夫婦関係と価値観の相違

私が日本在住の中国国籍夫婦のお宅に訪問したときのお話です。
生後40日ほどの発育良好なかわいいかわいいBaby
生後二か月から始まる予防接種の話をしようとしたら、ママが...

「この子は再来週中国に行くから日本では受けないです」
「私は仕事が忙しいから、おばあちゃんの家に行く。日本に来るのは2歳か3歳かくらい」

と話してくれました。

ここからあなたはどう思いますか?

Instagramのストーリーズでもアンケートを取らせていただきました。
回答いただいた方、本当にありがとうございます。

①え?ありえない、赤ちゃんかわいそう
②私なら嫌だ。なんで一緒にいたいと思わないんだろう
③たくさんの人に愛されて幸せだね
④その他

この4つの選択肢です。
あなたならどう思いますか?

もちろん、この短い回答だけで皆さんの頭の中の全てのことが表現されているわけではないし、私の選択肢の設定も完璧ではないので、どれかと言われると。。。という形で選んでくださった方も多いと思うので、絶対にそうですよと断言しているわけでもないことを頭の隅に置いて読み進めていただけると幸いです。

しかし、選んだ選択肢によって「価値観の違い」に直面したときに考える思考の癖は現れていると思います。

ここにおける価値観の違いは、もちろん2歳過ぎまで祖父母に預けて別居する、しかも国を超えてでも別居することを選択するということです。日本に生まれ育った人で「うんうん、わかる!私もそうする!!」と共感できる人はほとんどいないのではないでしょうか。

もちろん私もその一人です。
その証拠に「赤ちゃんは中国に行く」と初めに聞いたとき、「あ!お母さんも一緒に中国に帰るの?」と尋ねてしまったほどです。
それほど、日本に住む人にとっては驚きともいえる選択ですよね。

価値観をジャッジする

夫婦関係において、価値観の違いをジャッジしない、善悪の判断をしないというのは重要な考え方です。
自分がこうしよう、こうしたいと思った言動と夫の言動が違ったとき、「そんなことするなんてあり得ない」「わかってない」「マジ使えない」と善悪、正解不正解でジャッジしてしまう。
夫婦に正しさを求める必要はないし、そこを求めるとこじれます。
そして、相手に正しさ・善悪を求める人は、相手に求める以上に自分に正しくあること、ルールからはみ出さないこと、ちゃんとすることを求めています。
自分がこうしたい、自分がこうありたいと思うことより、世間一般の常識と言われることや社会のルール、母たるものこうあるべきを優先してしまう。
自分の本音に反することばかりしてしまうため、パートナーにも同じ我慢やルールを求めたくなる、でも応じてくれない、ありえない!と責めてしまう日常を繰り返しているのです。

その傾向がみられるのが①を選んだ方です。

「①え?ありえない、赤ちゃんがかわいそう」

本当にそうでしょうか。
日本では母親は子どもと一緒にいるべきという価値観が根強いですが中国では、「母親は子どもを預けて子どもの教育資金を稼ぐことが愛情」と思われています。すなわち、一緒に過ごして仕事ができず、将来子どもに望む教育を与えられないことの方が「かわいそう」と判断されるんです。
他の国でも産後すぐに祖父母やシッターにBabyを預けることが当然のように扱われ、「Business woman!Fight!」と送り出してくれる文化がある国もあります。

みなさんは「赤ちゃんに靴下履かせないなんてかわいそう」って言われた経験、もしくはそれを言われて憤ったり悲しんだりしている人がいることはご存じですか。
それを伝えてくる人(たいていは高齢の方)にとっては、足を冷やすな、靴下をはかせるということは当たり前でそれを知らない母に育てられている子がかわいそうなんです。
自分の知らない価値観が「当たり前」の世界もある
それを意識するだけで、世界の見え方は変わってきます。

また、日本では当たり前に子どもと同室で眠る人が多いですよね。
親と同室で眠らないとかわいそうとか、愛情不足とか言われますが、欧米では当たり前に別室で眠ります。
かわいそうとか寂しいとかそんな反応はなく
なぜ別室にしない?という感覚にすらなるようです。
事実のとらえ方が変わればあなたの「当たり前」は当たり前でなくなるんです。

価値観の違いの受け入れ方

そんなこといっても、母親は子どもといたいはず!!って思う方もいるかもしれません
そこで必要なのが、価値観の違いの受け入れ方を知ることです。

日本のママにも仕事が大好きで、仕事している自分を子どもに見せたり、豊かに暮らすことが愛情表現だと思って行動している女性はいます。
そんな方には「子どもより仕事を選ぶあなたは愛情不足だ。赤ちゃんがかわいそうだ」と批判の声が届くのもまた事実です。

