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沖縄ですごいブランドに出会った!

先日、沖縄に行ってきた。
沖縄には沖縄生まれのおいしものがたくさんある。
何を食べようかなと食べたいものを列挙して、ワクワクしながら現地に到着して調べてみると、20年ほど前に訪れた際に、印象深かったタコライスの発祥のお店が6店舗に増えていた。

今でこそ、めずらしくないタコライスを私が初めて食べたのは、このお店だった。米軍基地のすぐそばにあるそのお店は、創業者が別のバーで、ご飯の上にタコスの具材を載せたタコライスが人気を博したため、その味を広めるために作られたお店だそうだ。ボリューム満点で安価。テイクアウト専門店でも20分も待たせるというのに、客足が引きも切らない大人気店である。

沖縄では知らない人はいない有名店だが、食券の販売機の横に「タコライスの生まれは1984年、パーラー千里、キングタコス創業者儀保松三氏によって考案され売り出されました」と書いた紙が掲示してある(しかも、とてもそっと。)
多くの人に知られてい有名店とはいえ、大人気!とか売り切れ必須!と書くよりも、この実績の方がずっとアピール力がある。

今の時代は、情報があふれている。今やお店側の宣伝文句に耳を貸す人は少なく、実際に訪れた人の口コミ等、第三者の言葉の方が信ぴょう性を持つ。
顧客に受け入れられるのは、そこに込めた思いや、そこに至るまでにストーリーなど唯一無二のものだけ。このように企業側が自身の歴史や商品の開発秘話や制作過程などのストーリーを発信することで、顧客の理解や共感を得てファンになってもらうことを目指すストーリーブランディングはとても効果的だと思う。

昨今、いいものを作っても作ってもすぐに追いつかれる。ましてや中小企業が血がにじむ努力で新たな商品を作っても、資本のある大手企業が参入してこれば、あっというまに追い越されてしまう。だから、機能面で競うのはとても難しい。タコライスも、今や沖縄じゅうのたくさんのお店が提供している。あの吉野家のメニューにもタコライスがあるほどだ。そして、タコライスはどこで食べてもおいしいと言われている。厳密にはお店ごとにおいしさが異なり、違いはあるのだろうが、たとえば全く同じ味を情緒のある店内で食べるのと、そうでない場所で食べるのでは味わいに違いを感じる。おいしさとはあくまでも主観であり、気持ちに左右されるところも否めない。

つまり、開発秘話などのストーリーに共感し、ファンになることで、よりおいしさが増すことは十分ありえるのだ。実際、webを検索してみると、結構なボリュームでこの店のタコライス誕生秘話を見ることができた。「創業者が考案しました」というこの短いメッセージには、タコライス誕生のストーリーがこめられているのであろう。

そう思ちながらいただいたタコライスは、とにかくめちゃくちゃおいしかった。どんどん注文が入るのにつくり置きをせず、注文が入ってから作る出来立て感も素晴らしい。
しかも、笑うくらい量が多くて、夫とふたりで分け合ってちょうどよかったので、1つでよかったと後悔したほどだ。
人気の秘密はおいしさだけでなく、このボリュームによるコスパの良さなのかと感心してしまった。
20分の待ち時間をものともせず、お昼時にはたくさんの男性客がテイクアウトで購入していて、人気のほどをうかがわせた。

おいしさという機能的な価値に、ボリューム、コスパという更なる機能的価値を付加し、創業者が考案した発祥の店という情緒的な価値まであるという完璧なブランドだ。
どれかひとつで満足せず、どれも満たそうとするのが素晴らしい。だからこそ、これほど愛される有名店になったのであろう。

いろいろブランディング的に語ったが、結論は、そのおいしさと抜群のコスパという魅力満点のタコライスが忘れられないよというただの食いしん坊のグルメレポになってしまった。あぁ、食べたい(笑)

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