カメ吉の話③
ついこないだ、兄のところに行ってきた。
カメ吉はすっかり大きくなって20cmくらいになっている。ここに来てから3年半か。
やほーカメ吉ー、元気ー?
声をかけたけど、ぜんぜん動かない。
冬の間は、窓際に置かれた水槽の岩の上でじっとしてることが多い、と姪っ子が言っていた。
この季節は、ごはんをあげても食べるのは少しだけ。食べられない分は残すから、食べ残しをちゃんと取ってあげないとダメなんだって。
カメの生態を私は知らないから、ふーん、って聞いた。金魚はあげたらあげたぶんだけ食べちゃうもんなー。
私は水槽フタの隙間からカメ吉に挨拶した。首をすくめて顔だけをこちらに向ける。
そういえば、確かに夏の間はもっと活発だった。近くでカメ吉の話をしていると、呼んだー?ってばたばた動いて音を出してたっけ。
今日は2月にしてはびっくりするほど暖かい。外気が18℃を超えている。庭の梅がいっきに咲いた。
ねぇカメ吉、今日はあったかいよー?春みたいだよー?あそぶー?
フタを取ったら、なんと首を伸ばして動き出した。
え、そうなの?今日あったかいの?
カメ吉がごそごそ動きだす。でも動いたのがひさびさだったからなのか、岩の上から見事に転落した。
カメ吉ー!だいじょぶかー?
いまいち状況がわかってなさげのカメ吉だったが、なんとか岩の上まで戻ってきた。
あのさ、急に動くと、ギックリ腰になるよ、私みたいに。気をつけなよ、カメ吉。
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