そして、私たち人間は本能的に自分と異なることを受け入れることに恐怖心を持っています。
安定を求め、安全な地でうまくいったことを繰り返して生き延びてきた私たちは、これまでと違うこと自分の習慣と違うことに強く違和感を感じたり、嫌悪感を感じるようになっています。

この生存本能ともいえる、自分の価値観以外のものを受け入れられないと感じやすいのが②を選んだ方

「②私は嫌だ、なんで一緒にいたいと思わないんだろう」
「私は嫌だ」は自分の感情なので素直に感じることはいいことです。
「なんで一緒にいたいと思わないんだろう」これが価値観の違いの受け入れ方です。
純粋に疑問として「なぜ?」と理由を尋ねたいと感じた方はフラットに捉えられていますが、「なんで思わないんだろう」その言葉の中に「そう思って当たり前」「そう思わないなんておかしい」という気持ちが隠れていませんか?
相手との価値観の違いを知って、自分はどう思うかは感じられているけど、「相手も同じように感じて当然」「母という立場であれば当然感じるだろう」と受け入れているようで、自分の価値観から感じられるものを採用してしまいます。

この世の中、どんな物事にも裏側があるし、違う側面があります。
でも、人はついつい「自分が見えている世界が全て」と思いがちです。
自分の見えていない世界に想いを巡らす、自分の見えていない世界から世の中をみる視点をもつ。それが多様な価値観を受け入れるということにつながります。

ポジティブな視点を持つ

「③いろんな人に愛されて幸せだね」
物事には光と影が同時に存在します。
一つのことでもある人にとっては光で別の人にとっては影に見えたり、同じ人でも今日は光、明日は影に見えることもあります。
普段からそれを意識して生活をしている人は少ないでしょう。でも、実は意識すれば誰でも視点を変えていくことはできるんです。
「親と離れて生活すること」それが、その子にとってどんな経験になるのかはわかりません。でも、親以外の祖父母と生活を共にして日々愛されること、それ自体はその子にとって「愛される」という経験が増えるとも捉えられます。

あ!そんな考えなのか!そんな価値観なのか!そう知ったとき、その価値観での「ポジティブな面」を見つける意識と視点をもてると、自分以外の価値観をフラットに受け入れやすくなります。

夫婦関係につながる考え方

では、今回のお話しがどのように夫婦関係に通じるのか。それは「その他」で回答していただいた方たちに答えがありました。

「国籍上の違いもあるよね」
「本人がどう思ってるのかな?」
そう、自分の価値観とは違うんだという前提条件です。
どこかの誰ともわからない中国国籍のママにはこの視点を持てる人は多いと思います。
でも、夫婦になるとどうでしょう?
毎日家に帰ってきて、寝食を共にして、子供を育てる、、、そんな中で「夫と自分は違う価値観を持っている」「違って当たり前」「違っていい」そう意識できている人はどれくらいいるでしょう?

自分がやっている家事は同じ様にする必要があると思っていて当たり前で、私が伝えたことは理解してくれて当たり前。毎日家事育児頑張っているから、労ってくれて当たり前、子育ての方針は一緒であることが当たり前、理想の父親像も理想の母親像も一緒であることが当たり前、そんな風に感じていませんか?
そんなわけないです。親子でも兄弟でも価値観は違いますよね。夫婦の価値観は違って当たり前なんです。もちろん、すごくよく似ているとか方向性は同じだということはありますよ。でも、「全く同じ」であるはずかないんです。

はじめに書いたように、「価値観に善悪」はありません。
例えば「窃盗は悪」、当たり前の価値観のような気がしますよね。でも、ストリートチルドレンで栄養失調状態の幼い子が食べ物を盗んだら??それでも「盗んじゃダメ」と言えるでしょうか?状況によって善悪は変わります。あなたが悪と思っているのは、あなたがあなたの価値観で「悪」と判断しているだけなんです。
夫の価値観をジャッジせず、フラットに受け入れて、ポジティブな視点を持てるかどうか、それができれば夫の日常の言動にはたくさんの愛があることに気づけるし、もっと愛を育てていくこともできますよ。

最後に

私はこのママに「この子はたくさんの人に愛されて幸せだね。あと2週間赤ちゃんとの生活楽しんでね。」と伝えて帰ってきました。
ママは笑顔で「ありがとう。」と答えてくれました。
ちなみに、この夫婦には5歳になる男の子もいます。その子も同じように2歳すぎるまで祖父母の家で暮らしていたそうです。
今は保育園を利用しながら、ご夫婦で仕事をしながら愛情もって育ててらっしゃいましたよ。

この出来事、あなたはどう思われましたか?
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