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ファッションショー

たぶん小学3年の冬だったか…。

何故だか全然覚えていないが、
女の子7.8人でファッションショーを
することになった。
体育の後だったか、
みんな体操服を着ていたので
体育館の真ん中に、着替え用の洋服を集めて置き
一人ひとり友達の好きな洋服に着替え、
ランウェイするという
ファッションショーごっこ。

ちょっと嫌な予感もあった。
だって私の冬は、だいたい茶色のとっくり&
ベッチンのエンジのズボン。
どの季節も3パターンくらいで
まわしていたからだ。
背が高く天然パーマでくりくり。
おばさん小学生だったのだ。

いよいよファッションショーごっこが始まった。
ひとり、またひとり、
洋服を選んでは誰かの服を着る。
みんな恥ずかしそうに、気取った感じで歩く。
誰かの洋服は、意外と着る誰かの雰囲気を
変えてくれるものなんだ。と、
ごっこながら見入る女の子たち。

私は赤いセーターを選んだ。
いつもオシャレなかずみちゃんが着ているもの。
真っ赤でもなく、
ちょっとオレンジがかった赤で、
首周りにパールのようなものがついているもの。

着てみた。

全く似合わない。

取ってつけた…みたいだった。

そして最後に残った私の茶色のトックリを
かずみちゃんが着ていた。

似合ってない。罰ゲームみたい。

私はすぐさま着替えると、外に走った。
トックリの静電気のパチパチで、
顔に髪の毛がへばりつく。

……もっと走った。

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