び込みました。眼科検査をして診察、もう少し検査を追加したいと言われ、検査をしてまた診察。ライトをあてられ遠くを見てと言われ、何度も角度を変えて確認されました。そして、多分大丈夫だと思うが確認のためMRIなどの検査を一度した方がよい、大きな病院へ行ってくださいと言われました。どこの病院がいいかと聞かれたので、関節リウマチで通院しているA大学病院にしてもらいました。早めに行くようにと言われ紹介状をを受け取りました。目の何の病気なんだろうと少し不安に思いましたが、変わらず週末は忙しく、忙しいとあれこれと考えないのでいいなと思っていました。
 さっさと決着しようと思い、3月15日(月)午前半休をとり朝からA大学病院の眼科へ。大学病院は原則予約が必要ですが、予約がなくても待てば診察してくれます。一通りの眼科検査をして初診。眼科はどこでも毎回同じような検査をしなければならず、仕事が気になる時などは嫌になります。初診の先生からは、糖尿病でもこのような症状がでるし加齢でも起こりうるとのこと、人間ドックの病院の先生と同じような話で、暫く様子を見るとのことでした。MRIなどの検査はまたそのうちにとのこと。追加でしてほしい眼科検査があるので、今日その検査をして帰って今週もう一度来てほしいとのこと。重病でないならいいけど何だかすっきりしないな。

 そして、3月18日(木)再度診察。前回は初診担当の先生なのか、今回は別の先生でした。追加でした検査を含め今のところ結果に問題はなく、様子を見ながらまた検査をしましょう、別の神経眼科の先生にも見てもらった方がいいので来週また来てくださいと。来週また?仕事を休んで来て長く待たされ、何の進展もなく、今週の2回の通院は何なのだ、大学病院でしかできない検査をしないなら近所の眼科の方が良い、とかなり腹を立てていたので、できるだけ丁寧にと気をつけて次の話をしました。
 眼科医から気になる事があるため大きな病院でMRIなどの検査をした方がよいと言われたから大学病院に来た、すぐに検査をすると思っていたがしないのであれば、しなくてよいと判断したということでしょうか。先生からはそう思ってもらっていいとのことでした。まあ、そう言うなら安心と思い、会計をして病院の出口から出ようとしていたら、すぐに眼科の外来に行ってほしいとのアナウンスがありました。病院中へのアナウンスにびっくり。まだ外に出てなくてよかったと思い、急ぎ外来へ。
 すぐに先ほどの先生の部屋に呼ばれ、これから脳外科へ行ってください、検査できるかもしれないからと。脳外科?と驚きつつ、行ったらすぐに呼ばれました。症状を話したところ、先生はその場ですぐに検査室へ電話。繋がらないようで何回も。繋がると今日のMRI検査を依頼しているようでした。私は検査室へ。そしてまた診察室へ。合間に私は仕事の電話を何件かし、携帯の電池が途中でなくなり、公衆電話を探すなどバタバタでした。

 そして、診察室で脳腫瘍の診断を伝えられました。驚いて言葉が出ませんでした。すぐに何かしなければならない状態ではなさそうに思うので、過度に心配しないでと。明日また造影剤を使ったMRI検査をしてほしいとのことでした。
 翌日3月19日(金)造影剤を使ったMRI検査の後、診察。脳腫瘍はとても種類が多いため今は何かは伝えられない。良性か悪性かもわからない。症状が出ているので手術した方がよいと思われるが、急いで手術するのではなく症状を見ながらになるだろう。特殊な場所にできたので別の専門の先生に診てもらってほしい。その専門の先生の予約が2週間後と少し先になったが大丈夫だと思う。
 何か新たな症状が出たらいつでも来てください、心配しすぎないで、ともう一度言われました。優しそうな女性の先生でした。脳外科なら緊急の検査が入れられるからこちらに来たのかなとか、眼科から送りだしてくれた先生も女性の先生だったので、もしかしたら友達で急ぎ相談してくれたのかなとか、大学病院に紹介状を書いてくれた先生もどこかの大学病院から派遣されていた女性の先生だったなとか、わかってよかった、女医さん達ありがとうとか、物事を深刻に考えられず、その後の数日間は勝手な事をあれこれ漠然と思っていました。

 脳腫瘍と検索すると確かに種類がたくさん出てきます。頭痛で倒れて救急車で運ばれたり、すぐに手術になったり。私は頭痛は全くないし急がなくていいと言われたけど何なのだろう、自分のことだけど自分のことでないような気持ちでした。   
 その週末はまた父に会いに行きました。父はその翌月4月上旬に亡くなったのですが、その落ち着かない日々の中で、私が脳腫瘍のことをいつ母に話したか思い出せません。父の事で精一杯だろうから話すのをやめようか迷いましたが、私の子供が私に大きな病気を隠して治療を受けていたらどんなに悲しいだろうと思い話しました。丈夫に生んであげられなくてごめんねと母が泣いていたことを覚えています。私もこんな時に病気になってごめんと心の中で思っていました。
 長くなってしまいました。読んで頂きとても感謝しています。

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