学生時代の話〜ワインって美味しい
ワインって美味しい
学生時代の思い出
#いい時間とお酒
二十歳になったばかりの頃。
両親は親戚の結婚式出席のため遠方に行く事になった。
自宅生の私にとっては初めての留守番だった。(二十歳で留守番もないが…)
「心細いなぁ」と友人に打ち明けると、泊まりがけで遊びに来てくれる事になった。修学旅行みたいで楽しい。同じ年の彼女は他の大学。
翌日、大切な試験を控える私の事を
「ちゃんと勉強するかを見張るからね」と言って遠方から来てくれた。
そんな彼女に感謝して最初は真面目に試験勉強をしていた。
晩秋の夜は長い。
夕食を済ませた頃、近所に住む別の同じ学部の同級生が私が自宅に留守番している事を知って訪ねてきた。
「ひとりでやっていても勉強がはかどらないから、一緒に勉強させて!」と言ってやって来たのだ。
先に来た友人とは初対面だが気さくな二人はすぐに打ち解けた。
「二人はしっかり勉強してね」との言葉に従って、当初は私たち二人とも試験勉強をちゃんとしていた。(ちなみに泊まりに来てくれたAちゃんは教師志望のしっかりもの)
後からやって来た友人Bさんは年上。
すでにひとつの大学を卒業後、また受け直して同級生になったお姉さんだ。
この頃の六歳差となると経験値が違い話題も豊富で社会経験のある彼女を私は尊敬していた。
集中力は長くは続かないもの。
その時、Bさんはテーブルの向こうの箱に目を向けて明るく高い声で言った。
「あそこにいいものがあるじゃない〜!あれを飲みながら勉強すればはかどるわよ」
尊敬する彼女のいう事だ。
「へえ、はかどるんだ〜」
そこにはお歳暮で届いたワインの箱があったのだ。
デパートからの箱の中にはフランスの赤ワインとドイツの白ワインが入っていた。いや白ワイン二本だったろうか?
ワイングラスを持ち出し、テンション高めの二人の傍らでもう一人の友人は怒っている。
「ええ!!何で?!明日試験なんでしょう?」
そんなAちゃんの言葉に耳を傾けることもなく、明日が試験の二人はボトルを開けた。
さて後は想像通りの展開。
テンションの上がった二人。
「うわー、ワインって美味しい」
調子に乗った私はペースもわきまえずにおかわりして、どんどん飲んだ。
「勉強はかどるし、サイコー!!」
「でしょう!!」
「めっちゃ、わかるし進むよねー」
Aちゃんが呆れ果てていたのは言うまでもないが酔っ払った私たちがそんな事に気がつくはずもない。
夜遅く、「じゃあ、そろそろ帰るわ。明日ね!」
そう言ってBさんは帰って行った。
その後の記憶が無い…
翌朝、Aちゃんが怒っている。
何故だ?
床にはワインボトルが転がっていた。
私は「ごめんごめん」といいながら試験に向かった。
おかしい…あんなに勉強したはずなのに、
「え〜、あれは夢だったの?」
何にも覚えていない…
私たちは二人とも再試を受ける事になった。
酒を飲んで記憶を無くすというが、私たちの試験勉強はなかった事になってしまっていた。
まあ世の中の失敗というほどでも無いが、人生勉強をした二十歳のワインデビュー🍷
勉強しながら飲むのはすすめられないが、あの頃、勉強した事は覚えていないが楽しかったワインの思い出はしっかりと心にしまわれている。
年末年始、良いお酒をほどほどに楽しもう。
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